ナミの美容事情
「ナミさ~ん!」
昼下がり。サンジが透き通ったぷるんと揺れるゼリーをサーブする。いいや、あれはサーブというより『下々民が女神様に最高級の料理を献上してる』という言葉が正しい。それくらいの仰々しさがある。ナミは仰々しいまでの『それ』に感謝の言葉と笑顔をひとつ返し当たり前のように享受して、喜び舞ってるサンジを完全にスルーしている。というのがいつもの流れだなのだが、ふと疑問が生まれてしまった。
「なあナミ、お前2年前より綺麗……っつーか大人になったな?」
「えぇ!?」
「あ゛あ゛ァ?」
別にナミに対してセクハラな質問じゃねェはずだ!!おれの純粋な疑問に対して同時に対極的な2つの反応が返ってくる。ナミは顔を赤らめるほど動揺し、サンジはこの世のすべての不満を詰めたガンを飛ばしてくる。正直めちゃくちゃ怖ェよォ!!しかしなんとか一生懸命言い訳しなければサンジの機嫌が直らねェこと請け合いだ!必死に頭をフル回転し言葉を連ねる。
「お、おれが言いたかったのは2年前に比べて垢抜けたっつーか……その美貌の秘密について知っておきたいと思ってな!」
「ああ、そういうことね!」
合点がいったように表情を戻し穏やかな笑みを浮かべ優雅にゼリーを味わいだす。このタイミングで食うのかよ!と思わなくもないが突っ込むと面倒なことになるので黙ってる方が吉だと経験が言っているので食べ終わるまでただ黙って待つ。
ナミはゼリーが思った通り旨かったのかさらに笑みを深め幸せそうに悦に浸り花が綻んでいる。
「んん~~~!!美味しい!さすがサンジくん!これでカロリーゼロなんて嬉しい!ありがとう!」
「良かった~!!お代りあるから持ってこようか~?」
「ふふふ、ありがとう。でもいいわ、大丈夫!……で、なんだったっけ?そうそう私の美貌の秘密、教えてあげる!」
まるで教師のようにスプーンでおれを差し示す。
「女性ですもの、前から最低限のお化粧はしてたわ。でも精神的に余裕が無かったから手をかけていられなかったしお洒落なんて出来なかった。肌も髪も最低限のことをするので精一杯だった。
特に海は肌がすぐ荒れちゃうからスキンケアが大変なの!最近はゼウスがやってくれるサウナ、ロビンのマッサージは最高!食事はサンジ君が管理してくれて、化粧水・美容液・クリーム・パックはチョッパーが作ってくれるし、ヘアケアはブルックが詳しいし喜んでやってくれるし、フィットネスもロビンと私に一から喜んで教えてくれるの!そういう小さな努力の積み重ねでこの美しさを維持してるわけ!お分かり?」
可愛らしいウィンク付の解説を受ける。
「あ……、うん、まあ……、うん」
「ナミさんの為なら喜んで~!!なんでもやるよ~!!」
人や雲を選んでいるというかなんというか……、思ったより仲間の能力をフル活用してた!!!
そのうちおれにも声がかかってきそうで頭が痛い。その時なんて無茶ぶりされるか分からないが、ナミの美容に携わってる連中みたいに何だかんだ我が儘を聞いてる未来は想像に難くない。
晴れやかな青空に負けないくらい、今日もナミが笑ってる。
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ナミさんが好きだああ!!辛い過去を堪え忍び孤独に戦って一生懸命生きてきて報われて、今麦わらの一味で幸せそうに笑ってるナミさんが好きだああ!!君の笑顔は百万ボルト!!好きだああ!!しっかりしているようで抜けていて我が儘で甘えん坊で怖がりなところも好きだああ!!麦わらの一味に何だかんだで甘やかされて愛されてるナミさんが好きだああ!!麦わらの一味が好きだああ!!!!