コラソン誕生日
最近ドフィが嬉しそうに過ごしている。
上機嫌に鼻歌を歌うし足取りも軽やかだ。
俺に聞こえないように他のファミリーに指示を出し、俺が紙越しに尋ねても
「フフ、お前にはまだ秘密だ」
と言って取り付く島もない。
なんだ?何を企んでいる?
しばらくもやもやしたものを抱えながら数日過ごしていると、ベビー5とバッファローに呼ばれた。
「こっちだすやん!」
「コラさん転けないでよね!」
ゆっくり手を引かれたどり着いたそのドアを開けると、響く破裂音と火薬の匂い。
咄嗟に腕で顔を隠し身を縮こませると、少し後にくすくすと笑う声が聞こえた。
「コラソン、これは銃声じゃねェよ」
頭にはてなマークを浮かべる俺にファミリーが各々おめでとうと口に出し、今日が自分の誕生日だということを思い出す。
「フッフッフ、サプライズだ。おめでとうコラソン」
その日はどんちゃん騒ぎで酒を飲み、ご馳走を食べ、俺の誕生日という名目で各々が好きに騒いでいる。
まだまだ飲む組ともう寝る組に分かれ、俺もそのまま寝室に向かうことにした。
今まで企んでたのは新しい取引ではなく俺の誕生日だったのか?何のために、油断させる為か?
それとも家族ごっこがしたかったのか?
ドフィの意図が読めず頭を悩ませていると廊下から靴音が聞こえた。
コンコン
「ロシー、起きてるか?」
ドフィの声だ。今は誰とも話したくない。それが血を分けた家族なら尚更。もう寝たことにしよう。
「寝てるのか?」
そのまま寝たフリをしているとゆっくりベッドまで近づいてくる気配を感じる。するとドフィはたくさんの人を傷つけた手で俺の頭を撫で、髪にキスを1つ落とす。
「おやすみ、ロシー」
……兄上。
俺の大好きな父を殺した人。
こんな、こんなことで兄の優しさを少し感じてしまう自分に嫌気がさした。
やめてくれ、俺の中でお前はずっとバケモノなんだ。
兄上……どうして。
どうしてなの?
眠れない夜を、また重ねる……