アルちゃん×ムツキ(初体験がアルちゃん攻めだった場合序章)
私だけは、彼女がふたなりなのをずっと知っていた。
幼馴染である私は、アルちゃんとは子供のころからの付き合いでずっと一緒にいた。
アルちゃんは、私のほうが珍しいふたなりじゃない女の子なんだって思っていたみたいだけれど、本当は逆。
アルちゃんが十歳くらいの時、初めて夢精しちゃって、少しだけ私と距離を置こうとしたのも知っている。
結局すぐに元の距離に戻ったけど、それでもアルちゃんは一緒にお風呂に入ったりはしてくれなくなった。
水泳の授業も、見学に回るようになったから、それ以降私はアルちゃんのそれについて流石に見せてなんて言えるはずもない。
ゲヘナに入ってからもそれは変わらなくって。
便利屋を立ち上げるとき、ふたなりがメジャー側なのだと本気で気が付いていなかったのには私もちょっとだけ驚いた。
「っ……ぅ、むつ、きっ」
そして、便利屋での活動を始めて一か月がたったころ。
皆が寝静まったころに、遂にそれに遭遇してしまった。
ふたなりの性欲は、人とは比べ物にならない。
だから、いずれはそうなるだろうとは思っていた。
むしろ、よく我慢した。そういうべきだ。
「……ずっと待ってた」
勿論、それは私も。
年数にして、十年近い付き合い。
そんな中、もっとも意識する相手。
人たらしなアルちゃんにずっと触れていた私の中心には、ずっと彼女がいた。
そんな、彼女が夜、私を意識してシているところに、私が遭遇する。
それは、運命といっていいんじゃないか。
少しだけ息をして、……トイレの扉を開ける
「アルちゃん、こんな夜中になにし……」
「な、む、むつきっ?!」
互いの空気が固まる。
アルちゃんは、突然入ってきた私に。
そして、私はアルちゃんの、ギンギンに硬くなった、子供の時に見たのとは比べ物にならないほどに、大きなものに。
知識はあった。けど、実物は、そんなものを容易く凌駕してそこにある。
顔が、熱いのがわかる。
早く戻らないと……そんなことを思っていたのに、私の体は、強い力で引き寄せられる。
「……ムツキ」
気が付けば、アルちゃんの腕の中。
柔らかく、熱を持ったアルちゃんの身体。
そして、体に当たる……熱くて硬い、それ。
「……ねぇ、……しましょ?」
腕の中の私を捉えて離さない。アルちゃんの瞳。
その中に映っている私は、食べられることに喜びを覚える……女の顔をしていた。