イベストSS
⚠️イベストバレ注意
みんなは気付かない。私に気付かない。
目に見えないモノは分からない。
そこ、に存在しても見つからない。
声をあげても聞こえない。
私の声はみんなには聴き取れない。
私の存在は、みんなの中に在りはしない。
かなしいな。かなしいな。
こんなに近くにいるのに、こんなに分かってもらえない。
でも、それで良かった。
私がみんなの中に存在してなくとも、みんなが仲良くしているのなら。
でも、でも、出逢ってしまった。
あの人に、あの人の眼と合ってしまった。
不思議な色をした眼が私を見て、柔らかい笑顔を向けてくれた。
言葉を私に伝えてくれた。私に言葉を与えてくれた。
──ああ、なんて、なんて素敵なことでしょう!
悲しい気持ちが嬉しくなって、嬉しい気持ちが哀しくなった。
うれしくて、かなしいことを知ってしまった。
だから、私の言葉は叫び続ける。
私が知っている。数少ない言葉たちを。
あの人が私に教えてくれた。
大切な、大切なあなたの言葉たちを。
切って、貼って、真似て、繋ぎ合わせて。
私はあなたの言葉を叫ぶ。
きっとみんなには伝わらないかもしれない。
それでも私は叫び続ける。
叫ぶ言葉が途切れても。深い深い眠りについたとしても。私の存在意義が分からなくなっても。
それでも私は伝え続ける。
私の目を見て微笑んでくれたあの人が、ずっとずっと笑っていられる世界を。
私が存在していることを、知ってくれたあの人がずっとずっと在り続けられる世界を。
みんな、仲良く。
争いのない、そんな世界を。
『争いをしてはいけません。みんな仲良くしていることが、何よりの楽なのです。』