ハロー、子供達
(……生体反応確認。)
(……スリープモード及びテラスタルによる保護の解除。実行まで……)
「……こんなトコに人影って…そう見えるだけちゃうん?」
「いや、コレの奥…見辛れぇけどアレのこと」
「なになに?強いのいた??」

(5,4……)
「えぇ何……流石に生身の人間とかじゃないでしょ」
「結晶の中だし俺もそう思うけど」
「何?ポケモンいた??強そう?」
(3,2……)
「もうちょっと近くで確かめてだな…」
「いや仮にマジだったらあんま見るもんじゃ…」
(1,…実行)

「「「わぁ?!」」」

「あんな分厚かったのに…砕けた…??」
「え?!マジック?!どうやったか教えて?!」
……声の音がする。しかし指向を合わせきれず最初からは聞き取れなかった。
顔を向けてみたものの、視野から得られる情報も処理待ちだ。
「…人……なのか…?」
「わ、分からんけど…人じゃなかったら何?いや、でも……」
「人じゃないなら……ポケモンとか?
……あ?はじめまして?」
ようやく幾らか機能が回復した。
スリープの解除から手間取ったけど、これで……

………
「……ペパー?…ネモ?…ボタン?」
何か用向きでもあっただろうか?メンテナンスについてはラボ機器と合わせて一人で出来る様に改良してもらったはずだし、現に前回は一人で……いや。
「え、えっと…?」
「人の名前かな?と、とにかく人違い、です…?」
……違う。制服も違うしよく見れば周りも様変わりしている。
(経過時間再演算。生体情報分析、照応。)
……そう、こんなに経ったのだから友達とは違うのだが。
(生体情報再分析……)
「ごめんなさい、勘違いだ。
改めて名前を聞いても良いかな?」
聞き慣れたアカデミーの名前。
初めて聞く3人の名前。

それらを記憶に刻みながら口角が上がるのを認知する。
既に立入禁止であるこの地の調査を任されたのが、かの友達の「宝物」達だったとは……
「えっとキミはウチの学生さん?その服、私達とは違う気もするけど」
自分を見る彼らの表情はある種の緊張感がある。自分のログを見返せば(スリープ及びテラスタル保護の解除)の文字列。何を見て微妙な距離感を保っているのかは充分推測可能だ。
少しでも緊張をほぐす努力がいるだろうか。
取り急ぎ気さくに、アオイが記憶していた先達の挨拶でも試そうか。

