エッチなの

エッチなの


・現パロ

・致しているだけ

・甘め

「そろそろか?」

「ああ、大丈夫そうだ」


 暗闇に目が慣れたとはいえ、目の前にいるはずの愛しい人の顔は朧げだ。そっと差し込んだ月明かりに猛獣のような瞳が反射した瞬間を見逃さず顔を近づける。

 海賊が蔓延り悪魔の実と呼ばれる不思議な力を宿す果実が存在したあの世界で7mをゆうに超えていた身体は、自分より僅か頭一つ分高い程度に縮まり首を伸ばせば容易に唇が重なった。私もあの世界で決して小柄な部類ではなかったが、彼と比べれば赤子みたいなものだったのだろう。今なら彼が思いのまま私を抱きしめても骨が折れる心配をしなくて済む。


「大丈夫だから…早くっ」

「そうは言ってもよォ…」

「伝わらないか?私がどれだけ君を欲しているか…君はどうなんだ?」

「……いや、分かっている。おれもお前が欲しい」


 思えばあの頃も身体の関係はあったけれど、果てしのない体格差故にまともに愛しあうことはできなかった。もちろんあの日々になんら不満を抱くつもりはさらさらないけれど、耳元で熱っぽく囁いた彼の声に下腹部がズドンと重くて醜い欲を孕んだ。

 そうか、私たちが実際に繋がるのはこれが初めてなのか。


「ほ、本当に入るのか?」

「私はこう見えて丈夫なんだ」

「…それでも傷つけたくねェ」


 カイドウは前世で最強と謳われる人だったが、私の知っている彼は真面目で不器用で、真っ直ぐとした愛をくれる人だった。だから今も私を組み敷きながらも潤滑油をたっぷりと使って、長い時間をかけ本来入れる用途には作られていない後孔を太い指で解して慣らしてくれている。違和感と異物感に苛まれながらも決して痛みを感じることがないのは彼の努力と心遣いの賜物だろう。だからこそ、本当の意味で私たちが結ばれる時くらい彼にはワガママになってほしかった。


「来てくれ、カイドウ」

「っ良いんだな?」

「もちろん。私が君に嘘を言ったことがあるか?」

「……ない」


 前世と呼ぶべきあの頃も彼の方がずっと歳上だったが、人を愛することに慣れない彼は困った時いつだって私に子供のような目を向けた。迷子のような金色にそっと微笑んで触れるだけのキスをした後、私はうつ伏せになって尻を突き出す。芯を持ち始めた分身がシーツに擦れて先走りがシミを作るが、恐る恐る脇の下から伸びてきたカイドウの腕が私のお腹の前で手を組むと、下腹部が甘く疼いた。

 私が彼の手に自分のものを重ねれば、それを合図に鍛え上げられた腹筋が背中を撫でとろとろに緩んだ粘膜に昂った彼の欲望が押し付けられる。


「くっ…」

「痛ェのか?」

「いや、大きさに少し驚いただけだ。問題ないさ」

「嬉しいこと言ってくれるじゃねェか…もう少し耐えてくれ」


 ぬぷり、という鈍い水音と共に信じられないほど大きな質量が侵入してくる。さきほど自分の手で包み込んで育てた時よりも一回りも二回りも太い気がするのは錯覚だろうか。解したとはいえぎちぎちと進んでくる男根に圧迫感と痛みは避けて通れぬものだったが、私が声を上げれば優しい彼は動きを止めてしまうだろうと想像できたので、私は重ねた手の体温に意識を集中させながら細い息を繰り返した。


「ぜ、全部入ったぞ」

「ああ。君がここにいるのが分かるよ」

「お前の中はあったけェな……なあ、動いてもいいか?」


 私が後ろを振り向けば珍しくカイドウの方から唇を重ねてきた。絡みついた性器を思わせるようなねっぷりとした舌技に、カイドウもようやく遠慮を脱ぎ捨てたことを悟る。ならば私も彼に応えようと大きな舌を吸って自分のものを絡ませた。

 このまま彼が思う通りにめちゃくちゃにされたいという欲求が私の胸を焼いていく。


「もちろんだとも」


 余計なことを言えば再び彼の思考を後ろ向きにしてしまいかねない。私は端的に許可を出すと彼の腕を強く握りしめて衝撃に備えた。


「っふ…んんっ、あ…!うぐ…はっ、はっ……あっ」

「くっ…ドルトン…」

「あぁ、カイドウ…もっ、と…」


 彼にこの手の技術はないに等しかった。ただひたすら真っ直ぐに挿抜を繰り返し、私の反応する場所にぐりぐりとそり立つモノを押し付けるだけ。……それなのにおそらく初めて力を制御せずに私を抱く様は、猛々しいのに必死さを感じられずにはいられなくて、そんな彼がより一層愛おしく感じられる。全身でカイドウに求められている事実が私の心を満たし、本来濡れるはずのないそこが愛液で潤んだように思えた。

 痛くて苦しいはずなのに…勘違いしようのない快楽が前戯で躊躇いがちに撫でられただけの分身へと集まっていく。


「もうっ、出ちまいそうだ」

「あっ、ぅ…我慢、しなくて、いい……ふあっ、私、も…もう…あっ、そこ…」

「ウォロロロ、お前こそ我慢するな」


 …どうやらあれでもまだ本気ではなかったらしい。私の腰を掴むとカイドウは一度引き抜いたモノを一気に奥まで突き入れた。そして間髪入れず激しい律動で私の身体を揺さぶる。助けを求めて枕に縋れば、逃げるとでも思われたのか…容赦なく腰を引き寄せられて、私が枕を抱えた頃にはほぼ真上から硬く激った砲身が私の中に打ち付けられた。


「ぐぁ、くっ、ああぁぁ!……ふ、っあ」

「なんだ、もう出ちまったのか」

「…悪い」

「ウォロロロ、謝るのはおれの方だな。悪いが待ってやれそうにねェ」

「っ?!カイ、ドウ…」


 脱力した身体には彼の太い指はまるでしめ縄ように感じられた。痙攣が収まらないままに抱き寄せられ、揺さぶられて、容赦なく前立腺を虐められる。


「っや、めて…く……あぁっ、おかしく…なるっ!」

「ウォロロロ…そりゃ、楽しみだ」

「ふぁっ、ま、待って…」

「愛している。ドルトン」


 そんな切ない声で名前を呼ばれたら、強く抵抗なんてできるわけがないだろう。一瞬の隙を見逃してくれるほどカイドウは甘くなく、枕を抱きしめる力すら失った私は気づけば彼の膝に乗せられていた。

 自分の体重で深くなる結合、いつもは見上げた先にある双眸が同じ高さで私の目を覗き込んでくること、私の脱力した腕を自分の背中に回してから私の身体を抱き直した太い腕……そのどれもが恥ずかしくて……だけれどそれを塗り替えるほど幸せで、私はすっかり言おうとしていた文句を忘れてしまった。


「ああっ、カイドウ!カイドウ!」

「ああ。最高だ、ドルトン」


 下から容赦なく突き上げられる。私の内臓まで貫かんとする矛に慣らされた内壁は女性のもののように蠢いて、彼のモノを締め付けようとする。何度も擦り付けられた粘膜が熱い。はしたなく次の絶頂を追い求めた私の分身が鎌をもたげるので、カイドウの無骨な指が先っぽを撫でてくれた。外と中から高められた私はもう自分が何を考えているか忘れていた。ただ彼を愛し彼に愛されたいという欲望のまま彼の名前を呼んでいる。


「カイドウ!カイドウっ……っん」

「ああ、一緒にイこうぜ」


 息ができなくなる。

 壊れたおもちゃのように叫んでいた名前はその人の口の中へと飲み込まれた。貪るように私の咥内を荒らす熱い舌に捕まって、酸欠の脳内に唾液の混ざる音だけが響いた。…いいや、認識できなかっただけでこれは下の結合部から響く音も混ざっている。鼻からようやく酸素を取り込んで頭が回りかけたところで、今までで一番強い突き上げに私は一瞬空を飛んだ錯覚をした。


「あっ、あっ…んっ」

「うぅ、ウォロロ……ふぅ」


 実際のところカイドウの腕は私を抱き抱えたままだった。下半身を駆け上がる過剰な快楽と下腹部を焼いた熱に浮かされて今度こそ力の入らなくなった身体を彼の肩口に預ける。私の出した白濁はカイドウの腹を汚していたが、彼はそれに構うことなく繋がったまま私の唇を求めるので、私も落ちそうな意識を叱咤しながら乱れたままの呼吸を受け止めた。

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