スイートなバレンタイン(準備編)
モテパニ作者奏「これ、バレンタインチョコです。受け取ってください」
二月入ったその時期、奏は手作りのチョコを男に振る舞った。
拓海「渡す相手は俺で良かったのか…?しかもバレンタインまだだし」
しかしその相手はこれまた会って数日の友人未満の男品田拓海。
それも渡した日はまだバレンタイン当日ではなかった。
奏「品田くんお菓子作り得意でしょ?今度のバレンタインは失敗できないの!だから男の子として意見をちょうだい!ただ渡すだけだった去年と違って…!今年はせっかくお近づきになれたんだから…!」
とても真剣な様子の奏。
そこから推測できるのは…
拓海「好きな相手と付き合い始めたのか?」
奏「…やっぱり同一人物だね」
拓海「?」
以前C拓海からも似たような事を言われたことがある。
拓海からしたら知りようがないことだが。
拓海「てかそれならあっちの俺に頼んだらどうなんだ?俺がお菓子作りどうこうってものあっちの俺から知ったんだろ?」
奏「義理チョコは渡すつもりだけど、本命の練習はさすがにエレンに悪いかなって。品田くんは彼女いないでしょ?」
拓海「ぐっ…」
拓海は普段彼女の有無を気にするタイプでは無いが、違う自分に彼女がいるというのは少し敗北感があった。
奏「それからこっちも」
拓海「ん?」
悔しさを噛み締めていると、もう一つチョコを渡された。
奏「そっちは女の子用。ゆいちゃんでもダークドリームでもいいからそっちの感想を聞いておいて欲しいの」
拓海「女子用?そりゃまたなんで?」
奏「だって今年は響にも気合の入ったもの贈りたいから」
そう、今年の奏は王子と進展があっただけでは無い。
去年一年間仲違いをしていた親友響と仲直りしてからも初めてのバレンタインデーなのだ。
王子が好き。
そして響も好き。
それが南野奏だ。
拓海「あ、じゃあさ…」
〜〜〜
拓海「どうだ?」
ダークドリーム「私は好き」
拓海「それじゃ参考にならねえって…」
みなみ「美味しいけれど、強いて言うなら男性用との差別化を意識し過ぎて甘みが少し強いかもしれないわね」
ゆい「そうだねー、苦いのを足すよりまろやかな感じにしてみるとか?」
拓海「まろやかか、クリームやミルク足すように言ってみるか。俺の方も感想まとめないとな」
拓海は奏からレシピを教えてもらい、手近な相手全員に用意した。
もっと必要なら追加で作ろう。
〜〜〜
奏「ある程度は知ってたつもりだったけど…品田くんはフリーだとダメなタイプね…正宗さんがいなかったら私も危なかったかも」
響「なにかあったの?」
奏「気にしないで、響にはいい事だから」
響「?」
バレンタインまであと数日