ドッキリ!!大成功1.

ドッキリ!!大成功1.


「アイをドッキリ番組に?反対です。アイが傷つく可能性がありますから僕はさせたくありません」

「ならドッキリ内容見せて貰うか?考えているより、マイルドだぞ?あとおまえ仕掛け人予定だったし」

「僕同意してませんよ。なのに、話が進み過ぎてませんか?まあ見ます」

ある日の午後、アイ達B小町全体で歌番組に出演で付き添いにミヤコさんがいない時だった。社長からアイにドッキリ番組のターゲットのオファーが来ていると聞かされたのだ。

「仕掛け人(マネージャー)が控え室で嘘の番組収録予定を伝え、控え室に連れて行く。そこで起きる怪異の数々(目安10分)がターゲットを襲う(身体を傷つけたりするようなものはありません)」

……怪異の内容が知らされていない。

こんな、あやふやなのに受けるかどうか判断しろと?

「どうだ?…って凄く嫌そうだな…断るか?」

「…起こす予定の怪異の詳細分かれば考えます。彼女の安全が第一なので。」

「マネージャーとしてはその姿勢が大事だからな。忘れんなよ?

ほい、こんな感じだ。俺としてはこちらでモニタリングするし、近くで待機だから万一のことがあっても助けに行けるから悪くないと思うけどな」

何々?

・人形が動く

・TVから貞子(女優さん)が出てくる

・いきなり猿のぬいぐるみがドラムを叩く

・電話から念仏が聞こえる

・停電する

・河童の着ぐるみが現れる(JACのアクトレスさん)

・メリーさんの電話

…アイ、ホラーいけたかなぁ。

「まあ配慮はされてますよね。うーん………子ども達に相談ダメですか?」

「アクアとルビーなぁ…口硬い方だけどガキだろ?部外者に話すのはなぁ…ま、一旦持ち帰って考えたらどうだ?」

「そうですね。アイにホラー映画見せて、その反応見てから考えます」

「判断の仕方がそれはそれで酷くないか?」

「僕があまり得意じゃ無いんですよ、ホラー。だからあまり見ないんです。子ども達は楽しんでますけど」

アクアはカタカタ震えながらツッコミ入れて観るタイプ、ルビーはきゃーきゃー言いながら楽しむタイプだ。

「じゃ、また明日。猶予は5日だからうかうかすんなよー」

「わかりました、アプリに忘れない様に期日入れておきます…失礼します」

帰りにDVD屋で店員さんにおすすめのホラー聞いておこう。

🍓

「…ヒカル、すまんな。仕掛け人はおまえじゃなくて」

「私なんだよねー…いやぁ、愛されてるなぁ私〜私のこと1番に考えてくれてたよ〜伊藤社長」ニへラァ

「おーいそこのマヌケアイドル、アイドルがしたらダメな面してんぞ…あと、斉藤な?」

ウチの義娘兼バカアイドルは、実は別室に控えてヒカルの反応を伺っていたのだ。

今回のドッキリ番組は鏑木氏から。

顔が整っている、若い役者好きの彼はアイにもよくオファーを出すし、こいつのバーターでB小町のメンバーを出演させてくれるのはありがたい。ありがたいが、今回目をつけたのはマネージャーのヒカルだった。

『アイ君のマネージャー、彼男前ですね。話題になりそうですし、出演お願いしたいのですが。業界で少し話題になってましたからね、苺プロの若手マネージャーは男前で気配りも良い、と』

それにこいつが「ヒカルはマネージャーだけど俳優としても籍があるんだー」とか言ったらしく、失言…失言でも無いが、その発言で目をつけられた形になる。

今回はヒカルを出すことを条件にアイだけでなく、B小町から3人雛壇に上げると出されたら…それで承諾した。

(すまん、ヒカル…アイ以外の奴らが売れるためにも必要な犠牲になってくれ…終わったら美味い飯連れて行くから、土産付きで)

「ヒカル、私と一緒にホラー観るのかー…ギュッとしたりギューッて出来るね♪楽しみ〜!!」

「おまえホラー映画いけたっけ?出たことはあるけどよ」

「少しビックリしたりするぐらいかな?多分作品によるかも。カントクの作品は大丈夫だったな〜出たからかな?」

「ふーん…アクアとルビーは?あいつらはどうなんだ?」

「アクアは少しビックリするぐらい、ルビーはリアクション良かったような…あんまり怖がる子達じゃないよ」

まあ家族揃ってのホラー映画鑑賞会なりそうだな。

楽しんでくれたら良い。

「そうか。上手く演じろよ?知らない振り」

「私の得意分野じゃん、大丈夫だよ」

「なら良かった。ホラ、早く家に帰ってガキと旦那との時間大切にして来い。俺は仕事あるから」

「はーい、じゃあねー社長…そういえばミヤコさんは?」

「カナン、渡辺が出てるバラエティの付き添い。2時間したら帰って来るぞ、会って帰るか?」

「…めいめいが困るから良いよ。帰るね」

「……分かった。ハイヤーは既に呼んでいるから」

「じゃあ今度こそ、じゃあねー」

寂しげな表情を浮かべたがいつも通りの明るさを感じさせる笑みを浮かべてアイは帰って行った。

「…すまんな。俺が、対応間違えたばかりに…」

義理の娘とはいえ娘は娘だ。娘が嫌がらせを受けて、グループの仲間達と仲違いさせるようにあること無いこと言うのが居ては今後の活動に関わる。それに、娘を嫌がらせをしていた、という行為が許せなかった。

俺は怒りに身を任せて解雇したが…激しく後悔している。

ニノ、高峯、渡辺との間に溝を作ってしまった。浅い、深いは個人差があるがアイの仲間を俺が奪ってしまった形だ。

ミヤコを挟んででも段階を踏むべきだった。

「……後悔ばかりしても終わらねぇ!リカバリーすること考えねぇと!!あいつらの得意分野でそれぞれピンで仕事出来るように俺が頑張らねぇとな!!!」

自分の顔を思いっきり叩いて気合いを入れる。ミヤコ達出迎えたら笑顔で労って次の仕事の話をしてやろう。

喜んでくれたら嬉しいが。

「リング…滅茶苦茶怖いと聞いたけど入門編て本当…?学校の怪談1〜3…呪怨…嫌だなぁ…学校の怪談とリングだけにしよう」

怖すぎて夜寝れない、朝起きられないは嫌だし。

僕は自宅付近のDVD屋で目当てのものを借りて帰宅することにした。

結果は、夜中のトイレが怖かったです、とだけ。

Report Page