ダンスは貴方と……
「拓海先輩、私とダンスパーティーに行きましょう」
「藪から棒に何を言ってるんだお前は」
「空色胡椒時空の私がプロムに行くらしいので、ちょっと羨ましくて」
「だから何を言ってるんだお前は」
ここはデの字時空。
このここねちゃんはちょっと色んなところがずれちゃってる子みたいね(天の声)。
「他人様のSSにメタ的に言及するような奴はちょっとズレてるどころじゃないんですよ、よねさん!」
地の文に突っ込んじゃう拓海くんに言われたかないわね。
それよりも、ほら、ここねちゃんがお返事を待っているわよ。
「そわそわ」
「真顔のまま自分で効果音つけるな。というか、なんでオレなんだよ」
「他に選択肢がないからです」
「消去法かよ」
「一応、前向きな検討ではあります。だってダンスですよ? 男性と女性が、こう、抱きつくみたいにして踊るんですよ? 私がそんなことができそうな男性って、拓海先輩以外にはパパと轟さんぐらいですよ?」
「その枠にオレが入ってたことにビックリだよ。つまりオレは身内同然ってことか」
「デリシャスパーティーの仲間は家族より強い絆で結ばれている、ってあまねが言ってました」
「誰が黒幕か判明したようだ」
そう言ってその場から去ろうとする拓海くん。
こらこら、まだちゃんとお返事してないでしょ?
「よねさん、勘弁してくださいよ……」
昔、教えたでしょ。
据え膳食わぬは男の恥って。
「言ってましたっけ!?」
「先輩、そわそわ、先輩、そわそわ」
「……ええい、仕方ない。付き合ってやるよ」
「ありがとうございます。やっぱり先輩は人が好いですね」
「そこはせめて好い人と言え! ……んで、そのパーティーとやらはいつどこでやるんだ?」
「えーっと、確かもらったチラシがこの辺りに……あ、ありました」
「どれどれ……“和食ストリート主催クリスマスボンダンスパーティー”……?」
ボンダンス。
盆ダンス。
あらあら、これはもしかして。
「盆踊りじゃねーか!」
「クリスマスに盆踊りだなんて、季節感を無視する先輩は最低です」
「そうよ、グランオーシャンの女王たる私に盆踊りしろだなんて最低よ!」
「盆踊り企画したのはオレじゃねえし盆踊りバカにすんな。ていうかローラお前どこから生えてきた!?」

ちゃんちゃん♬