デイイス現パロセフ○(2回目)
・引き続き10ターン目133さんのネタをお借りしてます
・視点はイスカリ
・出会ってすぐの頃なので割とドライ
・二次元のエロはファンタジー
・「嫌なことをしないようにやってと言われたことしかしない」をクリプターさんにさせようとしたらこのザマ
OK?
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「イスカリ」
後ろから声をかけられる。振り向くと、そこには先日僕を抱いた男……クリプターと名乗った金髪の男がいた。
「……クリプター」
彼の名(通り名だが)を呼び、駆け寄る。再び会う約束を取り付け、こうして来てくれたはいいものの、何を言うべきかを躊躇っていると、頭に体温を感じる。顔をあげると、クリプターは複雑な表情で僕の頭を撫でていた。
「どうした、突然呼び出して」
「……」
言葉に詰まる。実のところ、彼を呼び出すことに対する適切な理由は見出せていなかった。クリプターはしばらく僕の頭に手を置いていたが、やがてそっと離す。その感触を離れがたく思って、僕は反射的にその手を掴んだ。
「……」
クリプターは何も言わずに僕を見下ろしている。僕は彼の手を握りなおし、そっと頬に寄せる。
貧相な僕の手よりも、ずっと大きな手のひら。頬を包み込む感触に安心感を覚えて目を閉じると、親指で頬を撫でられる。目を開けて様子を伺うと、クリプターは相変わらず何を考えているのかわからない無表情で僕を見ていた。
「っ!!」
目が合った瞬間、僕の脳裏にあの夜のことが浮かぶ。声をかけてしまった後、ホテルに連れ込まれた時の緊張感。覚悟を決めて自分の側の準備をし、押し倒した時の呆けたような表情。積極的に止められなかったのをいいことにズボンから引っ張り出した想像より遥かに大きな逸物、弄っている最中に「止めるか?」と問う無機質な声色、それを押し切ってクリプターに跨り突っ込んだそれの質量、一度絶頂を迎えた後にぐるりと反転した視界とこちらを見下ろす獣のような眼差し、そして僕をどろどろのぐちょぐちょにした──
「イスカリ」
声をかけられ、ハッと我に返る。
「何か、用があったんじゃないのか」
問われ、しばらく口籠る。何を要求しようとしているのか、という警戒はされてしまっているだろう。所詮彼にとっての僕は、押しに負けた結果一夜を共にしただけの存在なのだから。
僕の頬に添えられていた手が離れていく気配を感じた。ぎゅ、とそれを力強く握り、僕はクリプターと視線を合わせた。
「……また、抱いて欲しい」
迷った末、僕は今回呼び出した目的を正直に言うことにした。
クリプターがわずかに目を細める。これは予測していなかったのだろうか。
「だめか?」
その視線に離れていきそうな気配を感じ、僕は何も握っていなかった方の手で頬に添えられているクリプターの腕を掴む。クリプターは反対の手を僕の肩に添え、軽く撫でると、ため息をついた。
「……いいだろう」
*
準備を終えてバスローブだけを身に纏ってシャワールームを出ると、クリプターは同じようにバスローブを身に纏い、ベッドに腰掛け、スマートフォンの画面に目を落としていた。
「終わったか、イスカリ」
スマートフォンをベッドの脇の台に置き、僕に視線を合わせる。その様子を見て、後ろめたい気持ちが霧のようにもやもやと溢れる。彼は、僕とは違う世界の住人なのだ。ここにいない間は、きっと、僕なんかではとうてい叶わないような洒落たところで働いて、高いバーで酒を飲んで、家賃の高いマンションで暮らしているのだろう。彼のたたずまいは、ただの高校生がそう思うにふさわしいものだった。
「……どうした」
彼のそばに行くのを躊躇っていると、クリプターはベッドに腰掛けたまま、両腕を広げた。おいで、と動く口に誘われるようにふらふらと彼に近づき、倒れ込むように抱きついた。
僕の視界いっぱいに、ベッドのシーツが大写しになる。僕を受け止めたクリプターが仰向けに倒れ込んだのだ、ということは、背中に添えられた腕に愛撫された時に気がついた。
「……」
お互いの呼吸音だけが、僕たちを取り巻いている。ラブホテルの部屋の、ベッドの周り。僕とクリプターの存在だけが、世界の全てになったような錯覚を覚えた。
クリプターの首筋に顔を埋め、逞しい身体により一層強く抱きつく。クリプターは僕の背に添えた腕に力を加え、ゆるく背中を撫でた。
きゅ、と腹の奥が締め付けられる。と同時に、己の陰茎が芯を持つのを感じる。
「……クリプター」
身体を擦り付けるように身を捩らせると、クリプターはくるりと身体を反転させ、僕をベッドに押し倒した。
クリプターは、僕の頭の横に手をつき、僕を見下ろしている。仰向けになった拍子に離れてしまった腕を背中に回すと、クリプターは身をかがめ、顔を近づけた。
「目を閉じて」
低い声に従うまま目を閉じると、唇が柔らかい感触に塞がれる。キスをされているのだ、と思いながら、クリプターの背に回した腕に力を込め、身体を密着させる。クリプターは唇を開き、横に閉じたままの僕の唇を舌でなぞった。その感覚がこそばゆくて唇を広げると、クリプターの厚ぼったい舌はそのままぬるりと僕の口の中へ侵入してくる。それに添わせるように僕の舌を絡ませると、クリプターの舌はそれに応えてゆるやかに僕の舌をなぞる。口の中で籠るぬち、ちゅく、という音が、僕の頭の芯をじぃ、と焦がしていくような感覚を覚えた。
どれだけの時間、クリプターとキスをしていただろうか。ちゅ、という音とともに離れた唇は、混ざり合った唾液が名残惜しげに糸を引いていた。
「緊張は解けたようだな」
言われ、僕は改めて自分が緊張していたことに気がついた。
「……仕方がないだろう」
こちらを見下ろす無機質な瞳の主に、僕は言う。
「連絡先を交換したとはいえ、その……行きずりの相手とまた、こうして会ってもらえるとは思わなかったからな」
「そうか」
クリプターはそう返すと、ぼふ、という音を立てて僕の隣に身を横たえた。身体を転がしてクリプターと向き合うと、クリプターは僕に手を伸ばして頬に触れ、親指で頬骨のあたりをなぞった。しっかりとした指に撫でられるうちに、僕の腹の奥でじわじわと熱が溜まっていき、思考を煙らせる。
「……クリプター」
しばらくお互い何も言わずに見つめあっていたが、僕に声をかけられると、クリプターはぴたりと指を止めた。
「そろそろ……してほしい」
「してほしい、とは、何をだ」
目を剥きそうになる。まさか本気でわからずに尋ねているわけではないだろう。僕に恥ずかしい思いをさせるのが目的なのだろうか。
「……僕を、抱いてほしい」
「わかった」
意外にもクリプターは素直にそう返し、僕を抱き寄せる。首の後ろと背中を大きな手に支えられ、がっしりとした肩に顔を埋める。広い背中に腕を回し、クリプターのにおいを鼻いっぱいに吸い込むと、クリプターはあやすように僕の背を叩いた。
クリプターの体臭が僕の肺を満たすにつれ、じわじわと腹の奥に熱が溜まっていくのを感じる。クリプターは僕を抱く気はないのだろうか。興奮で茹る頭は、そんなことを考える。いや、確かに抱いているのだが、そういう意味ではない。僕の性器がすっかり固くなっているのを、そしてそれがクリプターの太ももに押し付けられているのを、わからないはずはないのだ。そして、それが嫌ならこうして抱きしめたままにせず、きっぱりと拒絶するだろう。
……はっきり言わないとダメ、ということだろうか。
「クリプター」
「何だ」
僕の呼びかけには、やはり感情の乗らない声が返ってくる。
「その……脱がしてくれないか、僕もその……」
「その、何だ」
背中を撫でる手は止まっている。他の誰に聞かれるわけでもないのに、声を出すのが何だか恥ずかしくて、僕は近くにあるクリプターの耳に顔を寄せて小さな声で伝える。
「……僕の尻に、オマエの……ち、ちんこを挿れて欲しいから、その……準備もしてきたし……」
言った。言えた。言ってしまった。いつかの夜の誘いよりは、少しはマシだと信じたい言葉。照れ隠しに、クリプターにしがみつく腕の力が強くなる。年上の男の肌のにおいが僕の鼻腔を侵し、ぼんやりとした思考をさらに曇らせる。
「準備、というのは」
背中に添えられままだったクリプターの手が、するりと滑って僕の尻に添えられる。
「ここのことか?」
尻の間に中指を這わせるように撫で、感情の読めない声色で、クリプターは僕に尋ねる。
「……その、奥……」
まさしくその場所がじんわりと熱くなるのを感じながら、僕は頷いた。
「前みたいに、風呂場でちゃんと洗って、ほぐしてきたから。オマエのちんこ、ちゃんとはいるように」
先程はつっかえていた恥ずかしい言葉が、するりと出てくる。口にするのも恥ずかしかったのに。
「そうか」
クリプターはそう答えると、僕を仰向けに転がし、跨る。必然的に僕は、クリプターの顔と正面から向き合うことになる。
無造作に見えてセットされた髪。整えられた眉。欧米人ながら日焼けした肌に端正な顔立ち。長いまつ毛の奥の、紫水晶のような瞳。
「んっ……」
片方の乳首に触れる感覚があり、僕は思わず目を閉じる。いつの間にか、クリプターは僕が身に纏ったバスローブの前をはだけさせていた。顕になった乳首に、指を這わされているのだ。
「やっ……あんっ」
クリプターはそのまま身を屈めると、指で弄っていない方の乳首に顔を近づけ、舌先でちろちろと舐めだす。思わず彼の背に腕を回し、縋り付くようにさすると、クリプターはそのまま僕の胸に唇をぺったりとつけ、ちぅ、と音を立てて吸った。
「ひんっ……」
くすぐったい。恥ずかしい。まるで自分が女にでもなったかのようだ。
クリプターの様子を伺うと、ちょうど上目遣いにこちらを見ているクリプターと目が合った。おまけとばかりに舌先で固くなった乳首を数度はじき、身体を起こすと、クリプターは片手にビニール製の手袋をしていた。
「ちゃんと解れているか、もう少し確認しよう。肛門に怪我をすると今後の生活に支障をきたすはめになるからな」
☆
「んっ……」
クリプターの指を尻の中に感じながら、僕は枕に顔を埋めて喘ぎ声を押し殺す。クリプターが僕の尻の穴をほぐしはじめてからどれだけ経っただろう。そのために使い捨ての手袋を持ってきているとは思わなかった。
僕は今、四つん這いになって尻を突き出し、尻の穴をクリプターに解されている。これから行う行為の前準備である。
「こんな感じでいいか」
ずるりと引き抜かれる感触と共に、クリプターが僕から離れる。
「……まだ、不十分だったのか」
枕から顔を離して、後ろにいるクリプターに問いかける。クリプターは手袋をごみ箱に捨て、こちらに戻ってくるところだった。
「慣れていないうちは痛いと聞くからな」
尻を突き出したままの僕の後ろに腰を下ろしながら、クリプターは言う。
「前回は慣らす時間もないまま無理をさせてしまったし、セックスをするのならオレだけではなくおまえも気持ちよくならないとな」
「……気持ちよかったのか、オマエ?」
「それはまあ」
身体ごと振り向こうとするのを、クリプターが止める。身じろぎをやめた僕の尻を撫でながら、クリプターは続けた。
「そうでなければおまえは自力でシャワーを浴びれていただろうからな」
きゅっ、と僕の腹の奥がかすかに疼く。興奮したジャガーのような荒い息遣い。コンドームをつけかえる手間も惜しいと言わんばかりの雑な手つき。僕の身体を抑えつける、たくましい腕と身体。
……全身で、クリプターの支配下に置かているという錯覚。身体の奥まで、クリプターに暴かれ、そして満たされているような快楽。
あれが欲しかった。あと一度だけでいいから。……いや、違う。もし再び抱かれることがあれば、もう二度と、何も知らなかった頃には戻れないだろう。
ちらりと様子を伺うと、クリプターがコンドームの袋を開けて、中身を己のペニスに被せているところだった。
「……それ、いるのか?」
声をかけられ、クリプターがこちらを向く。
「妊娠するわけでもないのに、とでも言いたげだな、イスカリ」
「……男同士だからな」
赤ん坊がどうやってできるのかを知らないほど無知ではない。男女が性交渉を行うのにコンドームをつけるのは、望まぬ妊娠を防ぐためだろう。
「それだけではない」
クリプターが膝立ちになり、ローションを仕込んだ僕の尻に力強くそそり立ったそれの先端をあてがう。
「セックスをすることで感染する病気もある。まあ、どちらかが菌を持っていなければ感染はしないわけだが……挿れる場所が場所だからな。出来る予防策はやっておくに越したことはない」
ぬちぬち、とクリプターは僕の尻の穴を突くようにしてすっかり猛ったものを押し付けてくる。
「……前にオレと会ってから今まで、他のやつとヤったか?」
そう問いかけられる。声を出さずに首を横に振ると、「そうか」とそれだけ口にして、僕の腰を掴んだ。
「それはよかった」
そう言いながら、クリプターが僕の尻にぐい、と押し入ってくる。
「あっ……」
その瞬間、思わず声が出る。指よりも太いもので内臓を内側から弄られているのだ。そのくらいの声が出るのも当然だろう。
「はあっ……ふっ」
僕の尻の中に己の性器を納めきった後、クリプターはゆっくりと律動を開始した。
「あっ、あっ、あんっ」
クリプターではない、他の誰かと『こういうこと』をする。それを考えたことがないわけではない。だが、実行に移そうとは思いもしなかった。
クリプター以外の人間に跨られ、尻に突っ込まれて腰を振られる。裸の身体を寄せ、体温を感じ合う。それを想像すると、なんとも言えない妙な感覚を覚える。
恐らくは、僕が『クリプター』と呼ぶこの男と、この行為が紐づいているからだろう。
「く、くりぷた、くりぷたぁ♡ぎゅってして♡後ろからぁ♡♡」
快感を拾いはじめてじわじわと溶けていく思考が、もっと、もっとと叫んでいる。クリプターに全部を与えられたい。全部を与えたい。
「っ、ああ……わかった、っ……」
クリプターは一度腰の動きを止めると、僕の身体の横に腕をつき、背に腹を触れさせるようにぴったりと寄り添うと、ぱん、ぱん、と再び腰を打ちつけはじめた。僕の耳元でクリプターの荒い息遣いが聞こえ、その音とクリプターのにおいが、僕の頭をまた快楽でぐちゃぐちゃにかき回す。
気持ちいい。気持ちいい。それ以外、何も考えられない。
「くりぷた♡あっ、やっ、はんっ♡」
「イスカリ、イスカリ、イスカリ……」
ただ、お互いの名前を呼び合う。僕のおなかの中の、クリプターの肉欲の象徴が、ぱちゅ、ぱちゅ、と、奥で火花を散らすように快感を散らす。
「はっ、あっ、あんっ、あう……」
「はぁ、はっ、はぁっ、はあ……」
クリプターの様子を横目で伺うと、僕の顔のすぐ近くにクリプターの顔があった。平時と比較して余裕のない表情を浮かべる横顔を見ていると、クリプターもこちらを見つめてくる。
どちらからともなくお互いに顔を近づけ、唇同士を触れ合わせる。
「んっ……」
歯列をなぞり、舌を絡め、さらに深く、相手の唇を求める。その間も、クリプターは腰を止めなかった。
「んぅっ、んっ♡」
クリプターに覆い被さられて、声も、満足に発せない。与えられる快楽は発散されぬまま、僕の中に溜まっていく。
「くぃぷた、ぁんっ♡」
クリプターが唇を離し、僕の乳首を弄る。皮膚が薄いからか、僅かな力での接触でもぴりぴりと痺れるような感覚を覚える。
そのまま、クリプターは僕の股間に手を伸ばすと、立ち上がった陰茎を握り、しごきはじめる。
「やっ、やらぁ♡」
「ああ、すまない」
僕の声を聞いたクリプターは、即座に乳首や陰茎から手を離す。
「やっ、え、なんで止めるんだ」
「嫌だ、と言っていただろう」
それだけ言うと、クリプターは僕の腰を抱え、僕の尻の奥へ打ちつけることに集中する。
「やっ、やだっ♡」
快楽に流されるまま僕はその手を掴み、自分の胸と股間へと引っ張る。
「もっといじって♡胸も、ちんこも♡♡全部、ぜんぶ気持ちよくなりたいんだ♡」
そう言い終えると、クリプターが動きを止めた。僕の尻の中に埋め込まれたそれが、どく、と脈打つのを感じる。
「え……」
僕の困惑をよそに、クリプターは僕のうなじにキスをする。
「わかった」
そう言った後、クリプターは僕の乳首と陰茎に手を這わせ、激しく動かしはじめた。
「あぁああああああああああ♡」
叫ぶような喘ぎ声が、僕の喉から放たれる。それが、少し恥ずかしかった。
尻の穴、乳首、陰茎。全てを弄られている。クリプターは僕を抱えるようにしながら乳首をこねくりまわし、陰茎を扱いている。
背中にクリプターの体重がかかる。荒い息遣いが、僕の耳に触れる。かと思うと、はむ、という音と共に耳に熱を持ったものが触れる。唇で咥えられたのだ。
「やぁ、やぁん♡そ、それきもちぃい♡」
「そうか」
耳から唇を離さないまま、クリプターはそう答える。耳の外側の骨ばった部分に、ぬるり、と舌を這わされる。それすらも気持ちがよくて、僕はただ喘ぐしかなかった。
快楽を与えられている。支配されている。……この男のものにされている。
それを、強く感じた。
「イスカリ、イスカリ、うっ!」
僕の名を小声で唸るように囁いたかと思うと、クリプターが一際強く腰を打ちつける。絶頂を迎えたのだろう。
「あ゛っ♡あ゛ぁ~~~~~~~~~~♡♡♡」
それと同時に、僕も絶頂を迎え、びゅる、と陰茎からびゅる、と射精したのだった。
「はぁ、はぁ……」
呼吸を整えながら、余韻に浸る。クリプターは、僕のうなじにちゅ、と口付けをおとした後、身体を起こしてコンドームの処理をした。
それをぼんやりと眺めながら、僕はベッドに身体を横たえる。
自分で欲求の処理をするときは、一度達したらそこで思考を切り替えられるのだが、こうしてクリプターに抱かれて絶頂を迎えるときはそうではない。しばらく余韻が引かないのだ。身体を動かすのも億劫で、しばらく快楽の名残に身を浸していたくなる。
まどろみに沈むように、僕は目を閉じた。すると、ぐい、と再び腰を掴まれる。目を開けると、クリプターがこちらを見下ろしていた。
「え、クリプター……?」
「すまない、まだ収まらない。もう一度、付き合ってくれ」
興奮が覚めていない声でそう言うと、クリプターは僕をベッドにうつ伏せに寝かせ、尻の穴に固いものをずぶりと侵入させる。
「あっ♡」
逃げようにも、腰に体重をかけられて抑えられているのだからそれも叶わない。シーツを掴む手は、上から大きな手に掴まれた。
「あっ♡あぁっ♡」
「イスカリ、イスカリ……」
そうしてまた、クリプターに奥を突かれながら、僕は快楽に沈んでいくのだ。
*
結局解放されたのは、それから3回ほどクリプターが絶頂を迎えてからだった。
「オマエ普段どれだけ溜め込んでるんだ……」
「これでも時々1人でどうにかしてはいるんだがな」
涼しい顔でそんなことを言う。こいつが欲求不満になった時には、どんなに恐ろしいことが待ち受けているのか……気が遠くなりそうで、僕は考えるのをやめた。
「……今回は、控えめだったな」
僕がそう問いかけると、クリプターは僕に顔を向ける。
「そうか?」
「この前は酷い目に遭ったからな。歩けなくなるなんて思わなかったぞ」
「それは……オレも反省している」
制服のボタンを閉め、カバンを持つ。ホテルの部屋の終了時間がもうすぐなのだ。
「ああ、でも」
僕は言う。
「嫌ではなかったし……また、やりたい」
そう言うと、クリプターは少し黙った。
「……あまり、無茶はさせたくないんだが」
「時々でいいんだ。その……気持ちよかったし」
「そうか。……出るぞ、イスカリ」
自分の鞄を手に持つと、クリプターは僕にそう声をかける。背を向けて歩き出す背の高い男について、ホテルの部屋を出た。
(……待てよ)
「クリプター」
エレベーターの中で、クリプターに話しかける。クリプターは返事をする代わりに、視線だけをこちらに寄越した。
「……また、会えるか?」
ホテルの部屋では、なんとなく会話をしていたが、クリプターとの会話はこれからも継続的に会う前提のものだった。
そのことが嫌なわけではない。むしろ、クリプターと継続的に会えるなら、それほど嬉しいことはなかった。
「……そうだな」
クリプターは、視線を逸らし、僕の肩を抱く。
「まあ、予定が合えば、また」
そっけなくそう言いながらも、クリプターの手は僕を引き寄せ、優しく肩を撫でていた。