アーカイブから押収した映像データ(68件目)

アーカイブから押収した映像データ(68件目)

> > 6 8 に 捧 げ る リ ョ ナ エ ロ 触 手 姦 実 験 映 像 記 録 S S ・リョナ多めエロ少なめのリョナエロss。触手くんの燃料が排泄物ですよ言及ぐらいの極々軽微なスカあり。嘔吐描写あり。

概要:ホムンクルス関連研究の施設から押収した証拠品。同室内の複数の監視カメラの映像記録からなる研究データ。


00:00 無菌室のような白い部屋が画面に映る。画面中央には、長髪の少年がひとり。少年は膝をついた状態から、震えながらもなんとか起立する。絶え間なく喘鳴を溢す少年の顔は、青ざめ、怯え切っている。

 纏っている病衣の濡れた下半身が、異様に蠢く。湿った音と、重たい水分が少年の足の間から滴る。失禁、というよりは涎に似ている。


00:20 機械音声が用いられ、少年に自身の状況の説明を促す。少年は恐らく逡巡する。周囲を伺い続けているようだが、その期間も喘鳴は止まない。


01:06 少年「ぃ゛」

 喘鳴を破って悲鳴がまろび出る。観念して少年は不当な説明義務を果たす。

少年「ボクは、被検体XXX番、の、ホムンクルス……です」(以下、検体と表記する)


01:48 検体「いま、おこなわれている、じっけんは」ここまで口にし、検体は言葉に詰まる。機械音声は続きを促す。息を整えるような仕草を見せてから、検体は蠢く病衣の裾を捲る。


02:30 顕になった検体の下半身には、刺胞動物の軟体部を集めたようなものが、幾重にも衣服のように絡み付き蠕動している。軟体部から滲み出る涎のような重たい粘液が、それに合わせてぐちゃぐちゃと音を立てる。

 察するに、その軟体の一本一本にも、細かな小突起がびっしり生え揃っている。

 便宜上、これらを総括し触手と称する。

検体「みえ、ますか」のろのろと背後を向いた検体が、触手を掻き分けて、薄い尻たぶを拡げる。ずっぷりと、一際大きな触手が肛門に突き刺さっている。この触手も他と違わず、蠕動している。

検体「いま、いま、ボクは……なんで」(啜り泣きが混在する)

検体「ホムン、クルスが……円滑ぅ、せんと……うに、じゅうじできる、よう、にする」(悲鳴)

検体「するための、いき、た、へいそうの、かいは」(嘔吐。赤褐色の吐瀉物がリノリウムの床と、病衣とを汚す。検体は啜り泣いている)

検体「う、あ゛」

 検体は蹲る。触手が病衣を捲り上げ、至近距離にあった検体の乳首を掠める。検体は逃れるように転がり、ラベンダー色の毛髪を吐瀉物がまばらに汚す。検体の逃亡は意味を成さず、病衣は肌け、両乳首が触手に嬲られている。視線がうろうろとあちこちに向けられる。ばたばたと脚が中空を蹴り、やがて力尽きて痙攣する。腹の中を弄る音と、喃語のような嬌声が数分続く。


07:20 完全に脱力し、検体は仰向けに倒れている。青ざめていた顔色は、強制された興奮状態により、いまや紅潮している。歯が噛み合っていない。相変わらず検体は怯えているが、息だけは弾んでいる。完全に脱衣した肉体を、触手は変わらず這い回っている。その蠢動の中に一瞬ペニスが映るも、勃起はしていない(もう既に嬲られ尽くしたものであると予測される)。一先ず嬌声は落ち着き、説明が再開される。

検体「この、これ、これは、ホムンクルスにほきゅう、た゛べに、ういだ……れたものれす」

 以後、言語として換算するには些か辿々しい発音が続く。この場合は「この人工生物はホムンクルスに補給する為に考案され開発された兵装である」が適当だろうか。このような心許ない説明が続くため、要約を残す。


・ホムンクルスの運用には、人体由来の栄養素が不可欠です。

・これはその代替品となるべく試作された、血液ベースの液体を絶えず経直腸投与する補給補助用の兵装です。

・稼働のために、装備した個体の排泄物を摂取して動き続けます。

(注:この兵装の開発は失敗に終わっている。人肉の代替品の発見はされていない)


 これだけの言葉を伝える為に、検体は20分余りの時間を要した。失神と覚醒、そして恐らくは絶頂を繰り返したためである。覚醒の度に、検体は状況を把握すべく周囲を伺い、やがて触手を認め絶望している。


29:40 検体「たぶ、ン……もうそろそろ、ぇす」

 数度足を滑らせ、姿勢を崩しながら、検体はなんとか腰を持ち上げる。出来損ないのブリッジのようなポーズ。

検体「あ」

 検体の下腹部が内側から押し上げられる。直後水っぽい音と共に赤黒い液体が検体の肛門の隙間から溢れ落ちる。ずるずると触手が一度抜き去られた。伴ってボトボトと、重たく赤黒い血液(を模したホムンクルス用の栄養剤)が床に広がり、検体は姿勢を崩す。破瓜と呼ぶには余りにも多い出血量は、見る者に悍ましさを感じさせる。

 最も、検体はホムンクルスのため、この血液は完全に触手から排出されたものである。

検体「……ぅ、いまのが、ほきゅうされる、えきたい、です。ゆっくり、直腸から、吸収されます」

 ぽっかりと口を開けたままだった肛門に、再度一際太い触手が挿入される。挿入時、先端にゴカイの口吻のようなものが見受けられた。

 血液の彩色が仄かに明るくなる。検体の抉られた肛門、もしくは直腸を負傷したのだろう。検体は呻き声をあげている。


32:16 検体「この、へいそうの、欠点は……欠点、は……気持ちよく、なってしまうこと、です。戦場に立たせるために、兵装の粘液をある種の薬物と同じ成分にしようとしたら、媚薬に、なっちゃったらしい、です」(痛みが意識覚醒を促したのか、言動がやや明瞭になっている)

検体「ボクが、実験に使用されているのは、実際にホムンクルスに、使用できるのか、とか、この状態で動けるのか、を、調べるため、でした。報告、させられてるのも……えっと、なんだっけ」

 上気したまま、検体は視線を彷徨わせる。天井の四隅を一巡した。一度視線がこちらと合ったので、監視カメラを伺っていたのだろう。

検体「おもい……だしました。ボク、ホムンクルスが、どれだけ平常時とかけ離れるか、をみるため、でした、あは」(怯えの混じった笑顔を、検体は見せている)


34:58 検体「ひく」

 笑顔はすぐ決壊し、啜り泣きが再開する。鼻を啜る音の中、数分ぶりに機械音声が状況の説明を促す。

検体「せつめ……えっと、一日中、なにもたべないで、おなか……ぐちゃぐちゃになって、きもちくて、こわい……です」(説明中、検体は触手の上から乳首を撫でようとし、失敗している。仕方なく、その周囲を指でなぞっている)

検体「いっぱいイッたのに、おわらせてもらえません」(腰が前後に動いている。大きな動きにはならない)

検体「射精も、限界までしました。射精しそうになると、ほそい、管が、はいってきて……ごくごくって、のんじゃうんです。おしっこも、そうやって啜って……あはは、やってみますね」

 検体はその後、それがどういったものであるのかを実演してみせる。触手の中からペニスをなんとか探し出し、拙い手で扱きはじめた。3往復する頃には、力なく垂れたペニスに、触手が群がり出す。その一本の先端から、細い管が現れる。迷いなく鈴口から尿道に侵入する管を、検体は悲鳴のような喘ぎと共に受け入れた。

検体「ひぅ……う、のん、のんで……ンぇ」(特に意味のない喃語のような発言が2分ほど続く)


39:06 息を整えた検体が、説明を再開する。2分間の間に管は抜き去られたが、鈴口から血が滲んでいる。

検体「こんな、ふぅ……にぃ、いま、はやくおわらせてほしいなって、じぶんできもちく、なろうとしてます。こわいけど、これにぜんぶされるよりは……こわくな」


 直後、内側から一際検体の腹部が盛り上がる。


検体「へ゛ぁ」

 事実上の殴打に、検体は悲鳴をあげる。そのまま勢いの乗った状態で、力任せのピストン運動が開始される。

検体「こわ、こわくない、です!!!! ボクが、ボクがきもちよく、なるように、したから!!!! ぎぃ、やだ、こわく、ない……こわくないはずなんだ……っ」

 検体はパニックのまま叫び始める。仕切りに「怖くない」と叫び続けるも、血の気はどんどん引いていく。

 それでも助けを求める気配はない。(この時点で検体は、自身がホムンクルスであると認めざるを得ない状況に置かれ続けているからだと推察される)(もしくは“オリジナル”の段階で、助けを求めることが不得意であったからという線も考えられる))

 数分間、検体は譫語のように怖くないと唱え続けるも、だんだん勢いが消えていき、次第に懇願へ変化していく。


49:43 検体「こわぃ、ひぐ、こわい……です、やめて、やめてくれよ……」

検体「え、なに、なんだ」

 検体が、狼狽えはじめる。数秒のうちに尋常ではない量の発汗が確認される。ピストン運動はそのまま、より深く触手が挿入される。

検体「がっ、ぐ、ああああ゛あ゛」

 脂汗を滲ませながら、検体はのたうつ。既に快感を感じているようには見えない。検体は、媚薬の効き目を超過する激痛を味わっているようである。触手はより内部に踏み入ろうとしている。それが結果的に、ピストン運動のスピードが遅くなっているように、見る者を錯覚させる。


55:49 検体「あ゛あ゛あああ、あ゛やだやだやだぁっっっ!!!! い゛だ……っ! やべで、やべでくださ、ぎぃい゛い゛いいっっっ!!!!!!」

 検体は途絶えることなく絶叫している。腹部は触手の侵入を許し、奇妙に歪んでいる。腸の形に沿うと言うより、恐らくは内臓を破裂させながら人体の上部に向かって掘削している。


58:37 検体「が……っぐぉ゛……み」

 検体の抵抗の大凡が停止する。破裂した臓器からの出血と触手とで、検体の腹部は異常な膨張を見せる。短期間での膨張によって、妊娠線のようなものが腹部に生じている。ピストン運動に伴って肛門からピンク色の血液が漏れ出ている。


63:24 検体「やだ、いやだ、おなかおなかたべな」

 ピンク色の血液と消化液を纏いながら、検体の口から触手が迫り上がる。検体は鼻から、自身の血液と吐瀉部を噴出する。


66:38 検体「——ッっっ……」

 気道を塞がれた検体は、どうにか触手を押し戻そうと、ぬるついた表皮に触れる。しかし、満足に握ることもできず、僅かに爪を立てるに留まる。絞殺の際の抵抗痕のようなものだろうか。

 脚が最期の抵抗としてばたばたと動き回り、検体は声にならない絶叫をあげる。茄子紺の瞳が白目を剥く。口の端からピンク色の血と泡が溢れている。既にチアノーゼが認められる。


68:00 検体は既に痙攣している。動き回っていた四肢が一際強張り、弛緩する。瞳孔の散大を確認。既に死亡した(もしくは瀕死の)検体の肉体を、触手が這い回る。口内へ触手が戻っていく。

 部屋に備え付けられたスプリンクラーが作動し、形ばかりの洗浄が検体に施される。


(以下、状況説明を排した状態で性的暴力と虐殺、そして蘇生が二度繰り返されるも、特筆すべき点は無いので割愛する。記録映像自体は、ここから検体の蘇生時間込みで40時間程度続く)


補遺:検体の直接的な死因は窒息であるが、検体が内臓破裂による合併症や出血性ショックで直ちに死亡しなかったのは「触手の粘液の副次的効果に麻酔のような効果があり、ショックが和らげられていた為である」との記載が本件の報告書類から発見された。この方面の作用を確かめるべく、映像内の検体以外の人体実験も行われていた模様。併せて、ホムンクルスを用いた実験も行われており、該当の資料はデータベースXXXXXXを参照。


                以上


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少し救いのあるオマケ


「また、その映像をご覧になっていらっしゃるのですか」

 壮年の男から声をかけられた少年は、今まで注視していたモニターから久方ぶりに目を離した。

「自身と同じ姿の者が嬲られ虐殺されるのを繰り返し閲覧するのは、決して気分の良いことではないでしょう」

 男が見下ろしているのは、彼と孫ほど歳が離れているように見える少年である。実のところ、眼前の人間を「少年」と形容して良いのか、彼の実年齢を知らない男にはわからない。ただ、彼が「世界探偵機構」のトップに君臨する探偵であり、男の上司であることは事実だった。

 質のいい椅子に腰掛けている少年の体躯は小柄で、背もたれに半ば埋もれているように見える。円な茄子紺の瞳は少しだけ吊り目がち。ラベンダー色の髪は柔らかそうな印象を見る者に与え、おまけに何やら変わった形の癖毛が頭頂部から跳び出している。顔立ちは可愛らしく、表情が円熟していなければ、愛らしい少年にしか見えない容貌だ。

 そして何より、少年が注視していた凄惨な実験映像の検体と、その容姿は瓜二つだった。

「完璧な解決、完璧な推理の為には、すべての感情を捨て去るべきだからね」

 停止した画面を一瞥し「それに」と少年は溢す「彼は諦めていないようだから」

「諦めていないとは?」

「彼……検体XXX番の視線は、定まっていないと思わない?」

 とんっと画面の検体の目を指差した後、少年は自身の目の下を軽く叩いた。

「これはきっと……絶えず周囲の様子を伺い続けているからだと思うよ」

「私には、彼が嬲られ続けているようにしか見えませんが……」

 検体の怯えや、死への恐怖、絶望、絶叫は本物だ。少なくとも、男はそう受け止めた。そんな部下に対して、少年は「怯えているのは、本気だと思うよ。状況に翻弄されているのも本当」と答えた。そして、こう付け足す。

「でも、目は死んでない」

 ある種の確信を持って、少年はそう口にした。実際に、検体XXX番は幾つもの尊厳の破壊を踏み越え、こうして脱走し——恐らく、世界規模の未解決事件に関わっている。

 その事実こそが、彼が最終的に屈せず戦い抜いたという証左だ。

「“ボク”なら、多分そうなる。だからこそ、最大限に情報を刻み込めればと思ってね……持っていけるものも、少ないだろうし」

 傍らにあった古い本の表紙を撫でる少年を見て、男はため息をついた。

「その計画、本当にやめる気はないのですか?」

「わかっているだろう」

 幾度か行った問答だが、答えを聞く度に男はげんなりする。

 男は少年がどんな決断をしようと、彼の指示通り影武者を続け、危機が迫れば逃げ果せる所存だ。それはこの立場に着いた時に納得し、決意を固めている。

 しかし、少年の事実上の自殺をそう容易く容認できるほど、彼は人間性を捨てていなかった。それが、世界探偵機構の理念から外れようとも、男が持ち続けている善性である。

 そんな部下の苦心を黙殺し、少年は画面に向き直る。記憶を持ち越せない以上、この行為が無為になることはわかっている。それでも閲覧を続けるのは……少年にとって願掛けのようなものだった。

 検体XXX番は未解決事件に関わっている。犯人である可能性すらあるだろう。

 しかし、彼もまた、謎に翻弄され、こんなにも涙を流してきた“人”のひとりなのだ。その真実は、検体XXX番が仮にどんなに手を汚していようとも、変わることはない。

 それを少しでも、未来の自分に遺せればいい。そんな非合理で、非効率で、非科学的な願いを指先に乗せ、少年は再生ボタンをクリックした。

 少年が「ユーマ=ココヘッド」となる、少し前の出来事である。


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特に救いのないオマエ


「ひ……っう……」

 豪華な浴槽で、ぬるま湯に浸かりながら、着衣の少年が浴槽の淵に伏せている。表情は伺えないが、耳は真っ赤だ。そんな少年の衣服を乱すのは、いつか少年を凌辱し、虐殺した触手だった。

 正確には、それに極めて近い別個体である。

 アマテラス社のホムンクルスの研究の根絶を図るべく、研究資料の隠蔽をしていた際に見つけたそれは、少年にとってひどく見覚えのあるものだった。

 どうにも、統一政府側の情報を断片的に拾って作られたようだ。姿形こそ似ていたが、性能は劣化品であるらしい。

 粘液こそ出るものの、媚薬にも麻酔にもならない。排泄物の類を原料に稼働するようだが、ホムンクルスの栄養となるようなもの(統一政府側も成功したわけではなかったが)は放出しない。白濁したとろみのある液体を噴出するだけだ。パワーも精々大事となっても腸を耕すくらいで、消化器官を超え口から跳び出すようなことはない。

 それでも人間や、欠陥ホムンクルスにとっては致死の一撃となるだろうが……完璧なホムンクルスにとっては、ノーリスクな性玩具に成り下がる。だからこうして、少年は自身への戒めの為に使用し続けている。

 ぬるま湯の中で、重たい衣服が少年に張り付く。心許なかった病衣に比べれば、安心感すら感じるので、少年はこうやって進んで着衣のまま浴槽に浸かり、この行為を開始する。

 衣服は水を吸い、破れ、また駄目になってしまうだろう。そんなことで恐怖の緩和になるなら、少年は質のいいスーツも、シャツも、革靴も何もかも、使い捨てられた。幸い今の少年には、それを可能とする地位がある。

「ん゛ンーーっ、ひゅ……うぁ」

 あの時と同じように肛門に大きな触手を咥え込みながら、それでも当時より穏やかに少年は喘いでいる。少なくとも、あんな死に方はしないからだ。柔らかい内臓を撫ぜられ、とうに開発されきった前立腺を潰され、開発意図に従って暴れ回るその行為ですら、あの日々に比べればフェザータッチと相違ない愛撫になる。

「あんまり、おなかは、傷付けないでね」

 触手を見下ろしながら、随分と蕩けた声で少年は触手にお願いした。そのまま乳首を弄る触手の一本をゆっくり撫でる。

「いい子っん、いい子……」

 こんなおまじないが殆ど聞き届けられる事がない事は、少年自身も知っている。破られて、惨めになる。それ自体が目的なのだ。

 もし触手に視覚を与えるなんらかの器官があれば、茄子紺の瞳に涙を湛えた、法悦に蕩ける幼気な少年の顔を拝むことができただろう。眉を力なく八の字にし、懸命に唾を飲み込もうとして、失敗している可愛らしい少年の顔を。

「う゛……うぅ……ふ」

 これは、自慰である。

 あの場所で完全に尊厳を奪われ、調教され尽くした少年は、こんな行為でしか絶頂できなくなってしまったから。少年は、平常な快感を得ることすら難しい。

「ごめん……なさい……ごめん……なさい」

 これは、自傷である。

 あのような実験の犠牲者は、少年だけではない筈だ。少年のオリジナルの遺伝子が発見される以前にも、犠牲になった欠陥ホムンクルスは確実に存在する。

 オリジナルの遺伝子が発見された後ですら、少年が成功品として生み出される前の個体や、少年の再現を目指した個体がいた筈だ。

 同じようなことは、カナイ区でも起きただろう。

 だから、これは罰である。カナイ区に入る以前に犠牲になった欠陥ホムンクルス達へ、そして、カナイ区を守る為に今まで犠牲にした者達へ。

 生き残った少年が受けるべき罰。

 未解決事件の根絶を夢見た記憶を持つ、ホムンクルスである自分への罰。

「ごめ、なさ……ごめん、なさ……い」

 腹の内側から殴打されながら、少年は泣いていた。ここまでしないと、彼は泣けなくなったのだ。詫び続ける対象は、今までと、そしてこれからの犠牲者に対して。自分を惨めにして、罰を受けようとしているのだ。

「こんな事をしても、カナイ区の秘密を守る為に、未だ死す事すらできず徘徊する欠陥ホムンクルスの方が哀れであろう」と聡い彼はそう察している。

 その結果、その答えは尚更自分が今できる最大限の無様を晒さなければと、彼を追い立ててしまった。

 未解決事件を生じさせながら、作り続けた犠牲、犯し続けてしまった罪の清算をはかる為に。彼は大嫌いで、今だって怖くて堪らない異形に身を預ける。

 今日は腹の一部を破られなくて済むだろうか。単に犯されるだけで終われるだろうか。

 顔をあげた少年の目には、窓越しに、雨に項垂れた街の景色が映る。明日も、この先も守れるだろうか。この街を、欠陥ホムンクルス達を。

「あ」

 少年は不意に背後へ引っ張られた。染めた金髪が投げ出されるのを見送った直後に、視界が阻まれる。

 少年は触手によって浴槽に引き込まれて、目隠しされたのだ。顔に張り付く細かな突起が、悍ましくて堪らない。

 水の跳ねる音、少年がもがく音が、部屋の中に広がる。今回の死因は溺水だろう。

 少年は、今際の際で、雨粒に反射してきらめくネオンの街を思い浮かべた。

 きっとよく眠れる。

 少年は——マコト=カグツチは、そうして幾度目かの死を迎えた。

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