ケントレギナの触診
阿刀田酒瓶クラッシャースラムというのはどこにでもあるものだ。光り輝く場所があるほどその闇は深くなっていく。
近未来の都市には似つかわしくない。崩れかけた廃墟のビルが立ち並んでいる。その中の一つに医院の看板があった。錆びついて支柱の一本が折れている。
ケントレギナは治療を受けていた。
安っぽい手術台に寝転んで暇を持て余しているような表情をしていた。治療中には寝返りも打てない。
「君さ、もっと自分を労ったら?」
メガネをかけた若い闇医者はそう言った。そもそもこいつが医師免許を持っているのかとか、なんでこんなスラムで開院しているのかとかケントレギナには興味がない。
「うるせーよ。アタシに指図するな」
暴れまわって体が壊れる。だから治す。治せばまた街で暴れることができる。
そんな単純な理屈でケントレギナは行動するのだ。恐竜に人間の理性など必要ない。
「まあ、いいさ。でも治療費は払ってね」
「ちっ…」
ケントレギナはこの男を殺してしまおうかと思ったが、この変人以外ダイノルフィアを治療する医者を知らない。
「分かった。分かった。今度暴れた時になんか持ってくるからそれでいいだろ?」
ケントレギナなりの譲歩を見せた。治療を受けるためなら仕方がない。
「いや、お金はいらないよ」
闇医者は首を振った。
「医者をするのにお金は必要だけどね。
それよりももっと欲しい物があるんだ」
闇医者はケントレギナの体を触った。
「君の体、調べさせてもらっていいかな?」
「アタシの体ァ?」
「へぇ、すごいね。尻尾の部分は人間の尾てい骨から繋がっているんだ」
「んっ……」
ケントレギナはスーツをすべて脱いで手術台に四つん這いになっていた。流石にケントレギナも股の間になにも着けてないと変な感覚になる。
闇医者の指がケントレギナの尻尾の付け根を打診している。一定のリズムで叩かれるとなんだか奇妙な感覚になった。
「なんかむず痒い。アタシに何しているんだ」
「打診法だ。これでも腕には自信があってね。下手なCTより内部のことが分かるんだ」
「アタシを中身を見てるってことか?」
「そういうこと。それにしても尻尾の中身はなんだか機械的なものがあるね」
「へえ、そうなんだ」
「なにも知らないのかい?」
「知らねえよ。とっとと終わらせろ」
「まだまだ、仰向けになってもらおうか」
「ちぇっ」
ケントレギナは言われた通りにベッドに横になった。彼女の釣鐘型の胸がピンと上を向く。
「内臓を打診していくよ」
ケントレギナの胸辺りに指がトントンと叩いている。彼女にはなんとなくその刺激が心地よく感じられた。
「臓器は普通のものと、なにか機械が入っているね。なんだろう、未知の器官かな?」
「なんか分かったか?」
「うーん、もうちょっと調べさせて。仮説はあるんだけど、違うかもしれないし」
「体勢変えるのか?」
「そのままでいいよ。下腹部を中心に触っていきたい」
力強い彼女にしては細い腰だ。鼠径部はなぜか人間のものに酷似している。
トントン。トントン。トントン。
ひゃん…あっ…だめ…それ、変になる…
闇医者は何度か場所を変えながら打診していく。時たま首をかしげ、メモをしている。
そんな中ケントレギナは体の中に熱を感じた。戦いの中で得られる熱じゃない。なにか衝動的な熱だった。
「これは僕の仮説だけどね。最初、ダイノルフィアは人間をベースに恐竜の遺伝子を組み込んでいるんじゃないかって思ったんだ」
「どうやら逆らしいね。恐竜をベースにして人間の器官を埋め込んでいるって方が正しい」
「その証拠に後付けでつけられた生殖機能は人間のものだ」
ケントレギナの蜜壺は既に湿っていた。闇医者は彼女の生殖器官を直接触らないように刺激を与えた。
「ふーっ…ふーっ…アタシに何をした」
「ダイノルフィアも立派な女の子だってことを調べただけだよ」
「疼きが収まらない。なんとかしろ…」
ケントレギナの口調こそ高圧的であったが、慣れない性的な刺激によって思考が支配されていた。
恐竜に人間の理性など必要ない。
「分かった」
闇医者は袖を捲った。
ケントレギナはまた四つん這いにさせられた。手術台の上とはいえ、これから始まるのは医療行為ではない。
闇医者の指が彼女の秘部をくすぐるように触った。ずっと弱い刺激だが、今まで感じたことのないものだった。
そしてその周辺を撫でるように触っていく。まだ弱い刺激ばかりだ。女としての疼きがもっと強い刺激を求めてしまう。
散々闇医者が周辺を触り続けた。そして、彼女の勃起した陰核を指で弾いた。
「ひゃん♥」
ケントレギナの女としての声が漏れしまう。それから闇医者の指は激しくなり、彼女に強い悦びを与え続けた。
「いいぞ♥もっと、もっと、もっと♥」
「そう?」
闇医者はケントレギナの感じる部分を理解していた。
「あ゛っあ゛っ♥いい♥」
闇医者の手によってケントレギナは絶頂した。手術台に彼女の吹き出した潮が広がる。
ケントレギナは力なく手術台に倒れ込んだ。未知の快楽を知った彼女は口からヨダレをたらし、息を切らしていた。
闇医者はその姿に少し興奮していた。
「悪いけど、次の治療費はこれでいいにしてもらおうかな」
闇医者は肉棒をあてがった。ケントレギナの腟口はまだ生き物のようにぴくぴく動いている。
「おい、待て。なに…する気だ?」
ケントレギナは闇医者の異様な気配に気が付いていた。
「もっと気持ちよくなれることだよ」
「…そうか。じゃあ、仕方ないな♥」
ケントレギナの狭い膣内にゆっくりと挿入していく。処女膜が剥がれ出血するが、痛みに強いダイノルフィアなら平気だろう。
「おごっ♥なんだ♥これ♥」
「人間にとっての一番の快楽だよ」
彼女の一番奥に届いた。ゆっくりと前後に動かしていく。
「へぇ♥こういうの♥好きだな♥」
恐竜の目が闇医者を捕らえる。ゆっくりとした刺激をケントレギナが好んでいるようだ。彼女の尻尾は揺れている。
闇医者は唐突に強く奥まで突いた。
「お゛っ♥お゛あ゛っ♥あ゛あ゛っ♥」
その刺激が彼女の脳まで達したかのような声を出した。その声に満足した闇医者は彼女を壊してしまうかのように激しい抽送を行う。
「ごがっ♥がっ♥あ゛がっ♥」
快楽に溺れる女は街で暴れまわる恐竜だ。それをここまでヨガらせることができるとは、闇医者は少し優越感に浸れた。
「ああっ♥いい♥イグッ♥イグの♥」
再びゆっくりとした刺激に戻し彼女の声を聞く。
そしてケントレギナは二回目の絶頂を味わった。
怪我をしたケントレギナは闇医者のところに訪れていた。
治療中暇な彼女はふと思い立ったように言った。
「この治療終わったらまた触診してくれよ」
「いいだろ♥」
恐竜に人間の理性など必要ない。
ただ少し快楽を貪りたいのだ。