チャーハン仁王
㊟このスレに書き込まれた仁王概念を使っています。文を読む前にこのスレを一読ください。
㊟筆の赴くままに書いていますので閲覧注意です。
スレ主様のレスを参考に書いてます。
㊟何も仁王の事が分からないので全て想像で書いています。解釈違い等ありましたら自爆するか、即telegraphを閉じることをお勧めします。
夢...?片思い描写が少しあり
男には人生の中で一度はチャーハンに凝る時期があるらしい。
凝るなぁ!!ハマるなあああ!!
美味しいんだけどさ...
1週間連続でチャーハンはいやだぁぁぁ!!
...お兄ちゃんが顔を真っ赤にしながら中華鍋をブンブンと振り回してる。腕の筋肉がピクピクと動くのに合わせて鍋の中の具材が四方八方に飛び回り、かき混ぜられる。
ニンニクと焦がし醤油の香ばしい香りが辺り一面に漂う。普通ならその匂いに食欲をそそられ、チャーハンの完成を待ちわび、餌を前にした犬のように涎を垂らしそうになるだろう。でも、それは一日、たまにの事だからだ。こうも毎日連続して出されていたら嫌にもなる。...でもなぁ、お兄ちゃんだって真剣だし必死にチャーハンを極めようとしてるし。なんか言いづらい。
チャーハンが完成したのか、お兄ちゃんは中華鍋をゆっくりとコンロの上に下ろし、首に巻いたタオルで「あちー」と額の汗を拭う。その姿は、マジでラーメン屋の亭主にしか見えん。髭生やしてるし、老け顔だし...。前に一度だけ、「髭剃ったらもっとかっこよくなるかもよ」と冗談で言ったら、やんわりと拒否された。私には理解できないこだわりがあるらしい...。分かんないなぁお兄ちゃんは。
出来上がったチャーハンを半球型に綺麗によそい、ニコニコ顔で私に差出す。
「ほらっ、チャーハン出来だぞ。食べて味の感想聞かせてくれ。」
...真面目そうに言ってくるからどうも拒否できない。私はけだるく椅子から立ち上がり、熱々のチャーハンを受け取る。
「またチャーハン?いい加減に飽きたんだけど。」
「そんなこと言うなよ。後生だから。」
ホカホカと湯気がたつチャーハンはまさに理想を体現したかのようで、胡麻油でコーティングされた米の一粒一粒が輝いている。くすんだピンクのお肉は焼き豚だろうかゴロっと大きくて食べ応えがありそうだ。
レンゲに一口分を載せ、ふうふうと息を吹きかけ口に運ぶ。
「...美味しい。」
なんか今までのチャーハンの中で一番の出来な気がする。
「えっ、本当か!改善点とかあったら教えてくれ。」
「無い。てか、なんでチャーハンに凝ってんの?」
そう尋ねるとお兄ちゃんは少し困ったように微笑んで
「まあな...」と呟いた。
答えになってないし...。でも私にはわかっちゃうぞ、女の子だろ~お兄ちゃん!!
そういえば、お兄ちゃんが片思いしている子がチャーハン好きだとか愛空さんと閃堂さんが言ってたっけ...。物腰柔らかな可愛らしい女性だろう。この先、その子に振る舞う機会でもあるのかもしれない。
「分かったよ、お兄ちゃん。上手くいくといいね~♡」
「何がだよ...」と顔を赤くし、焦るお兄ちゃんを尻目に私はチャーハンを掻き込む。