デミヤ味方の導入的な
なんやかんやで別れたけど、再度事件に巻き込まれ予想外な再会を果たしたメルトと藤丸。しかし再会を喜ぶのもつかの間、敵組織の手により囚われてしまう。
そんな監禁された一室での出来事。
「いや〜、ひとまずメルトが元気そうでよかったよ。テレビでは見かけてたんだけど、実際にこうして会うとね」
「何呑気なこと言ってんの!?今の状況分かってる?相変わらず能天気で変わらないわね貴方は!」
「いやその辺はまぁ、今捕まってるのも計画のうちと言いますか…メルトが居るのは予想外だったけど。とりあえず仲間が助けに来てくれるから、安心して」
「仲間……貴方1人じゃないの?あのマシュって子?」
「マシュは別件かな、今居るのは……あぁ〜」
そう突如としてどこか歯切れの悪い様子へと変わる藤丸、メルトは直感的に彼が隠し事をしていることを見抜いた。
組織のエージェントな筈なのに、この男藤丸立香はどこか嘘が苦手な面があるのだ。
「続きを聞かせてもらおうかしら……だ・れ・が!一緒に居るのかしら〜?」
「いや〜、やっぱり秘密保持のためこういうのは知らない方が……巻き込まないためにも」
「お生憎様、もうとっくに巻き込まれてます!!どうせ女なんでしょ!私をほっといて、女と楽しく世界をまたにかけて飛び回って!その先でもまた女作って!」
もはや止まらずまくし立てるメルトにされるがままの藤丸、だがその顔に緊張が走る。
数秒後にメルトも気付く、監禁されている部屋の外、足音を聞き取る。
さりげなくメルトを庇う位置へと動き、前回の事件で場数を踏んどメルトも緊張と共に覚悟を決める。
ゆっくりと扉は開かれ。
「アンタは……!!」
メルトは目を見開き、驚きを隠せない様子でその人物を見る。同時に予想だにしない、最悪の状況と確信する。
全体的に黒い衣装に鋭い視線をこちらへ向ける。その手には明確に凶器とわかる拳銃を携える。
前回の事件でメルトと藤丸を追い詰め、その命を危険に晒し。最後には何故か黒幕を背後より殺害しながら姿を消した傭兵。エミヤ・オルタがそこにはいた。
「アンタ、まだ私の命を……」
「生憎、もうアンタに興味は無い。大した金にもならんしな」
そう平然と無関心とその口から言われるが、それでも警戒心はとかない。
強気な彼女は決して傲慢な訳では無い、この男の危険性は身をもって知っているからこその警戒心なのだ。
だがそんな彼女の気持ちを知らぬ人物がもうひとりいた。
「いや〜、助かったよ。俺だけならまだしもメルトが居たからね。ありがとうね」
「構わんさ、大して期待はしてなかったしな。それに、これも契約のうちだ。仕事はするさ」
そう親しげに無警戒に話し出すのはすぐ隣にいた藤丸。いつの間にか拘束された縄は解けている。
「えっ!ちょっ!?どういうことよ!」
すかさず説明を求めるメルト。
平然とそれに答える藤丸。と言っても、既にこの状況になればメルトも大体把握し始めている。未だに信じられぬ現実ではあるが……
「今回のサポートというか助っ人。さっき話した仲間ね。既に知ってると思うけど……」
「と、言うわけだ。どこかに属するつもりは無いが、金払いは悪くないんでね。」
そう簡潔に述べると2人してこの部屋を後にするため歩き出す。
「説明しなさいよー!」
メルトの叫びが虚しく響いた。