【ハゲ注意】モブ俺が痴漢を企てるだけの話
ゆるっとふわっと超捏造話。モブ俺がどこかのお祭りで見かけた色気ムンムンの尻に痴漢を企てる話。企てるだけの話です。ワタルさんは一言も喋らないしエロくないのに3000文字超えてしまいました。なんでも大丈夫でかつ時間を持て余してる方向けであります。
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ジョウトのどこかにある一本街道、その名をそのまま「川通り」。
むかしむかしは川だったらしいがいつしか枯れて道になったと言われている。
まだ川だった時は龍が住んでいて、川原を歩く旅人を見守ってくれていたんだって。
滅多に姿を現さないけど喉を潤す人が足を滑らせれば助けに。水浴びしていた人の荷が流されれば届けてくれる親切ぶりだったそうな。
「この川の龍は心優しい神様、有り難や有り難や」
旅人達は龍に感謝し、次第に旅の安全祈願も兼ねて果実や花を川に供えるするようになっていった。
いつしか果実は屋台に、花は花火に。月日が経ち川が道に姿を変えても夏祭りとして現代に残っていた。
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『第◯◯◯回 川通祭』
縁日:17:00〜20:00
花火:19:30より15分間
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今日はその川祭り。かつて川だった道の両脇に屋台が仲良く肩を並べ、人々が頰を綻ばせて行き交っている。
この中に祭りの由来を知っている人は何人いるだろうか。
俺くん「あっちぃ〜・・・。あれ?浴衣だ。おっ?祭りだ・・・」
ここにも何も知らない人物がひとり。俺くんは通りすがりに浴衣姿の人達を見かけて縁日が開かれているのに気がつき足を向けた。
浴衣の女の子Ⅰ「うわーい!りんご飴かわいいですー!ミニリュウのお顔が書いてあるですー!」
浴衣の女の子Ⅱ「今度はおにーちゃんにおねだりするですー!」
揃いの浴衣に揃いの顔の女の子2人が元気に駆けていく。こんなに暑いのに子供は元気なもんだ。
俺くんはハゲ頭に浮かぶ汗をハンカチで拭いながら人の川を進み始めた。
晩メシに焼きそばとかたこ焼きでも買ってこうかな。暑いしかき氷も食べながら帰ろ。
そんな計画を立てながら屋台を眺めていたらふと前を歩く龍柄の浴衣の男性が目に入った。
親子だろうか。先程の幼女2人に両手を引っ張られ、少し背を丸めて歩いている。それで軽く突き出される形になっている尻が誘うように上下してるもんだから俺くんはつい釘付けになってしまった。
俺くん「・・・ゴクリッ」
厚くもないが薄くもない尻。でもさほど揺れない引き締まった上向きの尻が布の下への想像を掻き立ててくる。浴衣の龍柄も歩くたびにうねり、まるで泳いでいるかのよう。床の中でもそんな風に揺れるのかと俺くんはみるみる鼻息を荒くした。
なんだなんだ・・・このパパさん色気すごいなあ。彼の両脇ではしゃいでる女の子2人の横顔は可愛いらしく、このパパさんもきっと美形なのではないか。
そんな期待に俺くんの五感と劣情は一瞬で高まっていった。屋台と提灯の灯りが彼のうなじに滲む汗にじんわりと艶を与え、龍の柄に添えられている流水文様が何かの滴りを連想させてくる。
俺くん「・・・コレハ」
辺りは人で賑わい気を抜けばぶつかってしまいそうな混雑ぶり。女の子2人によって塞がっている彼の両手。それでいて突き出された上下する尻。
俺くん「・・・コレハ、イケル」
ぶつかるかよろめいたフリをして軽く尻を撫でて、もし振り向かれたら「おっと失礼」と会釈して逃げればいいーーー。っていうか振り向いてお顔見せておくんなまし!!
何ならそっちがぶつかってきたと難癖つけて尻に詫びさせてやろう。
俺くん「・・・・ゴクリ」
俺くんは魔が差すままにそろりそろりと息を殺して手を伸ばした。尻に触れるまであと20㌢・・・15㌢・・・10㌢・・・。
俺くん「・・・あ?なんだテメェ」
しかし俺くんは尻まであと5㌢という所で手を止めた。
左右からも尻に向かって手が伸びてきて、その手の主達と尻を奪い合うことになったからだ。
モブⅠ「・・・は?テメェこそなんだ」
モブⅡ「・・・お?テメェもなんだ」
上向きの尻を下から掬い上げるべきか、凹凸を味わうために横に撫で流すべきか。はたまたパチンと手のひらをぶつけ弾力を楽しむべきか。
どう触ってやろうか脳内で考えあぐねいて、俺くんが泣く泣く断念した手の動きを彼らはとってきた。
俺くん「オメーら・・・オメーら痴漢だろ!!」
俺くんにはすぐに理解できた。痴漢しようとした尻が他の痴漢にも狙われていたということを。だって自分が同じことをしようとしていたのだから。
モブⅠ「痴漢はオメーだろ!!」
モブⅡ「オメーも痴漢だろ!!」
俺くん「まだ触ってねーから痴漢じゃねーよ!!」
モブⅠ「俺もだよ!!」
モブⅡ「痴漢になれんのはこの中の1人だけだ!!」
俺くん「痴漢になんのは俺だ!!」
俺くんはライバル2人と睨み合った。またとない一つの尻にまたとない好機。絶対に譲れないという強い思いで尻敵2人をどう引かせようかと考えながらハッとした。
俺くん「あれっ?尻は!?いないよ!?あっ!!」
気づけば尻が目の前から消えている。慌てて視線を泳がせると少し先に彼の赤い髪が見えた。どうやら小競り合いをしているうちに距離が空いてしまったようだ。
このままでは人混みに見失ってしまう。触れねー!!
俺くんは2人を振り切って追いかけようとするもビタリと動きを止めた。
首を回してゆっくり振り向いてきた彼は幼女にでも付けさせられたのだろうか。
ポップにデフォルメされたミニリュウのお面を被っていて顔が見えない。
でもそれはとても可愛いのに何故だかとてつもなく怖くて俺くんは全身をすくませた。黒いつぶらな瞳の部分に空く穴から覗く目がまるでギャラドスのようだったからだ。
何で?まだ触ってない。まだ、触ってないよ。
でもあの目は絶対に気がついていた目だ。
どうしてわかったんだろう。
俺くん「・・・(プルプル)」
警備員「・・・もしもし?もしもし!!ちょっと!!来てもらえるかな!!?」
俺くん「えっ?え・・・?」
俺くんは横から警備員に揺さぶられて我を取り戻した。
どうやらしばらく魂が抜けていたようだ。
それから腕を引っ張られるままモブⅠ・Ⅱと共に詰所のようなところに連れられていった。
触られたという被害者はいないが人混みの中でお互いを痴漢だ自分が痴漢だと罵り合っていれば騒ぎになって当然。
それでいて狙った相手に睨まれてビビったのだから、触ったのがバレて萎縮したのだと誤解されて俺くんはなかなか帰してもらえなかった。
警備員「もう悪さしようなんざもう思わないこった。特にこの場所ではな。悪人を川に流す龍神様の縁の地だ」
遠くから花火の音が響いてくる頃、俺くんのあまりのビビりぶりにそんな根性はないと踏まれてモブ2人より先に釈放されることになった。
警備員「この道が川だったときの話を知ってるかい?」
首を横に振る俺くんを前に警備員は詰所の扉を開きながら話し始めた。
元々この辺りは川で、そこには心優しい龍が住んでいたという祭りの由来となる昔話。
清い心の者が困ると姿を現し助けてくれるたおやかで優美な龍を人々は有り難がり、旅人の安全な道として川原を愛し川と龍を大切にした。
だが善人がいればそれを狙う悪人もやって来る。その旅人や龍そのものを狙う邪な心の魑魅魍魎は幾度となく現れた。
そのたびに龍は魑魅魍魎を川に流し、実際に悪事を働いた魑魅魍魎には更に口から花火のような鉄槌を放ったという。
龍に睨まれて驚きに足を滑らせた者から、撤退を見て改心し頭を冷やそうと自ら川に飛び込んだ者もいたそうな。
かつての川の中流に位置するこの詰所はその流された者が辿り着き懺悔する中洲だった場所。
それでも反省しなかった者は更に下流の、今まさに花火が打ち上げられている場所まで流されていった。
警備員「そんでだな、この祭りの花火は龍の怒りって呼ば・・・」
俺くん「イヤッ!!ヤダーッ!! こんなんさァッッ絶対アレじゃん!!」
俺くんは警備員の話を最後まで聞かずにちい◯◯のような叫びと共にダッシュで扉の外に走り出した。
睨みつけてきた面ごしの視線はあれからずっと尻と共に脳裏に焼き付いており、今しがた聞いたばかりの話から花火の音はなんだか違うものに聞こえてきてしまう。
俺くんは龍から逃げるように川通りから離れ、焼きそばもたこ焼きもかき氷も何一つ買わずに帰路に着いた。
ハゲた頭のてっぺんから足の先まで川に落ちたように汗だくだったのは言うまでもない。
終わり🐉
眠れなくて書いたけどハゲ俺がモブと小競り合いしただけで終わってしまった・・・w
お空に昇華されてもいいからやっぱり触ったろ!!ってリベンジするハゲ俺はいませんか?