ナレーションっていいよね

エアグルーヴの場合

4月某日、トレセン学園は目前に控えた春のファン感謝祭の準備で生徒達が学園を駆け回っていた。校門近くでは来場客を迎えるゲートが組み立てられており、生徒会副会長であるエアグルーヴが全体の指揮を行っていた
彼女は昨年の有馬記念を最後に現役を引退しており、このファン感謝祭が学園在籍中最後の感謝祭となる
必然として向けられる熱量も大きくなり、リストのチェック項目の確認のため朝から働き詰めである
3年間で大きく成長したその体は破壊的な威力を秘めており、制服の上からでもわかるそのグラマラスな体も相まって、バリキャリのOLのような雰囲気を後輩に与えていた
しかし、彼女には大きな秘密があった

その大きな胸と鍛え上げられた腹筋によりさほど目立ってはいないが、わずかに膨らんだその腹の中には臨月になる赤子を抱えているのだ
周囲にバレる事なくここまで来たのは彼女の努力あっての事だ。引退した事でトレーニングの必要が無くなりボディラインが比較的誤魔化しやすい制服でいることが多くなったのも理由の一つかも知れない
昨年の有馬記念を妊娠6ヶ月の体で走り抜いた彼女はもう間も無く誰にも悟られる事なく母親となる。だが今は重い腹を抱え、副会長としての職務を全うするのだ
ヒシアケボノの場合

体の大きなウマ娘というのはそれだけで肉体に爆弾を抱えているのと同義である。自身の体重が脚に与えるダメージは一般的な体格のウマ娘とは比べ物にならず、そのためトレーニングメニューも特殊なものになりがちである
そんな体の大きなウマ娘を専門にするトレーナーがいた。このトレーナーは過去に規格外ウマ娘であるヒシアケボノを育て上げた実績と経験をもとに「体の大きなウマ娘が体を壊さずに走れるトレーニング」を行う事で有名であり、肉体にハンデのついたウマ娘達の救世主的な立ち位置にいる
そんなトレーナーを公私に渡って支えるのが元担当にして、トレーナーの奥さんであるヒシアケボノその人である
自分自身が自分の体で悩んだ経験のあるヒシアケボノは同じ境遇の後輩達の良き先輩、良き相談相手、良き保護者のような立ち位置にいた

そんなヒシアケボノは現在双子を妊娠中である。大きな体に負けず劣らずの大きなお腹を抱え、彼女は今日も後輩達の指導に精を出す