セ〇クスしないと出られない部屋に入れられたけどセ〇クスしたくない
⚠️ワンクッション⚠️
・21歳フーズ・フー×13歳ロブ・ルッチ
・タイトル通りの内容(本番なし)(下品)
・「セ〇クスするぞ」「いやだ!!!!!!」という話
・キャラ崩壊?(13歳なので)
・合わなかったらスルーしてください
もうどうしようもないほどに、絶望の淵にロブ・ルッチは立たされていた。
広いベッドが一つと備え付けられた付属の引き出し、テーブルだったものの残骸、あと椅子。そして扉が一つあるだけの部屋。その扉の上にデカデカと書かれた文字に項垂れるしかなかった。
『セ〇クスしないと出られない部屋』
ただそれだけ、大きく書かれていた。
そして扉はその宣言通りに、扉の取っ手をどんなに回して動かしても鍵のかかった音がするだけ。力任せに扉をぶち開けようにもうんともすんともビクともしない。
ふざけるなと怒りを露わに叫びだしたかった。今すぐにでも暴れて胸の裡に積もる感情を発散させたかった。絶望しかない。
CP9のロブ・ルッチしか知らない者が今の彼を見れば大層驚くことだろう。冷酷に人を殺す男が──人質であった兵士五百人を殺す男がだ──感情を表に出し狼狽え動揺する姿は別人なのではないかと疑うほど。
だってルッチはまだ十三歳である。殺戮兵器だのなんやかんや言われようともまだ十三の子供。少し前まではハナタレ小僧だったりするのだから。いやハナタレはしてなかった気がする。いい感じの棒は振り回していた子供だったけれど。それはそれとして十三歳なのでこんな部屋にぶち込まれたら暴れ回る。
だけどこの部屋にはルッチだけでなく、他にぶち込まれた人間がいた。
「気は済んだか?」
ルッチよりも一回りも二回りもムカつくほど大きい体、無駄に長い足、目を覆うほど伸ばした前髪。そして頭の左右から天に伸びた二つの角。
その男は同僚であり、先輩でもあり、同じ島で育てられた──ルッチと同じCP9に所属する男。クソデカベッドはこの二メートルは優に越す体格の男のために用意されたものだった。ちなみに引き出しの中身はアダルトグッズが敷き詰められていた。クソ。
そりゃあセ〇クスする部屋なんだから一人なわけがない。一人でセ〇クスなんて無理だから、相手がいるのは当たり前だ。むしろ一人のほうがよかった、なぜ人間は単為生殖ができないのか。
でもだからといっても同性の男はないだろう。ルッチはまだ経験もない童貞だが男相手より女のほうが断然いいに決まっている。男同士でどうセ〇クスするんだ。それもよりにもよってこの男と。
「尻の穴を使うしかねェだろ。男に穴はひとつしかねェからな」
ルッチの頭の中を覗いたのか。相手はなんてことなく、なんら動揺もせずこの部屋の存在を受け入れているようである。常に嗜んでいる煙草がないのが口寂しいのか、口許が落ち着かなさそうではあるが。
というか、するのか。セ〇クスを。男二人で。本当に?
「い、嫌だ」
普通に嫌。とてつもなく嫌。すこぶる嫌。
何故好き好んで男同士でセ〇クスしなければならないんだ。しかも同僚の男と。
別にルッチは性に潔癖だとかそういうことはない。ただ人よりその意識は薄いという自覚はあるが。
というのも幼いころより世界政府のために、正義のためにと身体を鍛えさせられ、人殺しの道具として己を鍛えていた。政府のために戦うことこそ己の意義であり、己が準じる正義である。そのように育ったためなのかルッチは人よりも性に淡白な気があった。
普通は誰かに興味を持ったり好きになったりするものなのだろう。育てられた島にいたころそういう話を時折耳にしていた。勝手に兄貴分面をしているジャブラなんて誰々の女に告白してフラれたと、口にせずとも顔で物語っていた。その場にフクロウがいたら島中に知れ渡っていたろうに。
また女と男のあれやそれやとか、恋とか愛とかなんとかやら。年頃の男が一般的に興味を持つものより、ルッチは女の裸よりも人を殺すことに興奮する性質の人間であった。
血が噴き出す、生気が抜け動かなくなった四肢、そして命を奪う瞬間。それらにとてつもなく興奮を覚える性質であった。そのためCP9という職場はルッチにとって天職といえよう。正義のために殺しができるのだから、うん。ルッチは物騒な男だった。
だがそれは趣味嗜好の話である。ルッチ自身は己の性的嗜好はマトモであると思っている。それでもセ〇クスよりかは人を殺すことのほうがよっぽど興奮するだろう。まだ経験はないが。
長々と語ったが簡潔に言うとセ〇クスに興味がない。そのうち機会があるかもしれないが進んでするほどでもない。
しかしこの部屋は、ルッチの前に大きな壁──文字通りの壁、むしろ扉──として立ちはだかっている。セ〇クスしなければ出られない部屋として。
「そろそろ腹を括ろうぜ、チビ猫」
「断る」
ルッチの動揺と絶望を尻目に悠々自適にデカ猫は笑う。大きく歯を見せつけて笑っている。ついでこの状況に置かれても余裕だといわんばかりに後ろのベッドに腰を座らせて長い足を持て余ししているのだろう。その足を切り離してやりたい。
こいつは男とセ〇クスするつもりか? 正気か? おれはしたくない。
「扉を壊して外に出るのは無理だ。そうとう暴れて理解したろ?」
「だからといって尻を差し出せと? 誰が好き好んでケツの穴弄くり回されなきゃなんねェんだ」
「それは弱い自分を恨むんだな。おれに負けたんだからよ」
その発言に、数分前の自分を恨んだ。弱い自分を。勝負に負けてしまった自分を。そして自分を負かしたこの相手に怒りも沸いた。
誰だって尻の穴に棒を突っ込まれたくない。ルッチもそうだし一緒に部屋にいる相手だってそうだった。
だからあとはセ〇クスするしかないというところまで追い詰められたとき、問題になったのはどちらが下になるか──直情的にいえばどちらが尻にチ〇コ突っ込まれるのかということだった。
荒れた、おおいに荒れた。そして暴れた。人獣型にもなって暴れたが残念なことにこの部屋は傷一つつかなかった。
先程も言ったとおりルッチには経験がない。女とセ〇クスしたことなどないしもちろん男ともない。だからといって童貞より先に処女を無くしたいとは思わない。あと普通に体格差を考えろ、尻が裂ける。
憎らしいことにこの男は無駄にデカい。獣姿となればさらにデカくなる。サーベルタイガーはそんなに大きいわけないだろ、と言いたくなるが実物を見たこともないので確かなことは言えない。たぶんそれぐらいデカかったのだろう。サーベルタイガーとはこういう生き物、そうだったのか。
いつか絶対この男より成長する。見下して鼻で笑ってやる。まだ十三であるルッチは己のこれからの成長に期待した。成長期真っ只中なのだから。
そしてなんやかんやあり、セ〇クスするとき誰が下になるか問題は、厳正な話し合いによって腕相撲で平和的に決めることとなった。
まずこの部屋は狭い。このデカい同僚の男が横になっても余裕があるベッドがあるからといってもまあ狭い。また能力者二人が人獣型となり大きくなればもっと狭くなる。その狭い部屋で暴れればどっちもタダではすまないだろう。ボロボロになった相手にチ〇コ突っ込む趣味はない、と男の談。
という話し合いによって腕相撲へと勝負は持ち込まれたのだが。
結果はルッチの敗北、テーブルが大破した。
どちらも動物系の能力者であり、人獣型となって勝負に挑んだ。両者が全力で勝負に挑み、ルッチは負けた。そして勝負に耐えることが出来なかったテーブルは砕け散った。
別にルッチだって弱くない。十三という若さで六式を極めCP9入りする類稀なる戦闘技術を持っている。いずれCP9史上最強の男とも呼ばれることとなる男だ。
ルッチはその勝負にできる限りの力を振り絞ったが、ただ経験と腕力が足りなかった。相手はルッチよりも八も年齢は上で体格にも大きく差があり、そして長くCP9として戦った経験があった。
もはや尻を差し出すしかない。弱さは罪なのだ、絶望しかない。
「なぜセ〇クスしなきゃならないんだ」
それでもひたすらセ〇クスしたくなかった。恥も外聞もかき捨ててみっともないと思われてもセ〇クスはしたくない。
普段は冷酷だ恐ろしい男だと畏れられ、将来は殺戮兵器とも呼ばれるようになるルッチであったが、彼はまだ十三の子供であった。務めて冷静になろうとも、ルッチにはまだ怖いものを恐れる感情があり、子供の片鱗が消えていなかった。それに誰だって尻を掘られるのは怖い。
「ヤルことヤラねェといつまでもこの部屋にいることになるぞ」
「ヤリたくない。一人で勝手にシコってろ」
「お前なァ……。ヤラねェとハットリにも一生会えねェがそれでいいのか?」
「うっ」
ハットリがいない、ハットリに会えない。
幼いころから一緒にいたハトだ。CP9になった今も一緒にいるハト。
いつもは肩に乗せている、しかし今はそこにいない。
ハットリと会えないのは、
「嫌だ……」
「だろ? だったら速く出ねェと」
「どうせならハットリと一緒がよかった……」
「一緒って……、ハトとヤルつもりかよ」
「ハットリとヤルわけないだろそんなこと!」
「情緒不安定か?」
ハットリとはそういう関係ではないのだ。一緒にいることが当たり前で、決して下世話なものではない。
とはいえ目の前の男とハットリどちらを選ぶかというのなら、ハットリを選ぶ。たとえセ〇クスできなくて部屋から出られなくともハットリを選ぶ。それくらいハットリの存在はルッチにとって大きく、そしてこの男とセ〇クスするのは嫌だった。
これで相手が見知らぬ男や女だったらまだ割り切れた。一夜限りと割り切ってさっさと済ませたし、すぐにでも記憶を消した。また他の知り合いだったら、百万歩譲ってブルーノだったらまだ許せた。昔から人となりを知る彼なら例え上でも下でも受け入れられただろう。反対にジャブラが相手だったら死ぬほど抵抗する。した。
「できるだけ優しくするからよォ」
そうやって意地を張っていたルッチだったが、相手の声がいつにもなく切羽詰まっているように聞こえた。そしてついその顔を見てみれば困り果てた表情をしている。普段は人を揶揄い愉快に口を釣り上げている男だが、なんだか珍しいものを見た気がする。こいつもこんな顔をするんだな、顔の半分しか素顔は見えないが。
「それにいずれ任務で抱いたり抱かれたりするかもしれねェし、練習と思っとけ」
「は?」
「ガキのお前にはまだ早いと思うんだがなァ、ないとも言えねェし」
「は?」
「というわけでヤルか」
は?
「まずは脱ぐぞ」
「待てやめろ! に、任務?」
任務でセ〇クスするのか、しなくちゃならないのか。なぜ。
話が急展開過ぎる。物事の繋がりが見えないし、ルッチの混乱を余所に途中で相手は服を脱がしにかかってきた。服を脱がすな、腕を引っ張るな。ベッドへ誘い込むな。絶対にセ〇クスはしない。
腕を引っ張られジリジリとベッドに近づいているような、いないような、気張って距離を保つ。その間も必死に服を死守する。ジャケットとベルトは買い替えなきゃならなくなった。
「殺しも許可されてるがおれ達は諜報員だぜ。情報は欲しいが殺すのは駄目ってときにそういう任務が来るんだよ」
まあ滅多に来ねェし、ガキにそんな任務はほとんどねェけどよ、と。
ハニートラップ、そんな任務が本当にあるのか、くるのか。ほとんどないというが少しはあるのか。きてしまうのか、十三歳の子供なのに。知りたくもなかったので聞かなかった。
でもだからといってじゃあセ〇クスするか! という気には一切ならない。なるわけないだろ。
CP9になったのはルッチが信じる正義のため、その正義のために血を流すことだ。決してベッドの上でセ〇クスするためではないはずだ。
セ〇クスするより人を殺したほうがよっぽど興奮するはずだ。股座に棒を抜き差しするよりも指銃して心臓に指突っ込むほうが気持ちいいだろうに。ルッチは物騒な男だった。
「初めてがおれでよかったと思うぜ。ド変態趣味のおっさんに虐められずに済んだんだからな」
「離せ……!」
「おれがリードするから力抜けって」
「いやだああああ!!」
どんなに力を込めようにも、ベッドへの距離は近くなってきている。相手とルッチでは体格も鍛えてきた年数も違うのだ。可哀想なことに最後は力の差が如実に現れてしまった。
引っ張られすぎてスーツがミシミシと音を出してきている。成長期の体に合わせて最近新調したスーツ。だけどスーツよりもいまは尻の安全のほうが大事だった。ただただ掘られたくない。
「うぅぅぅぅ」
「そう力むなよ。痛くはさせねェから」
「やめ、やめろ嫌だ、やめ……ああああああああああ!!!!」
ベッドまでの距離が三・二・一と近づいていき、ゼロ。
その後無事部屋を出ることができた。
すこし泣いた。