クソが
Tボーンさんを殴りたい、三発殴りたい、一発目何が起きたのか訳が分からないまま殴られ、二発目に事の次第を理解しながら殴られ、三発目ついに行動に出ようとするも間に合わずに殴られるTボーンさん、三発殴りつけただけでふらつき息切れし手の甲が赤く擦れた惰弱なおれの背をさすり、迷うことなく破り取った正義を血の滲むおれの手に巻きながら、こんな事をしたらあなたが苦しむ、何か辛い事があるのなら苦にならない範囲で相談してほしい、私の出来る限りになってしまうがそれでも必ず力になろうと笑みを湛え静かに話した後何事もなかったように去っていくTボーンさんの後ろ姿、それを見るおれの頭の中は己が如何に醜くさもしく悪どいかという事でいっぱいで、この期に及んで結局自分の事しか考えられないような恥知らずである事を思い知って目の前が真っ暗になり自殺したい、しかしそんな事をしたらTボーンさんはどう思うだろうか、またそのように考えている事がTボーンさんに知られると思っただけで苦しくなるためずっと自分の胸の中に秘めていた、おれは何という恥知らずだと思いながら生きてきた、しかし今日この日おれは本当の恥知らずとはなんたるかを思い知らされた、おれは今とても胸が苦しい、どうしてTボーンさんが殺されなければなかったのか、生きる金だのこれまでの報復だのそんなくだらないもののためにTボーンさんは殺されたというのか、厚顔無恥どものクソみたいな不純な動機のために、クソが、こんな事になるくらいならおれがTボーンさんを殺せばよかった、おれならちゃんと純粋な殺意だけでTボーンさんを殺したのに、こんな世の中は終わっている、クソ、こんな世界はおかしい、人間はクソだ