シャクニとユッダ
「ここで何をしているんだユッダ」
「寝てる。正確には寝てた。何か用でもあるのかシャクニ叔父」
そう言ってユッダは花畑に寝転んでいた身体を起こして、ニコニコと笑うシャクニ・オルタに目を向けた。
「ユユツ・オルタが探していたぞ?休むならそちらで休め」
「いやギー壺が嫌だからここで寝ているんだけど。ユユツは花畑が地雷で来ようとしないから、私がここで寝てるの分かって言ってるだろシャクニ叔父」
「もちろん分かっているが?」
「意地悪め……。そういえば叔父上に聞きたい事があるんだけど聞いていいか?」
「なんだ?」
「私ってほとんどの世界で生まれていないんだよな」
「……そうなのか?」
「正確には私という人格が生まれていない。私はドゥリーヨダナと夢で出会い会話して、名前を付けられることで初めて生まれる人格だ。ほとんどの世界で私はドゥリーヨダナと出会わないから、私は生まれない」
「ほう……」
「そんで私が生まれる世界だとさあ……。出会う日の直前に毎回シャクニ叔父とドゥリーヨダナが会っているんだよね」
ユッダはシャクニ・オルタと目を合わせて言う。
「貴様、意図的にドゥリーヨダナと私を会わせたな?」
シャクニ・オルタは微笑みを崩さずに言う。
「さあどうだろうな?違う世界のわしの考えなぞ分からん。まあでも……わしの目的の近道になると考えたならやるかもな?」
そう言ってシャクニ・オルタは去っていった。
「……本当に苦手だあの人」
ユッダはシャクニ・オルタの背中を見ながら舌を出し、また寝る姿勢に戻った。