コルサ御御足活劇:フルーツの女王様

コルサ御御足活劇:フルーツの女王様



あらすじ:コルサさんの新作が強盗に奪われたので取り戻しにいく話です。

注意:コルサさんに蹴られたい踏まれたい、痛めつけられたい欲望に基づいて書かれているので、コルサさんがリアルバトルしています。それに伴いコルサさんの身体能力が原作よりも上昇しています。予めご了承ください。

また、今回はコスプレ・女装要素が含まれます。苦手な方はご注意ください。



本編

ある日、新聞の一面に掲載された写真がパルデア中を騒がせた。コルサがアマージョを模した衣装を身に纏い、イバラで装飾された玉座に脚を組んで座っている写真だ。ボウルタウンで開催される芸術イベントの宣伝のようだが、女王コルサの美しくも危険な色気の方に注目が集まっている。


「はぁん……コルサさん……!!」ハッコウシティの移り変わる電光掲示板の下、新聞の写真に感嘆する女性がいた。彼女の名前は分からないが、コルサに心の底まで魅了されているのは確かだ。「とても綺麗で気品があって、まさにオスのアマージョ!実在するんだわ、オスのアマージョは!ボウルタウンのイベント、覚えたわ!」


彼女はスマホロトムを駆使し、すぐさまチケットを予約した。しかしこれが悲劇を呼ぶことになるとは、誰が予想出来ただろうか……




時は変わってイベント当日のボウルタウン。コルサは楽屋で既に衣装に袖を通している。口元に届く花弁の襟の上服、二の腕まで覆う艶やかな光沢のグローブ、白くてフカフカのスカートに、美脚を包み込むハイヒールのロングブーツ。濃いピンクの付けまつ毛は目元を鮮やかに彩る。そして最後に、細く綺麗な指で冠を掴んで頭へ載せる。彼は麗しく気高いフルーツの女王へと変身した。


コルサは時計を見ると、イベント本番まで2時間ほど余裕があった。

((ここにずっといるのも何だ、少し靴慣らしに廊下でも歩くか))

楽屋を出て、コルサは廊下を歩く。脚を踏み出す度に甘い花の香りが漂い、すれ違った関係者達を皆振り向かせた。10cm以上はある高いヒールを上品に鳴らし、一切よろめく事も無く凛と歩くその姿は、まさに美そのものと言っても過言ではない。




なのだが……ここで、一度彼の手持ちを確認しておきたい。コルサの懐にはイベントで出す予定のアマージョのボールが一つあるだけだ。衣装はタイトな作りでモンスターボールが入るスペースがほとんどない。


手持ちのポケモンは一体だけ、有名トレーナーとしてならこの状態はかなり無防備とも言える。しかしこのアマージョはリーグ視察向けに強化した精鋭であり、並のトレーナー相手なら相性が不利でも負ける事はない。


彼はそう思っていたのだが、結論から言えばそれは全くの間違いだった。




コルサはふと、アトリエの裏に面する窓を覗いた。今日お披露目する予定の作品がシートに覆われて置かれていたのだが、その付近をうろつく男がいたのだ。コルサは窓の脇に身を隠し、その不審者を警戒する。飛行帽にゴーグルをした男は、周囲をキョロキョロと見回しながら、作品に近よっては離れるを繰り返す。まさか作品泥棒か?


コルサは男が自分に背を向けた時を見計らい窓の前に立つ。長く伸びた右脚をI字バランスのように高らかに掲げ、狙い澄ませて振り下ろした!

ガシャーン!!


ヒールによる強烈な前蹴りが窓枠もろともガラス粉砕!

「うおっ!?」

突然の物音に後ろを振り返り、咄嗟に身構えんとした不審者!しかしそれよりも先に、コルサ渾身の飛び蹴りが頬に刺さる!

「ぐあーーーっ!!」

不審者は強風に煽られたハネッコの如く飛ばされ、一直線に木に激突し、その幹を大きく揺らす。なんと凄まじい威力か。


コルサは蹴りの反動で宙を舞い、スカートをふわりと浮かせ優雅に着地。本物の気高きアマージョを見ているかのような華麗さだ。

「い、痛ぁい……」

一方哀れな不審者といえば、頬を抑えながら幹に沿ってズルズルと無様に崩れ落ちていた。




時は不審者が蹴飛ばされる十分前に遡る。

((あと2時間!初公開の新作もだし、何よりあのアブないオーラのコルサさんを生で見れるなんて……ヤバい!))

ハッコウシティから来たコルサファンの女性は、興奮した様子でステージ周辺をうろうろしていた。

((先に物販でも見ようかしら!))

彼女は足早にブースへ向かったが準備中だった。販売はイベント終了後からだ。

((そっか、今日のは新作関連のグッズだった。そりゃまだ出さないか。))


他の場所を見ようとその場を離れた時、彼女は飛行帽にゴーグルを付けた男がアトリエの裏に向かうのを見た。キョロキョロと周囲を確認しながら、足音を立てないように。

((関係者の人?それにしてはヘルメットっ変よね……挙動もなんだか怪しいし……))

怪しんだ彼女は、しのびあしで不審な男の後を追った。


物陰に隠れながら、女性はスマホロトムで男の行動を録画し始めた。男は周りに置いてあったロープを、シートごと作品に括り付け始めた。まるで荷造りをしているような……これは泥棒!?

((嘘でしょ、スタッフに通報っ……))

だが次の瞬間、身体が恐怖で動けなくなってしまった。何故なら、彼女は反射した画面越しに見てしまったからだ。


背後からムクホークが、今まさに自分を狙って急降下してきた所を。



時は現在まで戻る。

「動くな!」

コルサはアマージョを繰り出し牽制をかける。2人の女王の威圧的な視線が不審者に向けられた。常人であればその迫力に背筋が凍り、身体がすくみ上がってしまうだろう。

「……ハハッ」

だが不審者は笑った。怯むどころか不気味に口角を上げたのだ。


「何がおかしい?」

「やっぱりアマージョちゃんを出してくるよなあ?いけっ!」

不審者は懐からハイパーボールを取り出し、自分を守るように叩きつける。中から現れたのは……アーマーガァ!登場するや否や、翼を広げて獰猛な雄叫びをあげる!


「くさタイプ使いのコルサさんよォ、俺は今日の為に色々と対策してきたんだ。トレーナーが蹴りをかまして来るのは予想外だったが、くさポケモン相手には余裕だぜ!」

「タイプ相性で有利を取ったか。だが、洗練されたアマージョの動きについて来れるか?」

「何だと!?やれ、ブレイブバードだ!」



命令を受けたアーマーガアは甲高く吼え、遥か上空へ羽ばたき、ジェット機じみた速度で急降下!低空飛行でアマージョに迫る!

「アマージョ、見極めろ!」

アマージョはアーマーガアが突撃するタイミングまでジャンプ姿勢を整える。二者の距離は残り3メートル、2メートル、1メートル……今!


アマージョは一瞬深く腰を落とし、それをバネに宙返り、アーマーガアに向かって上方キックを放つ!サマーソルトキックだ!アマージョの華麗な脚がワインレッドの弧を描き、無慈悲にアーマーガアの顎を刈り取る!


……はずだった。アーマーガアは激突の寸前で垂直に急上昇し、アマージョの蹴りを回避したのだ。

「何!?」

コルサは狼狽えた。


宙返りの最中、アマージョは一瞬上空のアーマーガアと目があった。挑発するような下卑た視線を向けたアーマーガアを睨み返し、着地。アマージョの敵意は完全にアーマーガアに向いていたが、それは罠だった。アマージョが着地した隙を狙い、背後に潜んでいたムクホークがブレイブバードを繰り出した。


アマージョは回避できない。激突をもろに喰らって弾丸のように吹っ飛び、備品の山に突っ込んでいった。




「むぎゅー……」

アマージョが受けたダメージは大きい。辛うじて起き上がれるという状態で、もはや戦闘不能だ。

「アマージョ!……キサマ、無粋なマネを!」

「アッハハハッ!バーカ!ここはバトルコートじゃないし、誰も堂々とバトルするなんて言ってねえんだよ!」

拳を震わせて糾弾するコルサ、不審者はまんまと罠に嵌ったなと言わんばかりに嘲笑う。


「あっ、あっ……コルサさんのアマージョちゃんを……」

アマージョを弾き飛ばしたムクホークの背には女性が乗っていた。両手で口を抑え、ひどく動揺した様子だ。協力者か?否、彼女の表情からそれが不本意なものである事が読み取れる。不審者はそのムクホークに近寄り、トサカを撫でた。


「偉いぞムクホーク!ちゃんと作戦通り動いてくれたし、しかも『人質』までとってくれたなんてな!上出来だ!」

「人質……!?」

「そう、言っとくけどムクホークのブレイブバードは俺の指示。彼女はただの人質で、背中に乗って貰ってるだけ。俺が『作業』してる所を見てた奴は、丁重に背中に乗せてやれって言っておいたんだからな!」


コルサは男の狡猾さに、額に青筋を立てて激昂した。

「ノット、アヴァンギャルド!!卑劣漢めが、人間としての風上にも置けん!キサマの目的はなんだ!?」

「俺はな、金が欲しいんだよ!超有名人のお前の作品だ、絶対高く売れるぜ!それこそ、俺が一生遊んで暮らせるほどな!!」

「ふざけるな、その作品はキサマのものではない!」

「口では何とだって言える!この世の中はやったもん勝ちなんだぜ!」


強盗はアーマーガアに乗り、さらにイキリンコを4体ボールから出した。イキリンコ達はそれぞれ持ち場に着き、括り付けていた牽引ロープを掴んで持ち上げ始める。普段のそらとぶタクシー業務で鍛えられているイキリンコ達にとって、この程度の荷物を運ぶ事など朝飯前だ。新作はあっという間に、コルサの手の届かない所まで上ってしまった。


「じゃあな!売る前にちゃんと鑑賞して、感想文くらいは送ってやるからな!」

「嫌ぁっ、助けて!コルサさあああーーん!!」

イキリンコ達に続き、泥棒を乗せたアーマーガア、人質の女性を乗せたムクホークも上空へと羽ばたいていく。コルサのアマージョはもう戦えない。騒ぎを聞きつけたスタッフやギャラリーも集まって来ていたが、ジムリーダーであるコルサが負けてしまった事もあり、誰も手が出せなくなってしまった。




もう終わりなのか?魂を込めた新作は見てもらいたい人に見てもらえず、そのまま闇へと消えてしまうのか?この場の誰しもが、コルサでさえ歯を食いしばり、諦めかけていたその時!


「しゃなり!!」

威厳のある声がこの場を一喝する!唯一、決して諦めていない者が備品の山から起き上がってきた!

「アマージョ!」

アマージョはスタッフが与えたげんきのかけらで不完全だが回復していたのだ!力強くコルサに差し出された右手には、普段コルサが腰に下げている作品制作用のロープがあった。


「どういうことだ?」

アマージョは、投げ縄を回して振りかぶる手振りをした。

「……なるほど、だが高さはどうする?」

「しゃららん!」

彼女は任せて右手をドンと胸に当て、右脚を蹴り上げた。

「……分かった!頼んだぞアマージョ!」

「しゃな!」


コルサは素早くロープを引き出し、西部劇でよく見かける投げ縄の形に結ぶ。ロープを持って備品の山から屋根へ、そして空高く跳躍!

「とうっ!」

「コルサヤバくない!?」「やばーい!!」

「でもまだ高さがキマワッテないわ!」

ここでコルサに続き、アマージョも跳躍!

「しゃなあぁーー……り!」

アマージョの空中上段蹴りが、コルサのブーツを蹴り上げる!コルサはさらに打ち上がり、天高く飛んだ!イキリンコの荷物に、目線が並ぶ!

「キマワッタッ!!」

コルサはロープを大きく回し、荷物目掛けて投擲!ロープは迷いなく荷物を捕え、そのままコルサは荷物にぶら下がる!おお!手持ちとの息の合ったコンビネーションで、見事強盗に食い下がる事が出来たのだ!




コルサはロープを慎重によじ登り、作品に乗り上がる。大人一人分の重量が増え、作品を運ぶイキリンコ達の表情は険しい。コルサは作品に引っ掛けたロープを外し、鞭のように構えた。ウェーブがかった深緑の髪が強風でで大きく靡く中、コルサ本人は微動にさえしていない。右にはアーマーガアに乗った強盗。左にはムクホーク、安全ベルトに固定されている人質の女性は失神してしまっていた。


「嘘だろ、どうやってここに来たんだよ!?」

強盗は、そこにいるはずの無いコルサの存在に驚愕した。

スパァンッ!

「説明など不要!」

有無を言わせぬようにロープを鞭のように叩きつけ、投げ縄じみて大きくロープを振り回し、強盗に放った!

「アーマーガ……ぐあーっ!?」


だがアーマーガアが動くよりも、ロープが強盗を捕らえる方が早かった!コルサは強盗をアーマーガアの背から引き寄せ、荷物に叩きつける!

「痛だっ……ひぃっ」

仰向けに倒れ込んだ強盗に、殺意にも似た敵意を宿す視線が刺さった。影がかかった顔に銀色の瞳が制圧的に光る。


「ぐえぇぇっ……」

コルサは最初に強盗の腹部を右脚で踏み躙る。内臓が捩れるような苦痛による汚い唸り声が上がった。次にコルサはマウントポジションを取り、強盗の頭を掴む。そして右腕を上げ、光沢ロンググローブが包む細く美しい指先、手が、強盗の顔に躊躇なく振り下ろされる!


パァン!「ブハッ!」

強烈なビンタが強盗の右頬を打った!

パァン!「グハッ!」

強烈なビンタが強盗の左頬を打った!

パァン!右頬ビンタ!パァン!左頬ビンタ!

パァン!右頬!パァン!左頬!


「ハアァーーーッ!」

コルサは右腕を引き絞り、トドメの一撃をお見舞いする!

スパァァァンッ!!

「オゴァーーッ!?」

ビンタの威力たるや、強盗の頬を首ごと吹き飛ばしそうになるほど!だが、まだ強盗の意識はある。雑草のようにしぶとい生命力だ。


コルサは胸ぐらを強引に掴み、強盗に凄む。

「作品を下ろせ、人質の女性を解放しろ。必ず両方とも無事にだ。」

「ひぃっ……」

「さもなくば、キサマの方がどうなるか!」

「あ、あぁ……分かり、ました……」

強盗は大人しく負けを認めた。




その日のイベントは中止となった。

強盗は逮捕され、人質の女性は意識を取り戻し、無事に保護されたようだ。作品は念の為修理が必要となってしまったが、大部分は無事だ。


コルサはイベントの処理やマスコミ対応に追われる最中、ふと人質だった女性と目が合った。忙しそうな様子を見ていた彼女は、深くおじぎをして感謝を伝え、コルサは投げキッスで返事をした。コルサは足早に去っていったが、花の甘い残り香と相まって、彼女をより深く魅了したのは言うまでもないだろう。




おまけ

登場した悪役の人

ひこうタイプ使いで、チャンピオンランクにも認定された凄腕トレーナーだった。相棒はアーマーガァ。

昔はそらとぶタクシーに勤務していたが変わり映えのない業務に飽きてしまい、次第に犯罪行為に手を染めるようになった。

目的のためなら人質を取ることさえ厭わない邪悪な狡猾さを持つ。

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