ゲブラちゃんの可愛がりタイム

ゲブラちゃんの可愛がりタイム

かわいそ

 先生に呼び出され、シャーレに向かっていたはずの瀬戸ミガリが、目を覚ましてまず気付いたのが、視界が塞がれているということ。目隠しか何か、柔らかい布のようなもので、両の目を覆われている。

 次に気付いたのは、四肢を拘束されているということ。両手首を繋がれ、頭の上で拘束されており、足は膝をテープで巻かれて曲げた状態で固定され、椅子に括り付けられているのか足を閉じられない。 

「ん、んん?なんや、これ……どうなっとるんや?!」

 どうにか逃れようと藻掻いていると、クスっと聞き覚えのある笑い声が耳に届く。

「……ゲブラ!?これ、お前の仕業なんか!?」

「はあい、みんなの恋人、ゲブラですよ♡声だけで私とわかっていただけるなんて恐悦ですわ♡あ、ソレはミガリちゃんがあんまりにもお堅いので、強硬手段として誘拐の方、させていただきましたの」

 声の主にしてミガリ誘拐の主犯であるゲブラは、ミガリの醜態を眺めながらクツクツと愉快そうに笑って応えた。

「ざっけんなや!そんな事してもすぐにバレるで!」

「うふふ、誰も助けに来ませんよ?スマホをちょちょっと“弄らせて”もらいました。モモトークからお出かけする旨を先生に伝えましたし、位置情報もちゃあんと偽装してありますので♡」

「くっ……!ええから、これ外せや。今ならグーで許したる」

「カチカチに拘束された上に目隠しされながら凄まれても可愛いだけですよミガリちゃん♡そ〜れ〜にぃ……ふぅ〜♡♡」

「うひゃっ!?」

 足の合間に吹き付けられたゲブラの息が、ミガリの肌を直に撫でる。それはつまり、肌を覆うはずの衣服がないということで

「これっ、下の服……!」

「ふふふ、あられもない姿もお可愛いですね♡……んー?んふふ。思ったよりずっと綺麗ねぇ?ツルツルなのは剃ってるのかしら?それとも天然?」

 視界が塞がれているミガリだが、ゲブラの吐息が拭きかかる感覚で、かなり近くで凝視されているのが感じて取れた。

「クッソ……!ゲブラぁ!早いうちに止めんと後が酷いで!」

「あん♡素敵な殺意ですわ♡もっとなじってくださいまし♡……やっぱりミガリちゃん?私のモノにならないかしら?私の隣で毎日罵倒していただきたいんですの♡」

 煮え立つような怒りと羞恥心に、込められる限りの力を込めて拘束具をガチャガチャと鳴らしたミガリ。その辺の不良くらいなら多少たじろぐであろう怒気と殺意だが、いかんせん状況が状況である。

 ゲブラにとってその行為は小動物がキャンキャンと吠えかかってくるような、愛くるしい行為にしか捉えられず、ミガリに返されたのは気色の悪い性癖の吐露と受け入れ難い提案だった。

 当然ミガリは

「頭沸いとんのか自分!そもそも人に物頼む時の態度ちゃうやろ……!敬語使って「お願いします」の一言くらい添えんかい……!」

 そんな誘いなど一蹴する。

 この程度のことはゲブラも慣れっこであるはずだが、今回は様子が違った。断られる事すら快楽に感じるはずの彼女が少し悩んでいるのだ。

「んー、困っちゃったわねえ。実はこれ、半分趣味でもう半分は依頼されて、なのよねえ」

「はぁ!?誰やそんなん頼んだ奴は!教えろや!お前ごとぶん殴ったる!」

 や〜ん刺激的♡と言いながらくねくね悩むポーズをしばらく続けるゲブラだがパッと顔を明るくさせミガリに振り返る。

「あ!では、勝負しましょうか!ルールは簡単よ。制限時間内にミガリちゃんが降参するか、私のモノになるって言ったら私の勝ち。言わなかったらミガリちゃんの勝ち、解放して依頼主の名前も教えてあげるわ。時間は……そうね、2時間でどうかしら?……もちろん、今の段階で先生より私がいいと、少しでも思ってらしたら今のうちに降参してもいいのですわよ?」

「はんっ!ええで、やってみぃや。言うとくけどアイツとする時はもっと──」

「では早速♡」

「きゃっ!」

 待ってましたと言わんばかりに言葉を遮ったゲブラは、いわゆるSM用プレイ用の鞭でミガリの内腿を打ち付ける。視界を奪われた上での不意打ちに、思わず声を出してしまったミガリだがゲブラは止まらない。

「ひっ……あ、ぅ……うっ……!」

「やだぁ、そんなに可愛い声で私を誘って♡」

 はっきりと痛みを感じられるが、遊びの範疇の刺激。枝分かれした柔らかい鞭が繰り返し振り回され、その度にミガリは小さく悲鳴を上げ、身を縮こませる。

 そうやってしばらく鞭遊びをしていたゲブラだが、打ち付けられる肌がほんのり赤く色付いてきた頃合いに、何かに気づいた様子で鞭を放り投げ、ミガリの秘所に指を伸ばす。

「あら?あらあらあら~?ふひひ、なんですかぁ?こーれ?」

 ひどく嬉しそうにゲブラが指先で割れ目をなぞり上げると、ぬるぬるとした触感がミガリにも感じられた。

「んな、そ、それは……」

「くふふ……思った通り、エッチな子ですねミガリちゃん。痛いことされて興奮するなんて♡」

 極度の緊張と恐怖、そして急所付近に痛みを感じた身体が、性行為中の挿入による痛みだと勘違いし、本人の意図とは無関係にに粘液を分泌させているのだが、ゲブラは言いたい放題である。

 ゲブラはそのぬるりと湿った指で、肉壺から溢れた蜜を掬い上げ塗り広げてはぬちゃぬちゃと音を響かせ、ミガリに聞かせるかの如く弄り始める。先生のものとは全く別の押し付けがましい触り方。ミガリの内側を手当たり次第にまさぐり、粘膜を擦り上げ、反応の良かった場所をしつこく愛撫する。絶頂させるためだけの自己満足な行為。相手を心地良くさせたいのではなく、相手に快楽を与えた自分を欲する酷く身勝手な前戯。

「くうっ!?んっ……ん、ふぁっ、あっ……んぐっ」

 そんなのに負けるものかと歯を食い縛るミガリだが、一方的に快感を押し付けられてはどうしようもない。テクニックそのもので言えば今までの経験した者の誰よりも卓越している。それが証拠にすでに数回達しており、また、絶頂の最中に一層激しくされ普段の数倍体力を削られて行く。

「どうしたんですのミガリちゃん?お辛いの?……あっ!もしかしてこのキュンキュン締め付けてくるのって、イッちゃってるのかしらぁ?♡」

「んな、わけあるかいな……このっ、ヘタクソ!」

「……んふ♡」

ミガリは気丈に振る舞って軽口に反論するが、ゲブラは、それならこの程度耐えられますよね?と言わんばかりに激しく責め立てる。

「んやぁ……っ、やめ、そこやめろやっ、グチクチすんなぁっ……!」

「どうしたのかしら?ヘタクソなのよね?このくらい激しくても、平気でしょう?ほら、ほら!ヘタなんだろっ!」

「ぐっ、ふう……っあっ!あゔっ……はぁ、んんっ!!」

 弱点だけを的確に、そして執拗に虐められ、ミガリの抵抗も虚しくあっさりと達する。努めて声は漏らさないようにしてはいるが、腰はカクカクと情けなく跳ね、膣は自身を苛んだ指をきゅうきゅうと締め付けゲブラに絶頂した事を伝えてしまう。

「……あれー?気持ちよくなっちゃったわねえ。ほら、追い打ち♡追い打ち♡」

「あ゛っ!?」

 ぞりぞり、ぐりぐりと弄ばれる、思い人と目合った時には存在すら知覚していなかった自分の弱いところ。元々弱点だった場所と併せて刺激され、弱点にさせられた場所。浅い部分、深い部分。自身も知らない、絶頂のスイッチをバチバチと児戯のように入れられる。

「気持ちいい気持ちいい、ですわねえ?こことか、ほらここも♡」

「んゔっ、やめっ……やめ、ろぉ!そんっなに……いじるな、やぁ!」

 声を我慢する猶予などとうになく、性感を押し付けられゲブラの意のままに身体を跳ねさせる人形となってしまったミガリだが、まだ文句を言う気力は残っているようだ。

「あら?もしかしてこれ、お嫌でした?もー、教えてくださればやめましたのに〜♡じゃあ……そうですわね。達してしまったら「イッた」でも「イきました」でも、なんでもいいので教えてください。そうしたら止めて差し上げます♡」

「はぁ……?なんでウチがそんなこと……」

「練習しましょっか♡」

「うや゛っ……!」

 すっかり弱点だらけになった蜜壺に指を突き込まれ、それだけでミガリは全身を大きく痙攣させては粘性の体液を溢れさせる。異物を受け入れるためのそれを存分に纏わせ、滑らかになったゲブラの指先が桜色に充血させた粘膜を好き勝手に蹂躙する。

 “練習”が始まって十数秒ほどだが、既にミガリは限界を迎え、チカチカと明滅する視界の中で幾度となく絶頂を迎えていた。

「んぬ゛っ……あ゛っっ!!……くっ!イった!イったから!や、めろや……っ!」

「うふ、うふふっ、よく言えましたミガリちゃん♡」

 呼吸もままならないミガリは教えられた通りに絶頂の宣言をさせられる。ピタリとゲブラの手が止まり、絶頂の余韻に耐えながら感じる後悔。

 ゲブラの言いなりになってしまった。なにか、取り返しのつかない部分に足を踏み入れてしまったのではないか。そう思ったミガリだが、視界と自由を奪われ、急所を晒してしまっている、人未満の存在である彼女に、他にできることなどなかった。

「うふふ、ふふふっ♡まだまだ時間はありますから、もっと愛し合いましょうねえ♡」

 なにより、ゲブラによる調教は始まったばかりである。


つづく

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