ナギサ編2
彼女が帰ってくるのは一週間に一度程度。
勿論、あくまで目安ですが依頼やアビドス、ゲヘナなどの彼女の拠点を回っていれば、この家へと帰ってくるのがこの程度になるのは仕方ないのかもしれません。
「こっちに何か問題はあった?」
「いえ、大きなものは特にはありません」
実際、トリニティは平和です。
なにせ、それまで派閥になっていたものが、すべて陸八魔のハーレムとなっているのですから
しいて言うなら、誰がご主人様に一番好かれているか、などで喧嘩にはなりますが、その程度。
「そう。これ、クリーニングしておいてくれる?トリニティ、そのあたり一番得意だから」
「ひゃっ!?は、はいっ」
ご主人様から渡されたのは、彼女が愛用しているロングコート。
初めて会った時から着用していた型のものですが、今は新しいものとなっています。
それは、ご主人様の成長が原因でした。
なにせ、元の身長は私と同じくらいだった彼女の身長は、今や百八十の大台に乗って猶、伸びているそうです。
そうなれば、新しいコートを用意するのも当然でしょう。
そして、投げ渡されたコートは、とても重たい。
何せ、私の身長と変わらない大きさのコートです。
ずっしりとして、先ほどまでアル様が纏っていたから、あたたかく……、それに……。
「ナギサ。何をしてるの?」
「!?も、申し訳ありません」
コートから香る、濃厚なご主人様の匂い。
押し倒されるたびに覚えさせられた匂いに、私の体は疼いていた。
上から降り注ぐ、ご主人様の、アル様の視線。
私の、それを、……発情を見透かされている。
「ねぇ、……ナギサ。今、どういう状態か、私に教えてくれないかしら」
「っ、そ、それは……」
柔らかく、優しい物言い。
だが、その裏に隠された強制力は、計り知れない。
なにせ、それは、誘いの言葉。
優しいご主人様は、こんな誘いを投げかけた後に、ペットからご褒美を取り上げる真似は、しない。
「ご主人、さまの、コートの、匂いで……子宮が、きゅんっとして……」
「……それで?どうしてほしいの?」
でも、おんなじくらいこういう時のご主人様はイジワルです。
私が隠したいことを、わざと聞き出してこようとするのです。
「……だから、……私に、ご褒美を……アル様の、ふたなりおちんぽを……いれて、欲しいです」
「ふふ、よくおねだりできたわね。偉いわよ、ナギサ」
座り込んで、おねだりをする私の頭を、アル様は、大きな手のひらで撫でてきます。
「ベッド、行きましょう?伽の準備はいいかしら」
「……はい!」
私は、先を行くアル様の背を追いながら、用意した寝室へと走るのでした