バンビーズによる再教育計画
「ぅ……あ……?い、石田!?なんで、お前……」
「黒崎!?……どうして、君が……」
「目覚めたようだな、愛しき我が息子たちよ」
見えざる帝国。ユーハバッハを打倒するためにあえて傘下に加わった石田雨竜は大層驚いた。なぜなら、陛下から聖文字を拝領し混濁していた意識が醒めると、横に友である黒崎一護がいたからだ。
「ふむ、一護よ。霊王宮での修行にて随分と力をつけたようだな。死神としての力が未だ強いのは忌々しいが……まあよい。我が息子である以上、それも愛そう」
「ふざけんな!……いや、ちょうど良い。今ここでお前をぶっ倒せばこの戦争は終わりだろ?いくぞ、石田!」
「(ハッシュヴァルトはいない……ここを逃せば……)……あぁ!」
「どうやらお前たちは自らの状態を把握していないようだな。意識が上手く定まらぬこの状況ならば仕方あるまい」
何を言っているのだろう。自分たちが自分たちの状態を把握していない?そんなことはない、新たに手に入れた力で自分を見つめ直したのが自分たちだ。そう確信している一護は新しい斬月を、雨竜は銀嶺弧雀を展開しようとして……自分たちの身に降りかかっている現状をようやく理解した。
「………なんだ、これ……俺の体、小さく」
「縮んで……いや違う、子供になっているのか!」
「良い反応だ。再教育を行うというのであれば、やはり身も心も子供にしなくてはなるまい。意識が定まっていなかったお前たちは自分の姿を把握していなかったようだがな」
その言葉を最後に、ユーハバッハは霊子で二人を縛り上げる。慣れない子供の身体であった二人は易々と縛り上げられ、そのまま滅却師十字と斬月を取り上げられてしまう。
「退行しているのは身体能力のみだがな。お前達の心の持ちようでは、次第に心も退行するだろう。では、あとは任せる。好きに遊べ、好きに躾ろ、ただし殺すな、傷つけるな」
『御意』
その言葉と共に現れるのは、見目麗しい五人の女性。体格など様々な違いはあれど、共通することとして皆、惹かれるような容姿というわけだ。
「そーいうわけで!陛下の後継者である石田雨竜と陛下の見込んだ黒崎一護、あんた達は陛下の配下として相応しいヤツに再教育を通してならなきゃいけないわけ!……あたしとしてはすごいムカつくんだけどね!」
「バンビちゃん、私情混ぜて殺しちゃダメだよ〜?多分傷つけるのもダメだと思うけど」
「うっさいわね、わかってるわよジジ!……だから、あたしたちバンビーズがたっぷりあんた達の心を蕩かしてあげる。弄んで、嬲って、惚けさせて……従順なガキになるように、ね?」
大胆不敵に笑うリーダー格のような少女に、一護と雨竜は身を固くする。しかし、彼らも今は精神は歴戦の猛者。武器は奪われてしまったが、ならば霊圧や霊子による肉体強化でせめてもの抵抗をするべきだと、意気揚々と走り立ち向かい……
「あなた達はわたし達にたーくさん可愛がられるんです。そんなことしちゃダメですよぉ〜><」
「ったく……ガキみたいな見た目だからって油断したろ。距離感もおぼつかないお前らとは違うんだよオレは」
「好みって言うにはガキすぎるけど……顔は良いよな、黒崎一護も石田雨竜も。ま、陛下の御命令だからどっちにしろ従うんだけどな」
組み伏せられる。男子高校生であった今までの体と、小学生ほどに戻されてしまった今の体では肉体の感覚が違いすぎる。当たれば彼女達も昏倒させられる拳が、そもそも当たらず優しく組み伏せられてしまう。
「や、やめろ!石田は関係ないだろ!何するかは知らねぇけど虐めるなら俺を…」
「いいや、黒崎こそ無関係だ!だから僕を、帝国の裏切り者である僕を先に……」
「うるさい」
「「ひっ……」」
「ダメだよバンビちゃん、締め上げるのもほどほどにしなきゃ。……ボクたちが手出す前にバンビちゃんがスるよね?」
「当たり前でしょ。どっちが立場が上なのかしっかりわからせないと……ね」