ウタのスランプ ビクター島の音色

ウタのスランプ ビクター島の音色


ゴーイング・メリー号に乗り"偉大なる航路"を突き進む麦わらの一味

その日の航海は一人の少女によって一つの島へと針路を切り替えようとしていた。

「ルフィィィィィィィ!!!!!」

突然の叫び声と扉を派手に開けた音にナミとサンジが驚いていたがそんなことは気にも止めずその叫び声の主ウタは船首に寝転んで昼寝をしてる幼馴染のルフィを叩き起こしていた。

「んあ?何だよウタ〜、人が寝てる最中に起こして〜」

「何だよもこうしたもないよルフィー!このままじゃ私生きていけないよー!」

聞き捨てならない台詞を聞いたナミとサンジ泣きじゃくってるウタに寄り添い事情を聞こうとした。

「ウタちゃん何があったんだい?もうすぐオヤツの時間だからウタちゃんの好きなパンケーキを作るから思い留まるんだ!」

「そうよ簡単に死ぬとか言っちゃ駄目よ!せめて何があったのか事情を聞かせてちょうだい!」

「何だ何だ!お前らそんなに慌ててどうしちまったんだよ?」

「ふわぁ〜、何の騒ぎだこりゃ?喧しくて昼寝も出来やしねぇ」

騒ぎを聞きつけて別室で作業していたウソップとルフィと同じく昼寝をしていたゾロも加わり4人でウタを囲んでいた。

「み...みんな。あのね...私、わたし...」

「スランプになっちゃった〜〜〜!!!!」

「「「「・・・は?」」」」

「おいウタ、それ本当か?」

衝撃的(?)な告白をして困惑状態の船員をよそにルフィはウタに声をかけていた。

「...うん」

「そうか...」

そう言うやいなやルフィは大事な麦わら帽子を深く被り船首に戻って行き...

「良し!・・・・・寝る!」

「「「「えぇーーーー!?!?」」」」

「ルフィィィィィィ!?!?何でだよおぉぉぉぉぉ!?!?」

幼馴染と船員の叫びを無視しルフィはあっという間に昼寝に戻っていた。

「ZZZ...」

〜〜〜〜〜

「つまり良い歌が思い浮かばないことに悩んでるのね?」

「...うん」

騒ぎが落ち着いた後一同はキッチンでおやつを食べつつウタの話を聞いていた。

「お前さー、そう言う話はガキの頃からしてきたじゃねーか。そうしてまた騒いだ後にふっと曲が出来たって喜んでたのもう忘れたのか?」

そう言って結局叩き起こされた跡が目立つたんこぶの山を気にも留めず呑気にパンケーキの山をルフィはモリモリ食べていた。

「今は違うの!最近リヴァース・マウンテンを超えたのは良いけどグランドラインって油断すると大変な目に遭うから落ち着いて作曲が出来ないの」

紅白髪が分かりやすいレベルで落ち込んでるウタに船員達は打開策を提案していった。

「よーし任せろウタ!ここは一つこのキャプテンウソップの伝説を聞かせてすんげーアイデアを降ろしてやっ「ウソップの話って昔ヤソップがしていたような話ばっかりだからあんまり新鮮味が無いよ...」親父ィィ〜〜!!」

「うだうだ言ってもしょうがねぇだろ、ダンベルでも貸してやっから体を鍛えりゃ何か浮かんでくるだろ」

「今の私に必要なのは音楽の閃きであって筋力じゃない事を教えるよ...」

「そんじゃおれが歌ってウタも一緒に歌うのはどうだ?」

「ルフィの歌ってあほの歌しか無いじゃん。何百回も聴いたから今更湧かないよ。」

ルフィ、ゾロ、ウソップのアイデアが見事に撃沈したのを見て一仕事を終えタバコを吹かしていたサンジは鶴の一声を上げた。

「ったく、レディに対する受け答えがなっちゃいねぇクソ野郎共だな。ウタちゃんこの俺が素晴らしいアイデアを君に振る舞うよ。」

「何かあるのサンジ君?」

「もちろんですよナミさん!ちょっと待っててくれ。」

そう言ってキッチンから出たサンジは一つのエターナルポースを持って戻ってきた。

そのエターナルポースには"Victor"の文字が彫られていてウタはそれをまじまじと見ていた。

「ビクター...確か楽器製作で有名な!」

「流石だなウタちゃん、ビクター島ってのはさすらいの演奏家ニパーが当時荒廃していた島に定住してその演奏に聞き惚れた人々が次々と集まってニパーを中心にして楽器製作に取り組んでいつしか世界でも有名な楽器の島として栄えたんだ、そこに向かえば素敵な曲が出来ると思うぜウタちゃん」

「んだよ良い考えがあると言って結局は人任せかよ」

「あぁ!?脳みそ筋肉のお前が言う事かクソ剣士ィ!」

そうして始まったゾロとサンジの喧嘩をよそにウタは思惑していた。

(ビクター島...そこなら新しい曲が作れるきっかけが...)

「なぁナミ良いんじゃねえか?そろそろ物資とか何やら補給しないといけないからここに立ち寄った方が良いだろ?」

「...そうね。ウタにはおひねりでうちの家計の助けになってくれたし、ルフィも良いわよね?」

「おれはウタが良いって言うなら構わねぇよ。ウタ、お前はどうしたいんだ?」

ルフィ、ウソップ、ナミの3人は揃って私の顔を見て私がどうしたいかを待っていた。

「私は...行きたい。ビクター島に行って新しい曲を作りたい!お願いルフィビクター島までメリーを行かせて!」

「シシ!決まりだな!野郎共!ビクター島まで出発だぁ!」

船長の掛け声に船員は大きく答える、麦わらの一味はエターナルポースを頼りにビクター島に向けて航海して行った。




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