ショーの開幕

ショーの開幕



全てのリスナーは画面の向こうを眺めていました。プレイヤーであるさまざまな仮面の戦士が戦い、散り行くショー。始まったばかりの今から誰が脱落するか、壊れ果てるか予想オッズの盛り上がりも上々。


画面の向こうの彼等彼女は本来、戦う運命を持たなかった者達。見るも無残な末路を辿るものも少なくありませんがそんな残酷な目に遭うような舞台にあげられた彼等彼女等が何をしたのか? 

まあ知らずに戦う姿を観るだけでも充分でしょう。どうせ退屈凌ぎに過ぎないのですから。

H.D 元年(西暦4000年)、現生人類…つまり我々はひどく退屈していたのです。退屈は正気を苛み、倫理をも歪めました。

退屈凌ぎの諍い事が娯楽と化し、退廃的な恋愛模様が世界を埋め尽くしてから多くの年月が流れた結果目に見える全てを開拓しきった人類の多くは何かしらで遊び始めました。我々もまた、そんな人類の一種。

遥か過去に存在したという仮面ライダーというヒーローという存在を模した存在を戦わされるのもその一環。

数多の命を燃やし尽くし…かくして、赤と黒に別れた舞台は整えられ、ゲームはスタートされました。

誰が変身する? 参加者は一般人で、仮面ライダーです。我々(リスナー)が正義で、判定者。

過去、未来への扉を開き多くの世界を巡り、赤と黒のチームににわかれ、混沌を極めている惨状の絶望を希望に変えることはできるのでしょうか?

きっと出来ることでしょう、我々の目前にはヒーロー達がいるのですから。

悪魔のような思惑が絡み付くこの舞台にて。

どの文豪も描くことのなかった2つの異なる心身のワーストマッチの脚本を躍るヒーロー達。

此度のゲーム、最後に勝つのはどちらのチームになるか?決まりきったことだが、戦わなければ生き残れない。

疾走する本能のままに運命の切札をつかみ取れ。時を超え覚醒しろ、その魂を!

運命の鎖を破壊し全てを繋いで魅せろ。

さあ、最強達のショータイムを愉しみに舞台のプレイヤー達をリスナーである我々は観劇しよう。

この瞬間にも時代を駆け抜けた平成令和仮面ライダー達、その力がまた誰かに注がれる。

「厳正なる審査の結果、あなたは選ばれました

今日からあなたは仮面ライダーです!!」

さあ、祝え。

今飛び立つ、新しい英雄による新しい伝説に喝采を!!


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