ドレディア
ポケモン童話あるところに、心優しい若者がいました。
山での生活は自然と隣り合ったものです。
若者はとてもまじめで、畑以外にも花々を手入れしながら暮らしていました。
この山にはたびたびドレディアが姿を現します。
その美しい花を見るたび、若者はもっと間近で目にしたいと考えていました。
ドレディアというポケモンは人を見てもすぐには逃げ出しません。
しかし、若者が目にしたドレディアは誰もいない時を見計らってひっそりと現れるのです。
そのため若者は、自分からはドレディアに近付かないようにしていました。
畑とともに花の手入れをし、現れた姿を遠くから見るだけ。
ドレディアはどうやらその花々を眺めに来ているようです。
美しく咲いた花を一つずつ眺め、嬉しそうにくるくる踊る。
それは、ドレディアがそうやって見ているどの花よりも美しい様子でした。
あのような花を咲かせようと若者も様々試しましたが、どうしてか敵わないのです。
ただそうやって新しい花が開くたびドレディアが喜んでいるようなので、それほど悪いことでもありませんでした。
ドレディアが喜ぶたび、頭の花はより美しくなるようです。
またある時、別の日のこと。
その日は嵐で、若者は早々に家へと戻っていました。
花もこの天気では散ってしまっているでしょう。
心残りからか一瞬、覚えのある香りが風に乗って届いたような気もしましたが…
きっと当分ドレディアは来なくなるだろう、と若者は考えました。
翌日、嵐とともにドレディアも去ってしまったことを思うと若者の心は空のようには晴れません。
自然には敵わないことは分かっていましたが、気落ちしながら外へと足を向けます。
すると——どうしたことでしょう、花も畑もそっくりそのまま残っているのです。
まるで誰かが手助けしてくれたかのように。
そうして嵐など無かったかのように、ドレディアはいつもと同じように花の元へと訪ねてきたのでした。
