アラヒメ様に甘やかしてもらうお話
「一日が過ぎるのはあっという間ですね。気づけば夜を迎えてるのですから」
私はアラヒメの御巫として与えられた自室で休息しながら独りごちていた。
今日も一日忙しかった。アラヒメの御巫としてオオヒメ様に認められてからは毎日があっという間だ。
アラヒメの御巫として果たさなければならないお勤めは多く、そのうえで舞の修練だって欠かせない。いや、いままで以上に力を入れなければならない。
だから一日が本当にあっという間に過ぎていって、気づけば夜なんてことが最近では日常茶飯事だった。
(それでも疲れをほとんど感じてないのは、オオヒメ様が加護を与えてくださっているから――え?)
物思いに耽っていると、戸の開く音が聞こえて我に返る。
「あら、貴方は御珠の分家にいた……」
振り返れば、分家にいた頃にたまに見かけた男の子が立っていた。
男の子はあたしの顔を見て、驚いたように目を大きく見開く。
「フゥリ様、いえ……アラヒメ様。その、俺……俺…………」
「いいのですよ」
男の子の反応に戸惑うあたしの気持ちと裏腹に、慈愛に満ちた一言が口を衝いて出る。
そして柔らかな笑みが自然と浮かび、彼を誘うように手招きしていた。
ふらふらと跪くように座った彼の頭を掻き寄せ、私の胸に埋めさせるように抱きしめる。
「アラヒメの御巫としてオオヒメ様の慈しみと愛を貴方に与えましょう。私の身体はそのためのもの。だから、貴方の望むようにしていいのですよ?」
あたしが絶対に口にしないような言葉がすらすらと出てきて、頬が引き攣るような思いがする。
それとも実際に頬を引き攣らせているんだろうか。分からない。あたしの思いと実際の言動が乖離すぎていて、あたしがあたしじゃないみたいだった。
抱きしめられた男の子は顔を紅潮させると、息を微かに荒げながらあたしの衣装の胸元を剥ぐように下ろす。
おっぱいが夜の冷たい空気に晒されるように露わにさせられ、ぷるんと揺れた。
(えっ、あ……っ、なっ、えっ……????)
予想もしなかった事態に混乱して、訳が分からなくなる。
それに男の子の前で肌を晒すなんて初めてなはずなのに、恥ずかしさで顔から火が出てしまいそうなのに――、私は嫣然と微笑みながら彼を見守っていた。
「アラヒメ様……、フゥリ様………、フゥリ、俺……、俺は……」
まるで熱に魘されたように呟く様は、彼の理性が彼自身を最後の一線で引き留めているかのようだった。
だけどもう一度微笑みかけてあげれば、そんな躊躇いも儚く崩れ去って。男の子はその顔をあたしのおっぱいに寄せるとその先端を口に含んだ。
「……ッッ、んっ。よしよし、ちゃんとおっぱいを吸えてエラいですね♡ っン……ぁ、や……っ」
甘い声が零れそうになるのを堪えながら、私は男の子の行為を受け止める。その手はまるで求めるかのように彼の後頭部を撫でていた。
一方の男の子はあたしの突起を舌で弾き、激しく音を立てておっぱいを吸い上げ始める。
「あ……ぁっ、んっっ。っぁ……ん、その調子ですよ♡ ガンバレ♡♡ ガンバレ♡♡ やっ……、ん……っっ」
全身を痺れるような刺激が駆け巡り、身体がビクッと痙攣するように震える。
それでも私は彼を誉める言葉を口にし続けながら、その愛撫を受け止め続けた。
「はぁ、はぁ……ア、アラヒメ様……」
しばらく経って、男の子が息を継ぐためにあたしの胸元から顔を離す。
あたしのおっぱいは男の子の唾液でテカテカと輝くほどに染まり、その先端では桜色の突起が昂りを示すようにピンと屹立していた。
よく見ると男の子が吸いついていた跡がしっかりと残っていて。その事実にあたしは全身が熱くなっているのに、私は優しい微笑を湛えながら男の子の頭をゆっくりと撫でる。
「ふふ……っ♡ 上手に私のおっぱいを吸うことができましたね、エラい、エラい♡」
「っあ……、アラヒメ様……っ、アラヒメ様、俺……っ」
私は男の子がたどたどしく話すのを首を振って遮り、ゆっくりと口を開く。
「皆まで言わずとも分かっています。形が窺えるほどに怒張が張ってしまって苦しいのですね。ですが、オオヒメ様はそのような気持ちも慈しみと愛を以て受け止めてくださるでしょう。だから、正直になってしまっていいのですよ?」
いつの間にか男の子の下腹部ではそれがその存在が窺えるほどに大きく膨れ上がっていて、先端の方では布地に薄っすらと染みを作っていた。
(えっ、あれが男の子の……?? 嘘っ、あんなに大きく……っ、え、えっ、えっ????)
あたしの混乱を他所に、男の子はゆっくりと自らの下半身に手を伸ばしていく。
そして混乱が最高潮に達しようとした瞬間、部屋の戸が数度に渡って大きく叩かれた。
「――アラヒメ様。お休みを取られているところ、失礼いたします」
「どうしましたか?」
私から発せられた声の調子は室内で行われていることなど微塵も気取られないほどに落ち着き払っていた。
「鏡の御巫であるニニ様と剣の御巫であるハレ様がアラヒメ様にお会いしたいといらしているのですが、どのようにいたしましょうか?」
「……分かりました。すぐに向かいますので、二人には待っていてもらってください」
「承知しました」
部屋の前から人気がなくなったのを確認すると、私は短く息を吐いた。
「私は行かなければなりません。今宵はここまでのようですね」
「そ、そんな……アラヒメ様っ」
「何も案ずる必要はありませんよ」
私は乱れた衣装を整え直すと、彼に向かって柔らかく微笑みかける。
「私はアラヒメの御巫。オオヒメ様の慈しみと愛を示し、与えるためにいつでもこの場所にいるのですから」
「……は、はいっ」
男の子はまるで少年のように私の言葉に力強く答える。
でも、その瞳には珠の御巫だったフゥリはもう映っていないのが分かってしまって。
あたしにはそれがどうしようもなく悲しくて息苦しかった。
アラヒメの御巫であるはず、なのに――。