ウタの宴
「「「宴だ〜〜〜!!!」」」
「宴かぁ……人間に戻って初めてだ!そうと決まれば……!!」
「ウタァ!!飲んでるかぁ!?思いっきり楽しめよォ!!!」
「ふふ、当然!ほんっとに楽しいし嬉しい!泣きそうなぐらい!!」
「ししし、当たり前だ!!」
「……で」
「う゛お゛お゛お゛お゛……ホンッットによかったべぇ……!!!」
「なんでロメ男くんが一番泣いてるの?」
「これが泣かずにいられるかってもんだべ!!13年ぶりに幼馴染と、ルフィ先輩と再会出来たウタ先輩!!
いや厳密にはずっと一緒にいたんだども!!おれたづは今奇跡を目の当たりにしているんだべ!!こんな瞬間に立ち会えたなんて光栄だべ〜!!!」
「奇跡かぁ……確かに奇跡だ。もう戻れるなんて思ってなかったし……
……あ、そういえば」
「どうしたんだべ?」
「ロメ男くん、その私人形どうやって手に入れたの?」
「こ、これはその……ウタ先輩とおんなじお姿の人形がどこにも売ってなかったから自分達で作ったんだべ……」
「自作にしちゃよく出来過ぎだよ、そっくりじゃん。ルフィマニアもここまで来ると尊敬だなぁ」
「今考えるとお恥ずかしい限りだべ〜!!すぐに処分して……」
「待って、処分するんだったらさ」
「ん?」
「私にくれないかな?」
「はい?この人形を?」
「うん」
「いやいや!!これはウタ先輩の苦しみの象徴!そんなものをウタ先輩のお目の届くところに置いとくわげには……」
「苦しみの象徴って……酷いこと言うなぁ。そりゃあ確かに、オモチャにされたばっかりの頃は最悪も最悪だったよ。
ルフィもシャンクスもだーれも私のこと覚えてないし、人形だからちゃんと動けないし……歌うどころか……声も出せない……し……」ズビッ
「なーーーっ!!ウタ先輩自滅はやめてくれだべ!!おれァどうすりゃいいんだべー!?」
「……でも、悪いことばかりじゃなかったんだよ?ルフィ達と一緒の冒険って、ほんっとに楽しかった。
ロメ男くん羨ましがるだろうなー、あんなことやこんなこと、ルフィの一番近くで体験してたんだよ?私」
「ぬ、ぬおおおお……耳から手が出るほど聞きたいべ……」
「聞いたことない欲しがり方だな……そうだ!じゃあ色々と聞かせてあげるよ!ロメ男くんも私達助けてくれたしね!
た・だ・し!その人形くれたらね!」
「ん、んだども……えーい、仕方ないべ!!おい!!船からアレ持ってくるべ!!」
「アレ?」
「んだ、おれ達の船に念のために作っておいた新品同様の予備のウタ先輩人形が保管されてるんだべ!
こっちはもうだいぶくたびれちまって、オルゴールもちゃんと鳴らないんだべ。だからウタ先輩には新品の方を……」
「……ううん、こっちがいい」
「へ?」
「年季入ってるじゃん、そっちの私人形。そっちの方が冒険して来たーって感じがするでしょ?」
「は、はぁ……」
「まあ、思い出したくないことも忘れたくないことも沢山あるの。伊達に13年オモチャだったわけじゃないんだから。
それだけ過ごしたら何か愛着も湧いちゃったしね。そっちの私もなかなかかわいいでしょ?」
「何か……とんでもないこと言われてる気がするべ……」
「で、くれるの?くれないの?」
「そ、そりゃあウタ先輩がこっちがいいって言うんなら全然大丈夫だべ!ちょっと待ってくんろ、今洗濯して……」
「だからそれじゃ意味ないんだってば!」
「うん、ありがと。じゃあ後で冒険話聞かせてあげるね」
「こ、光栄だべ〜……おれァもう涙で前が見えねェ……
……ところでウタ先輩、その前に1つだけ聞いていいべ?」
「ん?なに?」
「おれの聞き間違いじゃなきゃあ、さっきルフィ先輩と一緒にシャンクス……って名前が聞こえた気がするんだべが……」
「うん、言ったよ」
「シャンクスといやぁ、あの四皇の一角だったはず……
ルフィ先輩はともかく、赤髪とは一体どんな御関係で……?」
「お父さんなの。私はシャンクスの娘なんだよ」
「……え?」
\\\ええェ〜〜〜〜〜っ!!?!?///