サマーキャンプ
カワキのスレ主5日目朝。
光の帝国、クレーター。
一行はサマーキャンプのために、市街地を離れて山間にあるキャンプ場に来ていた。
『サマーキャンプだ!』
「急なお願いでしたが、コテージを借りられて良かったです。このクレーターエリアには活火山もあるそうですから、昼は火口を見学、夜は湖畔で天体観測の予定です」
「火山の火口かぁ……焼きマシュマロとかできるかな?」
「バカなことを考えていないで、見学だけで満足しておけ。お前は今、力の大半を欠いた状態なのだぞ。うっかり足を滑らせでもしたら目も当てられん」
「ああ、そっか。気をつけないと、つい昔の感覚でその辺りが雑になっちゃうんだよねぇ……。ユーハバッハも気をつけてね」
「言われるまでもない」
「カワキさんも今日はお仕事はお休みとのことで、キャンプに参加してくださるそうですが……まだお姿が見えませんね」
「えっ? カワキちゃんも来るの?」
「ほう、カワキも来るのか」
「えーと……そうだ! 班分けしない? 僕(やつがれ)とユーハバッハは先にお昼ごはんの材料を買い出しに行っておくよ! マスターくんたちは先に火山に行っておいで」
「おい、エド。勝手に……」
「お昼はカレーで良いかな? ここの売店は品揃えが良いし、スパイスたくさん買っておくね。僕(やつがれ)たちは後から追いかけるから! さあさあ、行くよ〜、ユーハバッハ」
『陛下が引きずられていく……』
『あっという間の早業だ』
「……エドガーさんたち、行ってしまいましたね。急にどうされたんでしょう?」
「待たせたね。ビーチを離れるのは久しぶりなものだから、準備に手間取った」
「カワキさん! いえ、私たちも先程到着したばかりですので」
「今日も仕事があるから昼過ぎまでになるけれど、よろしく頼むよ。ところで……君たちだけ? 今日は陛下もご一緒だと聞いていたけれど、お姿が見えないね。」
「はい、それが……」
◇◇◇
「へえ……。まあ、良いよ。そういうことなら、私たちは先に登山に行かせてもらおうか。二人とも山登りの経験は?」
『それなりに!』
「問題ありません。私も先輩も、山岳地帯での行動は経験済みです!」
「なら、心配いらないね。写真撮影は陛下がしてくださるんだろう? 私たちは登山や火口見学の所見でもまとめようか」
「そうですね、ガイドブックに載せる文章を考える参考になるかもしれません。レポートにも気合を入れて臨みましょう」
◆◆◆
『大迫力だったね!』
『綺麗だったなぁ』
「活火山だからね。……ん? これは……食材が置かれている」
「エドガーさんたちが買ってきてくださったものと思われます。お二人はもう登山に出発されたのでしょうか? 入れ違いになってしまいましたね。」
「…………。」
「カワキさん? どうかされましたか?」
「……いや。また会えなかったと思ってね」
『なかなかタイミングが合わないね』
『残念だね』
「お昼はカレーの予定です。カワキさんも食べて行かれますよね?」
「ああ。そうだな……今日は私が作ろう」
『カワキさんの手料理!』
『料理できるんですか?』
「人並みにはできるつもりだよ、一人暮らしの経験もある。一人の方が早いから、君たちは座っていて良いよ」
「それではお言葉に甘えて、私たちは火口見学の感想をレポートにまとめましょうか。」
◇◇◇
「できたよ」
『うわぁ……!』
『美味しそう!』
「スパイスから調合されていましたが、すごく良い香りです! 本格カレーですね!」
「スパイスの種類が揃っていて良かったよ。……陛下たちはまだ戻られないようだね」
「そうですね。お二人は撮影がありますから、時間がかかっているようです」
『先に食べちゃおう』
『冷めないうちにいただこう』
「はい! いただきます」
『これは……!』
『美味しい〜!』
『カルデアの厨房組にも負けないおいしさ!』
「辛さと旨味が絶妙なバランスです! スパイスの風味も効いていて……とても美味しいです! まるでプロの味……。レシピを教えていただきたいくらいです!」
「配合はスパイスの状態を確認してから決めている。だからレシピはその時々だよ」
『本当にプロみたい』
『料理得意なんですね』
「得意かどうかはわからないけれど……慣れているのは確かかな。毎日のようにしていたことだからね」
「誰かに振る舞われていたんですか?」
「剣術の師に。他には、バンビエッタたちに強請られて作ることも多かった」
「バンビーズの皆さんはお見かけしましたが……剣のお師匠さまは、こちらの特異点にはいらしていないんですか?」
「来ているよ。同じホテルに宿泊しているから、君たちも顔を合わせているかもしれないね。……と、そろそろ時間だ。結局、陛下とお会いできないままになったのは残念だけれど……同人誌制作、応援しているよ」
『はい!』
『頑張ります!』
「それじゃあね」