デンカVSメカイナセ

デンカVSメカイナセ

稲生・紅衣・メメ・虎屋のスレ主

「搭乗者の言語野の脳波を解析...合成音声にて補完再生します

『さてやるとするかのう!カワキちゃん!』」

「そうだね やろうか」

解説席で刈薙剣司はツッコミをいれざるを得なかった

「最早完全にロボでは!?」

稲生は明らかに人型のカラクリに入っており肌やら皮やらは見当たらず冷たい金属ばかりの塊が鎮座している

「おや キチンと審査を通してあれは『稲生ひよ乃』本人であることは証明済みだヨ」

解説席の映像端末の一部から十二番隊長の声が聞こえてくる 恐らく下手人だろう

「しかし愚鈍な君にも分かるようにこの慈愛で臓腑が形成されているような私が一緒に解説してあげようかネ」

「それはありがたいが...」

出来れば滅却師として学ぶことが多ければ特に良い 今回の対戦カードは生粋の滅却師と混ざり混ざった純滅却師...参考にできそうなことは多いはずだ


そうこうしている内に試合が始まった

「さてまずはあのカラクリだが...そこまで瞬歩には適していない脚部だからネ 飛廉脚にて移動しているヨ これは搭乗者であるモルモットの技術だがその内カラクリ自体に適した移動方法を搭載したいところだヨ」

「瞬歩は消耗が激しい 踏み込む分脚部が壊れやすいということか」

開始しても動かないカワキに対して稲生はカラクリの腰から斬魄刀を引き抜き始解 そして飛廉脚にて一直線に突っ込んでいく

「...腕が伸びたり爆発するのかな?とりあえず引火するか試してみようか

カワキはAの聖文字は使わない 単純に消耗するし死神がこの戦いから解析し情報を得ようとするのは確実...そんな状況で本気で戦うのは得るものより失うものの方が多いという判断だ

そんなカワキの内心などいざ知らず鉄の棺桶は突き進む

メカイナセは進行方向に鴉を発生させた上で時には自ら出した鴉をひき潰しさえしながら突き進む 鴉は従順に稲生を護るために縛道にて盾となる壁を作る

「...滅却師って普通炎が出るものなんだろうか」

「いや それはないネ」

いっそ飛廉脚を使っているメカイナセの方が参考になるといっても過言ではない

戦場に目を向ければ炎は残念ながらメカイナセまでは到達せず次々と注がれる鴉たちを燃やすばかりである カワキとメカイナセとの距離は数mほどである

「カワキ選手は足が速いし 直ぐに距離を離されるのでは?」

十二番隊長は返答はせずニンマリとした笑顔で返した コワイ!


メカイナセが近づきカワキが動き出そうとした時...メカイナセからバチバチという異音が鳴った

「霊圧散布開始 魄睡と鎖結に刺激を与え強制的に散布します」

稲生の物とは違う合成音声が状況を伝える カワキの周りには稲生の霊圧がばら撒かれた

「いくら固く速く動けたとしても物理的な干渉が起き続ければ移動は困難だと思うがどうだろうネ」

霊圧は一斉に鴉へと変換され黒い塊となってカワキを包む

≪≪≪縛道の一 『塞』≫≫≫

鴉が一斉に縛道を実行し圧迫する

だがその黒い塊は即座に切り刻まれた 霊子の糸による裁断である

「...だが動く判断が少し遅れたようだな」

既にメカイナセはカワキの目の前に来ておりそのままカワキに抱き着き拘束した

「起爆します 搭乗者射出」

メカイナセから勢いよく空へと人が入るにした随分とコンパクトな箱が飛んでいく

「成程 やはり爆発か」

カワキは冷静に判断し拘束を逃れるより静血装を使用し耐える事を選んだ...あれほどまで退避しないといけないのならこちらの方がまだ損害は少ないだろう

だが予想に反して爆発は小さく『ボンッ』という小さい音と共に粉のような小さなチップが舞うばかりだ

「散霊手套は既に複製が完了している...そしてそれを用いた兵器もネ あのチップを直に吸い込み服に付着させたままでは碌に霊子は練ることは出来ないヨ」

してやったりという顔で十二番隊隊長は刈薙剣司に解説していた

「それにしても稲生さんの入っている箱小さくないですか?もっと大きく作ってあげた方が窮屈な思いをして戦わなくて済みそうですが」

「アレには内臓が入っているだけだから本人は随分と広く感じているはずだヨ」

聞けば臓腑のみでありそれを支える義手義足の扱いであのカラクリは稲生の体として通したらしい...


だが中から出てきたのはちゃんとよく見る稲生だ なんだか露出度高めな服を着ている

「浦原の奴...早着替えできるナンカをくれと言ったがこのデザインはなんじゃ!」

そう言ってプリプリ怒りながら外へと出てきた

「虚化により"内臓"以外は再生可能だからネ つまりは内臓だけ詰めればコンパクトかつ電極などを楽につけられて便利だヨ...君もやってみるかネ?」

「遠慮します」

空では未だカラクリが持つ堅獄鴉が稲生の霊圧を変換し五柱鉄貫を用意する

それでもカワキは狼狽えない チップを吸い込み取り込んだ後でも霊子を紡ぎ技を放とうとする

「ほう!あの状況でもまだ霊子を紡げるとは...これはイイデータがとれていそうだネ」

カワキの周りに小規模の月牙状の物が形成される

「すごいのお...吾ならその状況ではなんも出来んかったんじゃがな ポチッとな」

「入力を確認 設定3秒 対象に射出」

動かなくなっていたカラクリが再び動き出しボール状の物を簒奪月牙に向けて放つ

ボールは分解されることなく月牙をその内へと納めた

「霊子固定装置...とかいう名前らしいぞ!英語じゃなくて吾言いやすくて助かる!」

既にこの状況においてカワキ側に出来ることはない

「降参させてもらおう」

五柱鉄貫を静血相で受けきってもその後が厳しいと判断したカワキは降参を選んだ

「しかし...どうやらアレは本気ではなかったようだネ 並の滅却師なら十分使用可能だと実験できだけヨシとするヨ」


これら一連を見て一言「全く参考にならん...」そう一人呟いた刈薙剣司であった

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