ザフトの新しい赤服ちゃんがオウくんに分からされる話④

ザフトの新しい赤服ちゃんがオウくんに分からされる話④


 シュミレーターの映像に映し出された機体に私は憤慨した。私は赤服として学校を出てイザーク隊に配属され、ザクファントムを配備された、だから私はそれと同じ機体を選んだ。そんな私にこの男が態々自らデータまで入れて出力した機体は、型落ちもいいところの時代遅れの『ジン』だったのだから。

「そんな型落ち機体で私に……いくら英雄と呼ばれたか知りませんが私をなめてるんですか!」

「舐めちゃあいないさ……それに、ジンを馬鹿にしちゃだめだぞ?君たちザフトを支えた名機中の名機だ」

 確かにそうだが違う、そんな型落ちでザクに勝つ気なのかと私は言っているのだ。

「兎も角戦ってみるといい、開始するぞ二人とも」

 それでもイザーク艦長は、やってみろと開始の合図と共にシュミレーターに繋がれたPCのキーボードを押せば、演習開始のブザーが鳴った。こうなったらとことん叩きのめしてやる、私はいつも通りとシュミレーターの操縦桿を動かして引き金を引いた。シュミレーターも誤差なく、私の思い通りにザクは銃撃しジンに光の弾が向かっていく。

 そしてそれは避けられた、この程度は想定内だ。むしろこれからだとファイヤービーを展開しようとした瞬間ーー。

「えっ!?」

 ジンが一気に、間合いを詰めてきた。こちらの攻撃を避けたその次の瞬間に、間合いを詰めにかかり既に画面にはジンの頭部が写りーー。

ビーー!

 ブザーが鳴った。私の画面に映し出される撃墜判定……何が起こったのかさっぱり分からなかった。

「攻撃を緩めるなと言ったろう、何があったか見せてやる」

 私の画面に映される、撃墜までの流れ。私が銃撃をしてからオウのジンは横に避けた……避けてーー。

「な、何ですかこの軌道……」

 避けた瞬間、すぐさま身体の向きを切り替えて私のザクファントムに間合いを詰めて来た。こんな軌道がMSでできるわけない、私は流石にシュミレーターに何かしたのかとオウを睨んだ。

「曲がる瞬間に地面を蹴って無理矢理軌道を変えたのか、バスケット選手のステップみたいに……そんな事までプログラミングしていたのか?」

 が、イザーク艦長がリプレイを見てその無理矢理な軌道変化の答えを見つけ出した。繰り返される映像を見て私もあっと気付かされる、確かにスラスターで避けてはいるが途中の着地は片足だけで、そこから再度スラスターを発動させていた。

「OSはあいつと色々弄った専用機ですから……さて、次は宇宙で」

「待ってください!もう一度、もう一度お願いします!」

 私は、すぐにもう一度頼むと二人に地上戦の再戦をお願いした。ザフトレッドの私が秒殺された事実を受け入れられなかったわけではない、しかしここで負けたまま引き下がれないと意地があった。

「いいか?オウ?」

「勿論、次はこんな事にならないさ」

 私は切り替える、この時点でもう私は彼が『偽りの英雄』だなんて思う事はやめた、再び切り替わる画面、現れたジンを前に私はしっかり画面を見据える。

 今、私の目の前に居るのは『2回の大戦を生き抜いたMSパイロット』なのだと、自らに言い聞かせた。

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