コルイス パロメモ書き

コルイス パロメモ書き


コルイス 19世紀頃綿花プランテーションパロ


だいたい1848年より後(米墨戦争)で1855年前後?

アメリカ南部 コットンベルト ゴールドラッシュ(金脈発見)でいっぱい移民が増え始める頃

カリフォルニアゴールドラッシュは1848年

アメリカ大陸が人種のサラダボウルになってきてる辺り


コルテス…綿花農家で当てて金持ちになったコルテス家の一人息子 顔が良いのをいいことに人妻や未亡人をよくナンパしている スペイン人 最近まで家を離れてバージニアの大学で経済と政治を学んでた 頭と口がよく回る 帰ったら知らないアステカ人がいた あだ名はエルナンそのままかナノ、もしくはエル18歳 


エスティ…ちゃんとしたスペイン語名はエストレージャ(星) いつも星ばかり見ているのであだ名された 米墨戦争で祖国がめちゃくちゃになったので小さい頃に家族で北上してきたアステカ人 頭が良くて読み書きができる 本当の名前はモテクソマ お堅い雰囲気で星読みが得意 14歳

名前はモテクソマ、見た目はイスカリ


コルテス家は多分テキサス州

メキシコ戦争の時はルイジアナにいて、ほとぼりが冷めたらテキサス州に戻って定着した

じいちゃんの代から渡米しているので、コルテス自体はアメリカ出身のスペイン人(親は純スペイン人同士の家系で結婚)

コルテス家はいいプランテーション(いいプランテーション?)

綿花畑とトウモロコシ畑7:3くらいの500エーカー


コルテスんちの農場に働きに来たエスティ(モテクソマ) 最初はずっと本読んでるアステカの変なやつ… あれ?めっちゃ頭良いしこいつ俺と対等に話し合える!スゲー!になってくBL


あと神父モブおじさんに身体を求められるイスを助け出すコルテスが見たい


あとイスカリをカイロ代わりにして寝るコルテスが見たい



・とりあえず書きたい所だけを書き出していこう!


 見た目がいかにも有害そうな、黒い煙を吐き散らかす蒸気機関車と蒸気船に揺られ、三半規管と尻が限界を迎えそうになった所で、コルテスは愛しのテキサスに戻ることができた。


 コルテスが生まれるより前からあった樫の木の下に、見たことの無い子どもが胡座をかいて座っていた。

 浅黒い肌に軋んだ黒髪。耳を覆い隠すくらい横髪は伸びていて、手入れをしていないのか方々に跳ねていた。伏せられたまつ毛の下にある目は、ここからだとどんな色なのかは分からない。鼻はつんと小さく、俯いている頬はまだまろやかで幼さが残る。紺色の長ズボンは丈が合っているがワイシャツはつんつるてんなのか、黄ばんだ袖口から覗く腕はほっそりとしていて、まだ少年の域を出ていなかった。

 コルテス家の農場では、あまり人員の入れ替えは行わない。現に、先程プランテーションで見た面々はバージニアの大学に入学する前とほぼ変わらなかった。5人か6人が抜けて、新顔はあの少年だけだった。

 周囲の人間と距離を置いて木陰にひとり座っている少年がなぜか気になって、コルテスは父親に声をかけた。

 「親父、あの子どもは?」

 「エスティのことか。あいつはつい1ヶ月前にこの農園に来た。色んな所をタライ回しにされててな、家族もいないらしいから引き取った。アステカ人なんだと」

 「なるほど、インディオか。確かにアフリカのやつらとは少し雰囲気が違うな」

 エスティと呼ばれた少年はこちらに気づくことなく、膝に置いた分厚い本を一心不乱に読んでいた。ここからは、その本がどんな内容かは分からない。エスティね、エスティ。

 「あまり聞きなれない響きだ。名付けたのか?」

 「元は別の名前を名乗ってきたんだが、おおっぴらにすると眉を顰める奴もいるもんでな。説得したのさ。んで、どんな名前にするかと考えてたんだが、飯を食った後はいつもああやって本ばかり読んで、寝る前は星を見上げてるんだ。だからエスティ。」

 「エストレージャ(星)のことか。本の虫ならリブロ(本)でも良かったのに」

 「それがあいつ、星に関してはかなり詳しくてな。俺たちがよく知らないような星座も分かるし、暦に明るい。それに珍しいぞ。読み書きが出来る」

 「マジか」

 コルテスは目をぱちくりと開き、たいそう驚いてみせた。アステカ人だけでなく、インディオが基本的に文字を持たないことを知っていたからだ。そうでなくとも、プランテーションで働くほとんどの奴隷たちは文字の読み書きは出来ない。

「たいそう頭がいいんじゃないか?」

「まだ1ヶ月だから、まだ分からない部分もあるがな。頭の回転と計算が早いのは確かだ。そこはやっぱりアステカ人だな…それに」

 「それに?」

 「なんとなく雰囲気で、リブロよりエスティの方が似合ってるだろ?」

 やはりそこか。父親の適当な名づけ方に、コルテスは苦笑するしかなかった。


 後ろから近づいてきたコルテスには気づくことなく、背を小さく丸めてせっせと綿花を摘んでいる。

 「よう、きみがエスティか」

 コルテスが声をかけると、エスティはびくりと肩を震わせてこちらを向いた。

 おや、とコルテスは片眉を上げた。

 少年の額の左側には、大きな傷があった。

 髪の生え際から眉間にかけて痕が走っていた。石打ちか大火傷を負ったのかは分からない。だが、その傷に合わせるように前髪は短く切りそろえられ、特徴的な眉がよく見えた。

 怪訝な顔をするエスティに対し、コルテスは瞬時に笑顔を作ると自己紹介をした。

 「俺はエルナン。ここの息子だよ。聞いてないかい?今日バージニアから帰ってくるやつがいるって」

 髪と同じく褐色がちな目を大きく開いてああ、とエスティが呟く。やはりその声は変声期を迎えたばかりのテノールボイスだった。

 「…エストレージャだ。よろしく」

 「こちらこそ。久しぶりに新顔が来たからびっくりしてね。俺はこれから家の手伝いをするから、覚えておくれ。まあ、ほぼ毎日顔を見る羽目になると思うけどね」

 

 「…どうも」

 エスティはそれだけ呟くと、そそくさと作業に戻った。

 警戒心の強い猫のようだった。


 「カタリーナさんは、優しい」

 「だろ?たまにバターとチーズを間違えたり、俺と親父の下着を間違えて出してくるが、悪いところはそれくらいさ。優しくて、あったかい母さんだよ」


 「…マルティンさんには、感謝している」

 「親父に?」

 「僕が名乗ってた名前は、熱心な教徒には気に入られなくてな。僕としては気にせず名乗ってたけど、それが原因で追い出されることも多かった。それを説得して、エストレージャと名付けてくれた」

 「…嫌だったら言わなくていいよ。なんて名乗ってたんだ?」

 「…イスカリ」

 「それは​─────」

 嫌われるだろう、とコルテスは率直に思った。裏切り者の名は、熱心な信者のプランターには縁起でもないと嫌われても仕方ないのかもしれない。

 「本当は、違う。偶然なんだ」

 「どういうことだ?」

 「イスカリは、僕たちの言葉​──ナワトル語で"成長"を意味する。縁起でもないなんて、そんなのは知らない。僕にとっては、素晴らしく、勇気の出る音だ。ただ、そっちの神の裏切り者の名前と響きが似てた。それだけ」

 「でも、それと同時に嫌がられるのが悔しかった。だから、名前をくれたのは、感謝している」


 「スペイン人は自分で綿花なんぞ摘みたがらないだろ。バラは好きな癖に」

 

「僕の祖先は神官で、王様でもあったと聞いてる。僕はかつての偉大なる王と同じ名前を賜ったんだ」

 

「ちょっと畑行ってくる」

 「トゲが刺さっただけでメソメソしてたお前が?どういう風の吹き回しだ」

 「うるさいな、そんなビービー泣いてないだろ!…昼飯までには戻る」

 「はは、分かった分かった。エスティと仲良くやれよ」


 「…僕がまだ小さい頃、メキシコで戦争があった」

 「ああ、知ってるよ。テキサスの下の方でもやり合ってたらしいね」

 「そうだ。…といっても、僕はあまり覚えてないけどな。でも、そのせいで僕たちの故郷はめちゃくちゃになったから、馬車を乗り継ぎ、歩いてようやく北上してきた。」


 「…なあ、聞いていいか。君の故郷は、どんな場所なんだ?」

 「テノチティトラン」

 「え?」

 「メヒコシティ、かつてアステカの中心地だったところ​───水と花の美しい都、テノチティトラン」


 「黙れこのペド野郎!次に彼に手を出してみろ、この教会ごと燃やしてやる」

 「ああクソ、クソ神父め。神の教えに背いたんだ、馬車で轢かれて死んじまえ!」


 「なんでだ、僕は奴隷だぞ。あのぺド神父になにされてようと、お前には関係ないだろ」

 「そうだよ、関係ない筈だ。それなのに、君が知らない奴に触れられているのはとても嫌なんだ」


 「…なんだ」

 「寒い、風邪を引いてしまうよ。帰ろう」

 

 今ならなんだか許されるような気がして、コルテスは大声でエスティに呼びかけた。

 「きみの、本当の名前は!」

 ええ?と珍しく間延びした返事を返される。風に揺れる葉音に負けじとまた喉を張り上げた。

 「スペイン語じゃない、本当の名前!アステカの、ありのままのきみ!!」

 エスティはそれを聞いて立ち止まると、驚いた顔で振り返った。常にほの暗い瞳に、光が見えた。

 数歩進んでみせたと思ったらいつの間にか彼はコルテスの目の前に来て、青い目を覗き込んでいた。太陽が最も低く、赤くなる時間。世界は赤く照らされて、真っ黒な影が地面に落とされた。頬が熱くなる。白い肌が血潮のように赤くなっていると勘違いする。

 尊い景色だった。穏やかな時間だった。全てが愛おしいと思った。

 

 少年の口角が上がり、喉が震え、晴れやかな笑みを浮かべて、

 

「​───モテクソマ!」


 「…ああ、うん、モテクソマ」

 遥か昔、豊饒の地で育まれた不可思議な響き。

 この世で最も美しい、音だった。


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