アルダンとSwitch

アルダンとSwitch


──年末のとある日。

アルダンと商店街で買い出しをしていると…


「まぁ…!ふふっ、懐かしいですね」


【…福引きか】


「えぇ、去年の今頃に貴方と一緒に行った温泉旅行を引き当てたのもこちらの福引きでしたね?」


そう言って懐かしそうに微笑む彼女を見ていると、ふと手元に『また』福引き券が一枚ある事を思い出した。

【それじゃあ今年も挑戦してみる?】


「まぁ…!」

「ですが…去年は私だったので、今年は貴方に挑戦してもらうというのも…」


どこか遠慮がちな彼女の様子に苦笑いしながら、上着のポケットに入れていた福引き券を手渡す。

【俺よりもきっとアルダンの方がくじ運は良さそうだから】


「ですが……」


そうこうしている間にも福引きの順番が回ってきて…


『今年も特賞は温泉旅行だよ〜!』

『ただし!1等以下の景品にも豪華な品が増えてるから期待してくださいね〜!』


活気溢れる職員の声に導かれ、おずおずとアルダンが福引き機を回すと……


『おっ!?これは……!』

『おめでとうございます!1等の景品!ニンテ◯ドーSwitchです!』


「これは…ゲーム?でしょうか…?」


【今流行りのやつみたいだね】


『お嬢さんおめでとうございます!これからの冬休み、お友達やご家族なんかと是非遊んでくださいね!』


そう元気良く声を掛けてくる法被を着たおじさんにゲーム機の箱を手渡されたアルダンは少し困った様子だがどこか嬉しそうだ。


「その…私小さい頃はあまりこういった物で遊ぶ機会が無かったもので…」


確かにメジロ家の令嬢ともなると、あまりテレビゲームで遊ぶ様なイメージも無いしそうなのかもしれない……


幸いテレビが無くとも遊べるタイプの物だったので、寮で同室の子と遊んでみてはどうかと提案してみると……


「チヨノオーさんなら確かに一緒に楽しく遊んで頂けそうですが…」


「せっかく貴方から頂いた福引き券で当てた景品です」

「一緒に初めて遊ぶなら貴方と…と考えていたのですが、どうでしょうか?」


可愛らしくもイタズラっぽい笑みを隠そうともせずに彼女が続ける。


「ふふっ…こういうの、一度誰かと遊んでみたかったんです」



体力が15回復した!

スピードが10上がった!

スタミナが10上がった!

パワーが10上がった!

根性が10上がった!

賢さが10上がった!


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