シャディクとの通話
もしもし、シャディク?
今学園に着いたわ。資材の搬入も済ませてある。
『ああ、搬入お疲れ。積荷はいつも通りに頼むよ。』
トレーナーも格納庫に入れたけど、前と同じで問題ない?
『そうだ、アレをまだ外に出すつもりはないからね。手続きが終わったらまた寮で……』
待ってシャディク、一つ伝えないといけない事があって。
『どうした?』
ミオリネが消えたわ。港で彼女の行方を知らないかって聞かれて。学園の中じゃなくてここで聞かれたから……
『ミオリネが、フロントを抜け出した?なるほど、だからいつも温室にいる時間にいなかった訳だ。』
また、遠回りしてミオリネに会いに?
『別にわざわざ温室を見に行ったわけじゃないさ。たまたま俺があの辺を通りかかったら、温室の扉が閉まってたからね。』
……まあいいわ。
それで、どうするつもり?私たちはミオリネが脱走することは知っていても、どこに行くかまでは把握してはいない。
『でも前にもあっただろ?ミオリネが学園フロントからの脱走に成功したのが一回だけ。その時は出入管理局で引っかかって連れ戻されてたはずだ。今回もいずれ何処かで見つかって戻ってくると思うけど、どうだろうね。』
地球に着いたら捜索は至難の業よ。極端な話、このまま失踪扱いになってもおかしくないわ。
『念の為、分かる限りで彼女の捜索がどうなってるか探ってもらえるかい?出来れば今後しばらくの間はお願いするよ。他に問題はないか?』
そうね、トレーナーを入れた格納庫に見慣れないモビルスーツがあったくらいかしら。見たところ、少なくとも大手企業の機体ではなさそうね。
『……分かった、そっちは俺の方で調べておく。じゃあまた後で。いつも通りならそろそろ彼女の件が知れ渡って、誰かがアイツと決闘になる頃だからね。決闘委員会の方に顔を出してくるよ。』
『ありがとう、エナオ。それじゃあ。』