キッドの過去鑑賞会【青年期編】

キッドの過去鑑賞会【青年期編】



【三船長の過去鑑賞会―キッド青年期編】

 

あのトラウマの事件の10年後キッドはこの町で一番大きな建物に住み、豪華な椅子に座っていた。

「まっ待ってくれ!!あっちのグループに情報を渡そうとしたのは悪かった!どんなことでもするから許し」

バーン!!

その男の脳天をキッドはぶち抜く。

「おれを裏切った時点でお前にはもう死しかねぇんだよ」

「キッド…こいつはどこに情報を流したんだ?」

「あいつだよ」

キッドはこの島を仕切るボスのいる建物を指差した。

「こいつは恐らく最初からスパイとして潜り込んでたそうだ他にもいるかもしれねぇから用心しとけ」

(ボスにばれてるならもう隠す必要もねぇか…ボスを倒しておれがこの島を変える!)

その時部屋から誰かが入ってきた。

「おい!!キッド!!」

ドルヤナイカが回転蹴りを入れる。

「うぉっ!?なんだよドルヤナイカ!」

「お前らが今日は私と出掛ける日だっつったのに待たせるとはいい度胸だな!?」

「すまんヴィクトリア。俺たちも支度したらすぐ出る」

「そうだなとりあえず部屋の外で待っててくれ」

と誰も死体について気にしないやり取りが繰り広げられる中部屋の外にドルヤナイカが出ると同時に2人は支度に取りかかった。

「やべぇ今日着る予定だった服返り血で汚れちまった!」

「おれのを貸すか?キッド」

「ありがとよ相棒」

最近このグループを仕切ることで忙しかったキッドたちはドルヤナイカと2週間に一回遊ぶ約束をしていた。

(あいつと遊ぶの久しぶりだし色々気合い入れねぇな……今日こそは伝えるんだ…)

ポケットに山賊が使うようではあるがキッドが精一杯選んだ綺麗な指輪をキッドは突っ込んだ。


「おいドルヤナイカ!今日は食べに行こうぜ」

「おう!私も腹減ってたしいいぞ」

キラーは後ろから二人を見守る。少し切なさを感じさせるがとても温かい目で

二人が来た街はキッドが収まる街で一番平和な地区だ。そのためかある程度の施設やお店はここに密集している。

(ここなら邪魔者もはいらねぇだろうし今日こそは…)

「おいキッド!!あそこの店行かせろ!」

ゲッと声を上げた先にあるのはカレー屋である。そこにはもちろん

「久しぶりにカレーうどん食いてぇしな」

(やっぱあるのかよ!わざとやってんのか!?)

しかしどうしても食べたそうだったドルヤナイカに負けて二人はそこに入った。この時キッドはカレーうどんに更なるトラウマができるとは思っていなかった。

二人が店に入るとそこにはキッドの部下の一人である男がいた。

「お前!店やってたのか!?」

「お、お頭!?は、はい今少しここで働いてるんです。なにか頼みますか?」

「カレーうどん2つ!!」

「おい!!」

「かしこまりました。どうぞこちらの席へ」

「おいドルヤナイカてめぇ!やっぱわざとやってんな?」

「怒んなよキッド」

笑いながらドルヤナイカが言う。

「私は嬉しかったんだぜ?謝るためにわざわざ私の好物を作ってくれて」

「そのことは忘れろ!」と顔を赤くしてキッドが叫んだ。


夢中で話す二人はキッドの部下が何者かとでんでん虫で会話していることに気づかない。

「ボス!俺の店にキッドと仲間の女が来ました!どういたしましょう」

「…火薬庫の爆弾で店ごと破壊しろ。俺に楯突く奴らへの見せしめを確実に行え」

「(店ごと…)分かりました」

男は店の地下の火薬庫へと歩き始めた。


キッドは緊張していた。どのタイミングで自分の気持ちを伝えるのかまでは考えていなかったのだ。

(くっそ…考えときゃよかったな)

「おいキッド!話聞いてんのか!?」

「あぁ…悪ぃ」

(ダメだ!こいつに伝えることばっか考えちまって話が頭に入らねぇ!)

もう言おう。今

「ドルヤナイカ!」

言うと同時にキッドは立ちあがりドルヤナイカも立ち上がらせる。

「な…なんだ?」

「おれは…おれ、、は!おまえのことが!」

 

***


それはあまりに唐突だった。

耳に響く轟音に身体中を揺らすような衝撃。あまりのことに理解が追いつかなかった。

「………っ!痛ぇ…」

気がつくとキッドは自分が地面に倒れ込んでいることに気づいた。どうしてこんなことに?確かおれはあいつと店に来て…告白しようとした瞬間爆発音が…

「…ドルヤナイカはどこだ?」

ドルヤナイカが自分より爆発に近い位置に居たことを思い出したキッドは青ざめるあいつを探さなければ。キッドは必死でドルヤナイカを探し始めた。

「はあ…はぁ……おい!ドルヤナイカー!!」

自分の折れているであろう肋骨を庇いながらキッドはドルヤナイカを探していた。悪い予感がする。吐きそうだ。やがてキッドの視界にクリーム色の髪が入った。

「おいドルヤナイカ!!大丈夫…」

ドルヤナイカは瓦礫に埋もれていた体からたくさんの血を流していて痛々しい。

「嘘…だろ……っくっそ!!絶対助けてやるからな!待ってろよ!」

無我夢中で瓦礫を全て退かし切った時にはドルヤナイカは虫の息だった。おまけに下半身は足が変な方向に曲がっているし意識は朦朧としている。

「っっっ!!待ってろよ今病院に…」

「…むりだ…キッ、ド…もう私…は助からない」

「何言ってんだ!おれはまだお前に伝えなきゃならねぇことあんだよ!!」

キッドは思わず涙を溢す。

「黙って…きけ…」

「今日…伝えるつもり……だったんだ」

にこっ

いつかの時のようにドルヤナイカは微笑む。

「私…は、、お前のことが……ずっと…好きだった!」

キッドは思わず静止しただただ涙を流す。

「ふっ…泣くなよ…最ご…は笑顔でいろ、、よな」

ドルヤナイカは手を伸ばしキッドの頬の涙を拭き取った。

ドルヤナイカの目からだんだん光が失われていく。

「今まで……私と居てくれて………あり、、がと、、、」

ドルヤナイカの目は完全に光を失った。

キッドは我に帰る。

「おい……まだ、、死ぬんじゃねぇよ!おれもお前に言いたいこと…山ほどあったんだよ!おれもお前のこと好きだったんだ!!おれも今日っ伝えるつもりだったんだよ!!おいっ起きろ!起きろって…」

いくら肩を揺さぶっても彼女が目を覚ますことは久ぞない。その事実を理解してしまったキッドの身体中を絶望が悲しみが怒りが後悔が貫いた。

「ああああああああああああああああああ!!!」

獣のような叫び声が町中に響いた。


キッドの咆哮が響く中隣の建物に避難していた爆薬をつけた男は舌打ちをついていた。

(つくづく悪運のいいやつだ…だが女が死んでおれには気づいていないのはついてるな)

にやっと笑みを浮かべながら男はライフルを構えキッドに標準を合わせる。しかし音に気づいたキッドは男の方を向きこの爆弾の犯人を悟った。

「てめぇ…だったのか……」

「さぁ?まぁあんたはこれからその女と同じ場所に行くんだから知る必要は」

「てめぇが…爆弾を……!そのせいでドルヤナイカは…てめぇ…絶対許さねぇぇ!!!!」

その瞬間周囲の空気が大きく震え、色を帯びる、そして大きな衝撃が走る。その衝撃に男は耐えられず泡を吐きながら倒れてしまった。

「なんで倒れたんだ…こいつ?」

キッドが不思議そうに見ていると

「おいキッド!大丈夫か!!?」

爆発に気づきこちらへ向かっていたキラーと合流した。

「…あぁおれは大丈夫だ。……あそこに倒れてる奴が恐らく爆弾を仕掛けた」

「わかった。あとヴィクトリアは無事ー」

その時キラーは絶句し固まってしまった。

キッドの後ろに倒れている一人の少女を見て全てを察したようだ。

「ヴィクトリア…嘘だろ……」

「あいつは拘束しといてくれ 任せたぞ」

「おい待て!キッド!!」

キラーの制止も聞かずキッドはドルヤナイカを抱えて歩き出す。かつて3人で遊んでいた基地へ向かって。

キッドが扉を開けるとミシミシいいながら扉が開いた。

(相変わらず変わんねぇなここは)

昔と変わらない時間が止まったような空間を見渡しながらキッドは人が入るくらいのちょうどいい大きさの宝箱を見つけ中にドルヤナイカを入れた。

そしてドルヤナイカへ渡すはずだった指輪を彼女の指にはめるそして息を大きく吸って叫んだ。

「ドルヤナイカ!!お前のことがガキのころからずっと好きだった!今日伝えるはずだったんだがまさかお前に先に言われるとは思わなかったわ…おれは何も言えなかったけどお前はもういねぇから約束だけさせろ」

「お前みてぇな奴が平気で偉いゴミどもに傷つけられる こんな所はおれが絶対に変えてやる!そのためにおれはこの島のボスを倒す!おれがここを変える瞬間目に焼き付けとけよ!」

涙を抑えながらキッドはドルヤナイカに誓った。そして誓いを胸に基地を後にしたのだった。


***

 

翌日―

キッドはその日キラー、ヒート、ワイヤーのそれぞれ町を収めているボスを自分のアジトへ呼び出した。12歳の頃から今まで仲良くしてきた奴らだ。

「おいキッド!ヴィクトリアが殺されたってのはホントなのか!?」

「まずは事実確認がしてぇんだ!」

二人はキッドに詰め寄る。

「あぁヴィクトリアは昨日殺された…この島のボスの仲間にな」

そういうとキッドは後ろに倒れ気絶してる男を指差す。

「あいつによればボスはおれたちが楯突いてることに気づいておれたちを消そうとしてるらしい」

……!!

「もうバレてんなら躊躇する必要もねぇ…明日ボスを消しに行く!異論はねぇな?!!」

「当たり前だ!」

「任せとけ!!」

「面白くなりそうだな!」

全員の気持ちが一つになる。

来たる日に向けてヒートたちは仲間のところへ帰っていった。


キッドは自分の部屋に眠るある物を手に取り眺めていた。

それは昔この島で競売にかけられていた悪魔の実『ジキジキの果』だ。

この実に強烈に引かれたキッドは珍しく金をかけまくってこの実を勝ち取ったのだが悪魔の実を食べたものは海に嫌われると言うことを知り食べることなく自分の部屋で今まで保管してきた。

だがこのデメリットを受け入れてでも明日のために強くならなくてはならない。


深呼吸し 口をあける…


そして一気に実にかじりついた。


「!!!!??!おっっえ!!なんだこれ!!?めちゃくちゃ不味いじゃねえか!」

そう叫びながらなんとか食べきったキッドは明日のためにキラーと連絡を取った後泥のように眠った。


***

 

「ボス!大変です!4つの町をしきっている奴らが反乱を起こしました!!奴らはボスの首を狙っている!」

「…そうか……4人に伝えなくてはな。残念だと」

そういいながらボスは立ち上がり建物の大きな窓から扉をこじ開けようと乱闘している4人を見下ろす。

すると彼は銃を構え狙いをキッドに定めた彼は『マトマトの実』を食べた悪魔の実の能力者。

彼が5秒以上見つめたものは的になり10秒間その的への攻撃は必中する。

「一回は君の友達の命で見逃してあげたのになあ…さらばだキッド」

そういった瞬間彼は銃をキッドに向かって放った。

必中となった黒い弾丸はキッドの心臓一点に向かって進み彼の心臓を撃ち抜く……はずだった。

「……な、なぜだ?どうして当たらない!?」

心臓へあと少しで届く距離でその弾丸は止まってしまったキッドは余裕の笑みでボスに向かって視線を向ける。

「残念だったなクソ爺…!この弾丸返してやるよ!反発!!」

そう言った瞬間弾丸はボスの方へ向かってもの凄いスピードで飛んでいき窓ガラスを割り彼の脳天をぶち抜いた。

「あああああああ!!!?」

ボスの悲鳴が辺りへ響く状況の理解が追い付かない。

「ボス!!?なにをされたのですか!!?」

(なぜだ…なぜ、、私の能力が封じられた?)

自分のマトマトの力を破るだけでなくなぜ自分に帰って来たのかそしてある答えが導き出される。

「まさか…お前も食っていたのか……悪魔の実を…!」

絶命したボスが最後に見たのはキッドの最高に悪い笑顔だった。

「まさかこんなに早く倒せるとはな」

キラーが呟くと「お前の作のおかげだぞ相棒」とキッドが答えた。


ー前日の夜ー

さっきあったばかりだったキッドからの連絡に不思議に思っていたキラーだったが

「キラー…おれは食ったぞジキジキの実」という言葉に納得した。

「!!?食っちまったのか悪魔の実!?」

「ああ この実の能力を少しでも戦闘に活かしたいんだがなにか作がないか聞こうと思ってな」

キラーに許可もなしにそんなもの食うなと怒られながらもキッドはキラーに作戦の提案を促した。

がキラーはあきれた声を出す。

「…お前ボスの能力のために食べたとかでも無かったんだな…?」

「ボスの能力?お前は知ってんのか?」

「まあ知らないのも無理はないなこの能力は一部でしか知られていない」

「そんなこといいからおれにもその能力を教えろ!」

「分かってる  まずお前と同じようにボスも悪魔の実を食ったマトマトの実の能力者だ。奴が数秒見た相手は奴にとっての的となり的になったあいだ奴の弾丸は必中する」

「なんだと!?めちゃくちゃ強いじゃねえか!」

「だが考えろ…弾丸は鉄が含まれているお前の食った悪魔の実の効果はー」

その言葉にキッドははっとなる。

「磁石を操れる…これを使えば勝てるってことか!」

「だが問題はボスがどこにいるのかが分からないことだ…よしおれから部下たちに連絡する。ボスの居場所を突き止めたらおれたちは動きだしボスに能力を使うように誘導させるこれでいいか?」

「なるほどな…お前の部下の腕を信じるぜ相棒その作戦はヒートたちにも回しといてくれ」

「任せておけ」

「そんなああ!!…ボスが殺られちまったああ!」

その言葉に一気にざわめきと悲鳴が広がる。

「落ち着けお前ら!!数はこっちが上だ!数で押しきるぞ!!」

敵はその言葉でかろうじて士気を取り戻し突撃してくる。

「命知らずな奴らだ」キラーがスイッチを入れると鎌が回転し始めるそして助走をつけると

「斬首爪!!」

キイイインという音と共に敵の首を刈り取った。

「やるなキラー!」

「おれたちもやるぞ!!」

ヒートとワイヤーも炎や槍でで大量の敵を叩きのめし応戦する。

「ヒイイイイ!!なんだこいつら強え!」

「行け!相棒!」

「任せろ!」

そういった瞬間キッドの体に大量の武器が集まり始める。

「おれたちの武器が!」

「なぜ吸い寄せられるんだ!!?」

その間にも鉄は生き物のように集まり形を成す。その姿はまさに魔神。

「食らいやがれ!!磁気魔神(パンクロットン)!!!」

ボスのいた建物のさえも押し潰す大量の鉄の腕で叩きつけられる。

「こんなの…まるで怪物じゃねえか!!」

「勝てるわけがねえ!!」

「こ、降参だ!!助けてくれ!!」

圧倒的な力の差により敵は壊滅状態に陥る。

(ドルヤナイカ…見てるか?この戦いおれたちの勝利だ!)

キッドは瓦礫の一番上まで登り叫んだ。

「ざまあねえな……お前らの時代は終わりだ!!」

キッドの宣言によりこの島の長い間にわたる支配は終わりを迎えた。


***

 

その日島ではたくさんの島民が集まり宴が始まっていた。

ボスの支配に震えていた市民や元々この島を収めていた王家もそのなかにはいる。

「おーいキッド!もっと飲めよな!」

「そうだぞ!!せっかくの勝利酒なんだからな!」

ヒートやワイヤーは少し酔いが回って絡み酒ぎみになっている。

「…なあお前ら これからこの島でしたいこととかあるか?」

キッドの問いかけに突然どうしたんだとふざけながらも3人は考えた。

「おれは特にはねぇ……ボスも倒しちまったしな」

キラーの意見に他の二人も賛同した。

「だがなぜこんなことを聞くんだ?まさかお前…」

「相変わらず察しがいいなおれは…海へ出る!」

「ファッ!?!?本気か!?なぜー」

そう言いかけてキラーの目に写ったのはこの島の宴を見下ろすキッドだった。

「お前らも見てきただろ…おれはこんな狭い世界に一生いるなんてごめんだ!おれはもっと自由に生きてぇ!!」

その顔には幼少期を思い出させる無邪気な笑顔が浮かんでいた。

「ゴールドロジャーの宝を手に入れる冒険なんて最高に楽しそうじゃねえか!たとえ命を失ってもおれは『世界』を見てぇんだ!!」


「だから‥」

そう言いながらキッドは真剣な目で3人を見渡し告げた。

「お前ら‥急だがおれについてきて欲しい‥強制はしないお前らがもしおれに付いてくる気があるなら‥仲間になってほしい」

いつにも増して真剣なキッドに3人は呆気に取られる。

緊張した面持ちでキッドは3人を見つめていたーーが

「ファッファッファッ!」「なーに言ってんだお前!」

キラーの笑い声を引き金に全員笑い始めた。

キラーが笑う久しぶりに聞いたキッドは呆気に取られながらも叫ぶ。

「はぁ!!?こっちは必死に言ってんのに何笑ってんだよお前ら!!?!」

「わ、悪い‥おまえがおれたちにこんな真剣に頼んでくるとは思わなくてな」


「おれとお前は‥相棒だろ?行くに決まってる!」

「ホント変なとこで生真面目だよなお前」

「行くに決まってんだろ」

全員が行くことを宣言しキッドに笑いかけたその少な姿にキッドも自然と笑みがこぼれた。

「ハッ!やるからにはワンピースを目指すんだからな‥覚悟はあるよな!!?」

「「「当たり前だ!」」」

「よし!じゃああいつらにも宣言しないとな‥!」

キッドは下の広場に集まる全員に向けて叫んだ。

「お前らーー!聞け!!おれたち4人は!海賊団を結成し海に出る!出航はー」

辺りのざわつきをものともしない大きな声でキッドは続ける。

「明日だ!!明日の昼までにこの船を用意しろ!!」

「「「‥えええええええええ!!!!?」」」

「ちょっと待て!!明日!!?聞いてないぞ!?」

「今からでも変えようぜ!!?」

キッドは自分のデザインした絵を下に落とし満足気に酒を飲み始めた。

このあとキッドが3人にボコされたのはまた別のお話。

 

 

ーこうして大海賊ユースタス"キャプテン"キッドとその一味キッド海賊団は今ここに結成したー


***


ー出航日ー


「「「「キッドの頭!船が出来上がりました!」」」」

その声にキッドたちが振り向くと疲労困ぱいといった様子の部下たちの顔が目に入った。なにか言葉を返すつもりだったが有無言わせずふねのある港まで連行される。

そして見ると‥そこにはキッドが思い描いたままの姿の船があった船首には恐竜のような頭、ドクロマークはキッドの姿が模されてる。

「おー!!」

「すげぇぇな!!お前ら!」

「たった1日で‥無茶言って悪かったなお前ら‥」

ヒート、ワイヤー、キラーの称賛の言葉に部下たちは照れまくるキッドはあまりの感動に言葉を失っている様子だ。


「そういやキッドの頭ー船の名前はどうするんすか?」

キッドの部下の一人が尋ねる。

「この船の名前?決まってんだろ」

キッドは珍しく静かなほほえみを浮かべながら言う。

「"ヴィクトリアパンク号"あいつのおかげでボスを倒す覚悟ができたからな‥あの時のことを忘れないでいたい」

その言葉に彼にとってのヴィクトリアの存在がどれだけ大きかったのか全員が理解し全員これ以上詮索することはしなかった。

「よしキッド‥そろそろ出航の時刻だ」

「そうだな‥おいお前ら!!船に行くぞ!」

その言葉を皮切りに4人は船に荷物を入れて乗り込んだ。


やがてイカリが上がり帆が開き始める。

空は雲ひとつない快晴彼らの道をしるすように水平線は光り輝き追い風が吹きはじめる。

「いい航海日和だなー!‥"お頭"?」

ヒートのならない呼び方に少し戸惑うキッドだったがやがてふっと笑い

「おれらの船出なんだ‥当たり前だろ!」

そして思いっきり息を吸い叫ぶ。

「野郎どもーー!!出航だぁぁぁぁ!!!」

「おおおおお!!!」


船は波に揺られながら進み始める。

「お頭ー!!お元気でー!」

「この島のことは任せてくださいー!!」

「いつでも帰ってきてくださいーー!」

涙を流しながら手を振るたくさんの人に4人はてをふる。

「お前らぁぁ!元気でなぁぁ」

「ふっ‥野郎の見送りなんて嬉しくねーよ!お前ら!泣くんじゃねぇ!」

「お前も泣いてんじゃねぇかキッド‥」

「うるせぇ!!」


かくしてキッド海賊団は出航したー



 

***

 

おまけ?


やがて時間は経ち夕刻‥3人の船員は舵をとったり料理を作ったりしている

そんな中彼は船の船首で海を見ていた。その目は遠くを見つめているーどこか遠く、はるか昔に思いを馳せているように

やがてキッドは自分の服から一つの指輪を取り出すかつて彼が人に渡そうとしていたものだ

夕日にキラキラ光るそれを彼はしばらく見つめていたがやがて

「船に名前つけちまったしな‥お前はこの船で生きてんだ‥こっちとはキッパリ別れねぇとな」

そう呟くと彼は指輪を掴み直し海に放り投げた

指輪は夕日をまといキラキラと海に浮かぶ

やがて光は海の中へ沈み込みやがて波に飲み込まれた


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