テオ

テオ


「名前を贈る」


母上が急なのはいつもの事だ。何に名前を付けるのだろう?今回なら誰にだろうか。


「チョコの名前は可愛らしいものになったと思う」


むふーと満足気な妹と母上だがどこか商人のような声色。品物の良さを語るような口振りである。


「大昔の好物から取ったのですよね。俺も好きです」


「うん。でも今回は私の好物と決めてしまうつもりはないんだ」


案を出すべきなのだろうか?いやチョコの様子からすると……


「お前の名前だ」


「俺に名前」

「歴代の闘神達には名前を下界で得た者もいる。それは幸福なことで、恋人や師や友がくれた宝物だろう」


だが、名前を持たないまま死んだ者も少なくない。

……それどころか。剣とは違う。使命に必要だったがコレは俺だけのためのものだ。


「お前が考えている通り。

だがそれは私の罪であってお前に与えない理由やお前が受け取らない理由にはならない。」


「名前を呼ばれる喜びを私は知ったが、お前に呼んであげたい名前を考えるのに随分時間がかかってしまった。受け取ってくれるかな」


……チョコの前で言えることでもない。受け入れる理由を二つも与えられた。母上はズルいところが結構あるのだと歴代の闘神達は知らないだろう。


「俺は今後、なんと名乗ればいいのでしょうか」


「テオドールだ。愛しいテオ。お前はこれから沢山のものを見て、たくさんの個性を得ていくだろう。けれどお前の最初の一歩は私の贈るものであり、私の子であるという意味合いの言葉を与えたかったんだ。」


テオドール、テオ。テオテオテオ。口の中で言葉を転がすとなんとなく勇ましく、カッコいいように思えて嬉しくなってくる。


「テオ兄さん、良かったですね」

「ああ!俺はテオドール。嬉しいです。」


「喜んでくれてよかった。」


やわらかく笑った母上に2人まとめて抱き締められた。


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