ジナコ監禁特異点怪文書
21,411月20日
ジナコ…守りたい護りたいこの命…
もう何も背負わせたくない…ジナコをこの腕の中から離さない出さない囲い込む…ジナコ…私の柔らかな光…貴方の弱々しい影も抱きしめて温めてあげる…
ジナコ、貴方を傷つけるもの全て許せない…たとえ私でも許せない…全て排除して守ってあげる…
死も時もないこの箱庭(特異点)で永遠に暮らそう?私がいればひとりぼっちじゃないし、しののろいもここでは意味がないわ
いつかきょげんへきも捨て去って本音だけで私と話してね
…カルデア?マスター?…そんなもの忘れてよ。外の世界のことなんて覚えてなくていいじゃない…私のことだけ考えればいいのよ…私の持てる力全てを使って、貴方を守ってるのだもの。それくらいの報酬許されて然るべきじゃない?
…「カルナ」。またその名前?貴方をむざむざ私に攫わせてしまうような男のことなんてどうでもいいじゃない…ヒーロー?…守護者(ガーディアン)の方が堅牢で安心よ?私みたいな…ね
……ほら、もう月が輝いているわ…もう今日はお休みなさい。いくらここでは健康を損なうことはないとはいえ、夜更かしは良くないと思うの…
ええ、ええ…お休み。また明日…貴方の声を、姿を、きっと聞かせて、見せてちょうだいね…
1月21日
ああ…ジナコ…かわいい子、私の穏やかな陽射し、揺らいでなお美しい善性の少女!…「ボクはもう少女って歳じゃない?」…?こんなにかわいらしいのに?
ああ、それにしても…その、ガネーシャと言ったかしら。貴方に宿っているその神性…邪魔で仕方ない。貴方は人間。弱々しく、愚かで…そして誰よりも綺麗な、善い人間なのに…貴方はカルデアで神として戦場に出なければならなかった…許せないわ。貴方には血も争いも似合わない…平和な日常こそ相応しいのに。あのカルデアのマスターはそんなこともわからないの?……怒らないで…もう貴方のマスターを悪く言ったりしないわ…ごめんなさい…だから嫌わないで…
…ねえ、なにかして欲しいこととか、欲しいものとか、ある?…「カルデアに帰して」?…それは聞けないわ。貴方はここにいるべきよ…貴方がそれを望んでいなくても…ここにいて…お願い…
…そうだ。新しいゲームを持ってきましょう…協力型がいい?複数人プレイできるやつ?…一緒に?私と?…いいの?私、そんなにアクションゲームとか上手くないし…私が一緒にやりたいものを見つけてきて?…「プレイしてるのをじっと見られるのは恥ずかしい」?…あ…ご、ごめんなさい…悪気はないのよ?貴方、ゲームをしている時は本当に楽しそうだから…つい…ええ。わかったわ。私が気になるタイトルをいくつか見繕ってくるわね
それじゃあ私は少し外に出てくるから…いい子にしていてね…
1月22日
ジナコ、ただいま…あら…やけに静かね…また拗ねてるのかしら…寂しがり屋だものね。やっぱりサーヴァントでも召喚して小間使いにした方がいいかしら…そうすれば私がジナコの側を離れる必要なんてないもの…
貴方に言われた通り、いくつかゲームを見つけてきたの。貴方は気に入ってくれるかしら?…まあ、貴方ならなんでもプレイしそうだけれど
ジナコ、入るわよ…あら、部屋が暗いじゃない…電気つけないと目に悪いって貴方も分かってるでしょ…
…!
…ジナコ…?部屋に、いない…?ああ…いや…いや…!ジナコ、側に、側にいて…ここにいて…貴方のためなの…もうきょげんへきを患う前の貴方を知っていて、気にかけられるのは私だけなの…
ああ…まさか…!
やられたわ…私が留守の間に、どんな方法を使ったか知らないけど、カルデア…!
ジナコを連れ戻しにきたのね…!
おのれ、おのれ…!ジナコを誑かして、また戦いに連れていくつもりなのね…そんなことさせない…ジナコは、私のもとにいるべきよ…!
…………ジナコが、ここじゃなくてカルデアを望んでいることなんてわかってる…でも……ジナコは戦場になんていてはならない…そんな場所にいちゃ、いけないのよ…
ジナコ…私が守ってあげる…私の腕の中なら、どんな自由も許すわ…だから、私の貴方への慈しみしかないこの箱庭(特異点)で…永遠に…死も時も孤独もない、この世界で…永久に…
ジナコは…私のもとにいるべきなの…!
……カルデアは必ず私を探しにくる…聖杯を持っているのは私だもの…カルデアは特異点修復が第一目標でしょうから、聖杯を持っている私を放ってはおけない…なら、私は待ちましょう…貴方たちがのこのこやってくるのを待って、全て殺して…いいえ、それだとジナコが悲しむわ…追い返すくらいで…そしてジナコを連れ戻す。必ず。私たちのこの世界は…決して壊させない…!
1月23日
……来たのね…カルデア。
待っていたわ…そう。何もかも私の手のひらの上と知りなさい…
…よりによってそいつを連れているのね…まあ貴方は必ず来ると思っていたわ…ね、カルナさん?
…貴方には前から聞きたいと思っていたの…ねえ、どうしてジナコを戦場に出すことを許すの?貴方も、今のジナコを取り巻く状況に思うところがないわけではないでしょう?
その上で…貴方、どうしてジナコがカルデアにいることを許すのかしら?私が貴方と同じ立場だったとして…私はジナコが召喚されたらすぐにカルデアから離脱するか、ジナコを苦しませずに気づかないように退去させるでしょう…でも貴方はそうしなかった…どうして?
……はあ…本当に一言多い人ね…いちいち指摘しないと気が済まないのかしら…?…は?…一言多いのではなく少ない?ジナコがそう言ったの?……!本当に苛つく輩ね…!勝手にジナコに救われて、それでジナコの理解者気取り!?…黙りなさい…!貴方が知らないジナコの姿だって、私は知ってるの…!私こそがジナコの友達、ジナコがきょげんへきにもしののろいにもかかる前を知る唯一の人間は私なの…!月の聖杯戦争で彼女のサーヴァントだった時の記憶を持っているからって…調子に乗らないで!
…本気って、最初から出すべきだと私は思うの…殺すなら遊びなんて入れちゃダメ…敬意を持って、自分が持つ最大級の力と心で命って奪うべきでしょう?
…そうよ…貴方たち、ここに来た時から…終わることが決まっていたの…悲しいことにね…
……聖杯よ、虫のように潰しなさい…
1月24日
ふ、ふっふふふ、あはははは!
こちらには聖杯で無尽蔵の魔力があるの…早く投降するべきよ…カルデア!
さあ、もう一度…聖杯よ…!あいつら、を……
…………あ、
…じな、こ……
……なんで…
…お願い、そこをどいて…ジナコ…!
……「ボクを倒してから」…そんなこと…
…できるわけ、ないでしょ…
……どうして…どうして貴方は…私を選んではくれないの…
……いいえ…わかってる…わかってるの…貴方の意思を無視した私より、貴方が応えたマスターを選ぶのは当然よね…
…………
………………
……ああ、熱い……
……これが、貴方の英雄(ヒーロー)の宝具(かがやき)……
…わかってたわ…私じゃ敵わないって…私、幻霊ですらない、ただの亡霊だもの…
……致命傷ね…おしまいなんだわ…私も、私の理想の箱庭(世界)も……
……ジナコ…?どうして…泣いているの……?
笑って…貴方は救い出されたの…悪い魔女に攫われた女の子は、勇者たちに助け出されたのよ…ねえ…
…貴方が泣いたら、私も泣きたくなるじゃない……
……どうすればいいの…私、貴方を泣かせたくない……
「仕方ないじゃん…!目の前でフレが死ぬのを、ただ見てろって言うんスか…!」
……そうなるわね…もう、この体は崩れ去るだけ……でも、そうね……貴方の目の前で死んでしまったら…私、貴方のご両親やあの宗教家と同じね……
ねえ、ジナコ…手を、握ってほしいの…1人は、さびしいから…
「いいっスよ…ひとりぼっちは、さびしいっスよね」
……ありがとう…そしてごめんなさい…貴方の傷になって、しまうかも……
……ああ、あたたかいのね、貴方の手……
……ジナコ。私の光、私のかわいいお友達。
…………愛しているわ……
「……っ本当、ボクには過ぎた友達っスよ、アンタは」
……ジナコの方こそ、私には過ぎた人よ…
「…さよなら。とか言っても、何年か経ったらアンタはしれっとボクの近くにいるんでしょ。…アタシ、知ってるんだから」
……ええ
あなたがゆるしてくれるなら
あなたのためになるのなら
なんどだって、わたしはあなたのもとへいくでしょう……
つきのときも…こんかいも…そうだったもの…