オレンジがくすぐる

※トレエフ幻覚※
※そこまで言及していませんが引退後の設定です※
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「お疲れさまです。トレーナー」
トレーナー室に入るや否や、エフがニコニコとしながら出迎えてくれた。
おつかれ、と笑い返しデスクに向かうと、エフもまた斜め後ろを歩く。今日はえらく機嫌がいい。「何かあったの?」と尋ねると、彼女は両手をパッと肩の前で挙げて「あっ、あぁ…いえいえ。大したことではないのですが…」と続けた。
PCの電源を点け、起動を待っていると画面には【更新中】の文字。これはしばらく時間がかかりそうだ。
待っている間にお湯でも沸かすか。エフの好きなミルクティーも用意してあげよう。
そう思い席を立つと、部屋のカレンダーを眺めていたエフが「お茶ですか?今日は私が淹れます!」と張り切って給湯室まで出て行ってしまった。
部屋を出るときにドアノブに肘をぶつけたのか「あだっ」と声が漏れていた。
いつもは落ち着いている彼女がこんなにソワソワしている姿は珍しい。先程まで彼女が眺めていたカレンダーに視線をやる。4月14日。それ以外に何も書かれていない。
静かな部屋にコンコン、と控えめなノックが聞こえた。ドアを開けると、心地のいい香りがふわっと漂ってきた。
「トレーナー、いつもありがとうございます」
ニコッと笑う赤茶色の髪の少女。
手にはタルトとマグカップが二つずつ乗せられたトレーがしっかりと握られていた。
「オレンジティーとカスタードタルトです。駅中にショップが出店していて。甘いもの、大丈夫でしたよね」
手際よく並べられる食器たち。
慌てて「手伝うよ」と言うと彼女は静かに首を横に振った。
「トレーナーはこちらに座っていてください。今、紅茶も淹れますね」
ささっ、こちらへ。と背中をぐいぐいと押され奥の席へと座らせられる。
「いい香りだね」
そう呟くと、紅茶を淹れる手を止めて「味も、とっても良いんですよ」と自信たっぷりな表情。そして、彼女はこう続けた。
「…先月、ホワイトデーに、って美味しいマカロンをくれたじゃないですか。でも、私はバレンタインに大したものをお渡しできてなくて…あの日は経過観察途中だったのと、会見もあったから…だから、今日のこれが私のお返しです」
これからもどうぞよろしくお願いします。
頬を桜色に染めて、彼女は綺麗なお辞儀をした。
2人で味わったオレンジティーとタルトは、頬が落ちるくらい幸せの味がした。
完
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4月14日は大切な人と、より絆を深める日だそうです
J◯Aの気ぶりツイート(貴方にとってのベストパートナーは?とかいうやつ)を見てティンと来ました
(画像はフリー素材をお借りしてます)