サクラコ様の“教義”

サクラコ様の“教義”



“……”

ちらりと横目でサクラコの様子を伺う。内容はかなり過激なポルノ日誌だった。外部の目もない秘境の島だっただけあってユスティナの聖徒たちはかなり淫奔にふるまっていたようだ。

肝心のサクラコは──

「……?」

よくわかっていないようだ。確かに迂遠な言葉で記されているし、逆にマニアックな行為だったのが功を奏したか。貞淑や純潔という言葉がそのまま姿形を成したような彼女にはまさか分かるまい。しかし──


「先生……ここ…『全裸で過ごすと気持ちがいい』とあります。まるでハナコさんのようですね。」

ハナコ!まさかここでハナコの趣味がキーになるとは……まずい…!

「『そのまま浜辺で獣に立ち帰り、肉欲に溺れるエクスタシーは、主との合一を錯覚させる』…?」

どうやらサクラコも薄っすらと察したようだ。気まずい沈黙が場を包む。彼女の白肌の頬を紅く染め、俯いて恥じらうその姿は年相応の愛らしさを感じさせた。


ずしりと重い、しかしどこか浮ついた熱気を孕んだ空気を破るようにサクラコは口を開いた。


「……実は、シスターフッドの教義に“己を高め主との一体へ近づくよう努力する可し”と解釈されるものがあります。この『エクスタシー』がその助けになるなら……」

「私の、下賤な欲求も、許されるでしょうか…」


実はかなり私の股間にも熱は溜まっていた。彼女の乞うような語気に、潤んだ瞳に、柔らかな肌に、雰囲気はますます淫乱になっていく。

何も言えずにいると、彼女はゆっくりとスカートを摘み上げ、湿った秘部が薄衣一枚を隔てて現れた。釘づけになった視線をよそに彼女の右手は鷹揚と股間へ伸びる。

そのまま微かに見て取れるスジをなぞり、また上部の突起を弄んでゆく。ぎこちない手つきで緩急をつけ、時には激しく、そして優しく。私も彼女もどんどん呼吸は荒くなって、血管は広がり熱を帯びる。


「先生……お許しください……きっと先生がお助けくださるなら、私はより深く信仰を理解、できます…」


彼女はかしこまったように私に迫る。衝動を堪えるのに必死で、場を離れるような判断力は残ってなかった。股間が弄られ、ついに情熱の笏が勢いよくとび出る。当然すでに最高潮に達しているソレを見て彼女は、ごくりと喉を鳴らした。

サクラコは屈むと、ソレの前で両手を組み祈るように佇み、そのまま軽く口付けをした。予想外の刺激にびくびくと痙攣する。脳が下から突き上げてくる快楽の信号をなんとか処理する内に、彼女は立ち上がっていた。ついに、既に濡れそぼって用を成さなくなった布が除かれ、彼女の聖なる部分が晒される。


「見てください……私の───

サクラコは後ろの椅子に寄りかかるようにして、私に大切な部分を見せつける。彼女のそれは、例の礼装のために手入れされており綺麗だが肉厚で、どこか求めるように感じられた。そして秘められた部分が開かれ、彼女の中が顕になる。

──“純潔”を。」


彼女の信徒としての証し。それを捧げる行為に、ともすれば背信たりうる悪徳に、小さな礼拝堂は淫魔の寝床となってしまうのだ。

「先生、手を…よろしいですか?」

震える手を繋ぐ。向き合って私の上に座ると彼女の顔立ちが大きく映った。そしてゆっくりと肉を掻き分けて、彼女に侵入していくと、ついに証は棄てられた。

「ああっ……!これも、主へ近づくための、試練、です…!」

息も絶え絶えに、破瓜の痛みを必死に耐えるようにぎゅっと握られた手を、優しく握り返す。暫くそうしていると、やわらに腰が動き始めた。


「はぁっ、はあっ、せんせっ、せんせっ」

拙い動きに、少しずつボルテージが上がっていく。

「すごい、すごいです♡なにも考えられ、ません♡」

彼女はすでにぐちゃぐちゃに乱れて、貪欲に快楽を求めている。ただ本能でどこが気持ちいいか、どうすればもっと淫乱になれるかを探求していた。そんな普段とのギャップに高まって、こちらも責め立てようとする。

「あんっ、先生ぇっ♡それ、駄目ぇ♡

んむっ♡」

たまらずキスをする。半開きになったサクラコの口腔に舌を入れて、絡み合ううとぐちゅぐちゅと音が立った。一度息継ぎのために口を離すと次は彼女が求めてくる。今度はサクラコの舌がこちらの口内を蹂躙した。ただ悦楽を貪るだけのキス。そうしてるうちに───

「〜〜〜〜〜ッ♡♡♡」

絶頂。視界が白黒し、体は度を超えた快楽に硬直する。彼女はのけぞり中空を仰いでいた。ようやく波が過ぎて、サクラコも引き戻される。繋がったまま肩で息をしながら彼女は言った。

「先生…ようやく、分かりました。これは、背徳などではなく、教えに適った、正しい行いです……もっと続けて、正しい信仰を、広めましょう…♡」


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その後のことはよく覚えていない。気がつくと朝日が東の空から礼拝堂に差し込んでいた。サクラコはあれほど乱れていたのにも関わらず、普段の敬虔な様子に戻っている。しかし口ぶりからして、夜のことは夢じゃなかったようだ。

その後も紆余曲折があった。シスターフッドの信仰の形が変わったり、ウイたちもミサに参加したりしたが、その話はまた今度するとしよう。


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