アミール・ハムザ(ライダー)
【元ネタ】『アミール・ハムザの物語』
【クラス】ライダー
【真 名】ハムザ
【性 別】男
【身長・体重】169cm・59kg
【外 見】様々な武器を身に帯びた、鎧姿の青年
【属 性】秩序・善・地
【ステータス】筋力:A 耐久:C 敏捷:B 魔力:D 幸運:C 宝具:A++
【クラス別スキル】
騎乗:A
乗り物を乗りこなすための能力。騎乗の才能。「乗り物」という概念に対して発揮されるスキルであるため、生物・非生物を問わない。
Aランクでは幻獣・神獣ランクを除くすべての獣、乗り物を乗りこなせる。
対魔力:B
魔術への耐性を得る能力。一定ランクまでの魔術は無効化し、それ以上のランクのものは効果を削減する。
Bランクでは、魔術詠唱が三節以下のものを無効化する。大魔術・儀礼呪法などを以ってしても、傷つけるのは難しい。
【固有スキル】
カリスマ:B
軍団の指揮能力、カリスマ性の高さを示す能力。団体戦闘に置いて自軍の能力を向上させる。
敵対者であっても戦いを経て友情を結び、自らの仲間に変えてきた。
世界征服者:B
ハムザに与えられた称号の一つ。
「軍略」の亜種スキル。
多人数を動員した戦場における戦術的直感能力。自らの対軍宝具行使や、逆に相手の対軍宝具への対処に有利な補正がつく。
戦いを通じて様々な勢力を味方につけ、イスラームの大軍団を率いる。
物語において、彼の軍団はイランやギリシャ、エジプトなどの七つの王国を支配した。
神秘殺し:A
ライダーは生まれながらに、妖精郷カフの王シャーパルを助け、簒奪された王位を回復するという宿命を背負っており、カフにおいて多数の敵を討ち滅ぼしてきた。
シャーパルの王位回復後も、王女アースマーン・ペリに帰還を妨害され、18年間カフを彷徨うはめとなり、各地で冒険を繰り広げる。
その在り方がスキルとなったもの。対神秘への特攻。
イスカンダルの戦鼓:A
冒険の中で入手した、かつてイスカンダルが使用していたという戦鼓。
その音により、遠く離れた味方にも情報を伝達出来る。
音響兵器としての使用も可能。
人祖の腕章:EX
アダムより授けられた腕章。
持ち主を無敵にする力と、上下方向の距離を無視して攻撃を届かせる能力がある。
この力によって、巨人や飛行する相手に対しても問題なく戦うことが可能。
ただし、この腕章を手に入れた際にアダムと以下の誓約を交わしており、ハムザはそれに縛られる。
・相手の攻撃を三度受けるまでは、こちらから攻撃することはできない。
・鬨の声を無闇に使用してはならない。
ウォークライ:A+++
ライダーが戦場で発する鬨の声。
相手からの精神的干渉をシャットアウトし、自己の能力値を一時的に向上させる。
発される声は周囲を破壊し、相手を恐慌に陥れ、鼓膜を破り、酷い場合には気絶させる。
但し、上記のスキル「人祖の腕章」により、乱用は出来ない。
サーヒブ・キラーン:A
『合の主』
吉兆の星回りの下に生まれ、特異な運命を背負っていることを表す称号。
幸運のパラメーターをランダムに上下させる。
【Weapon】
シヤー・クィータース
黒き星辰を意味する名を持つ、大天使ジブリールから与えられた馬。
預言者イサクの厩舎から持ち出されたものであり、風の様に速く走ることが出来る。
【宝具】
『天使恩寵・英雄兵装(アスリハ・ジブリール)』
ランク:A++ 種別:対人宝具 レンジ:1 最大捕捉:1
大天使ジブリールから与えられた数多の武具。
預言者イスマーイールのマント、預言者フードのヘルメット、預言者ヨセフのガントレット、預言者サーリフのアンクレット、水を操るノアの槍、ダビデの鎖帷子、ソロモンの宰相アーシフ・バルキヤーの双剣サムサームとカムカーム、ガルシャースプの盾、サームの戦鎚、ロスタムのベルトと短剣、ソフラーブの短剣。
どれも強力な力を有する装備であるが、その一つ一つの真価を発揮するには、それぞれに絶大な魔力が必要とされる。
『蛇吼戦旗(サーンプ・パーチャム)』
ランク:C 種別:対軍宝具 レンジ:1〜50 最大捕捉:500
魔術師ブズルジュミフルから与えられた蛇の形をした魔法の旗。
その旗から発せられる、あらゆるものが敵対者を恐怖に陥れる。
視界に入れる、旗から発せられる麝香や龍涎香の匂いを嗅ぐ、風に吹かれると発せられる「ヤー・サヒーブ・キラーン」という音を聞くなどの条件を満たすと、強い恐怖に襲われ、相手は戦意を挫かれる。
【解説・人物像】
イスラーム圏に伝わる叙事詩『アミール・ハムザの物語』(ダスタン・イ・アミール・ハムザ、、或いはハムザナーマ)の主人公。
預言者ムハンマドの叔父、ハムザ・イブン・アブドゥル・ムッタリブと同一視される。
この物語はペルシャ起源で、その後インド、東南アジアに伝播した。
人物像としては、心優しく、純粋な性格。
やや流されやすい部分もあるが、仲間や困っている人を助ける事には頑として熱血。
物語の序〜中盤の、妖精郷に幽閉される前、若い頃をイメージしており、少年漫画の主人公然とした印象。
……というかスキル・宝具として採用したい逸話が多く、セイバーverとライダーverの二つに分割せざるを得なかった。
後半生はセイバーの方で召喚される。
願いは「恋人ミフル・ニガーとの幸福な生活」
あくまでも「叙事詩『アミール・ハムザ』の主人公」としての召喚であり、史実のムハンマドの叔父、「クライシュ族最強にして不屈の男」「殉教者の主」ハムザ・イブン・アブドゥル・ムッタリブとしての要素は薄い、というかほぼ無い。
以下、物語の紹介(フランシス・W・プリチェットによるウルドゥー語版の翻訳に基づく)
イラン王ヌーシラヴァーン(ホスロー1世)は宰相ブズルジュミフルから、ある預言を聞く。
「将来簒奪者が現れ、ヌーシラヴァーンは王位を追われることとなる。しかし、ハムザという青年が簒奪者を討ち倒し、王位を回復するだろう」
王はブズルジュミフルにハムザを探すように命じ、ブズーチミールはメッカへと向かう。
ブズルジュミフルは預言の子供と、その仲間となる2人を探すために産まれたばかりの子供を集め、その運命を占った。
すると、アブドゥル・ムッタリブという男の子供が運命の「ハムザ」であることが判明し、その後ハムザの仲間となる2人——アマルとムクビル——も見つかる。
三人はそれぞれ母親となる者がいなかった為、アブドゥル・ムッタリブの下で揃って養育されることとなった。
三人の子供は成長し、ハムザはジブリールから馬と各種の装備を、アマルは聖者ヒドルから俊足の加護を、1人何も貰えないと思い込み自殺しそうになったムクビルはすんでのところでアリーの弓を、それぞれ賜った。
ハムザは少年時代から冒険を重ね、戦いの中で仲間を増やしていく。
18歳になると、預言された通りに、ヒシャム・ビン・アルカマーという男が王位を簒奪する。
ハムザはヒシャムと戦い、ヌーシラヴァーンの王位を回復した。
途中ハムザを妬む大臣バフタクが妨害を行うも、ハムザ達への恩賞が行われ、ハムザは蛇の形の魔法の旗と宮殿を、アマルは444のアヤーリーの道具を貰う。
ハムザ達は都に上り、(バフタクから妨害されつつも)王から厚遇を受ける。
しかしある日、ハムザは王女ミフル・ニガーに恋をし、王女もまた若き英雄に想いを寄せた。
ヌーシラヴァーンは、ヒンドゥスタンの王ランドハウル・ビン・サダーンを攻略すれば王女との結婚を承諾すると言い、ハムザは旅立つ。
島程の大きさのある魚や嵐に悩まされながらも、ヒンドゥスタンに到着したハムザは、ランドハウルと意気投合する。
ランドハウルは、ハムザを死に追いやる為のナウシャーヴァーンの策略だとして戦いを止めようとするが、ハムザは任務を理由にランドハウルと戦い、勝利。
ヒンドゥスタンの王はハムザに忠誠を誓い、共に王都クテシフォンに帰還する。
ヌーシラヴァーンはランドハウルに死を命じるが、ハムザの反対と、処刑強行によるハムザの蜂起を懸念した王妃の取りなしで死刑は撤回される。
ハムザと娘を結婚させたくない王は、バフタクの助言に従い、七つの王国で、王女と異教徒の青年の結婚に反対する反乱が起こったという嘘をつく。
これに怒ったハムザは、七つの王国を巡り、これを征服する事を申し出る。
ヌーシラヴァーンは使者の手紙にハムザをこっそり殺す命令を記して、ハムザを遠征に向かわせる。
ハムザはあらゆる暗殺を回避しながら王国を征服していき、6番目の王国ギリシャに辿り着く。
ギリシャ王ファレードゥーンはハムザに好意的で、イスラームに改宗する。
王は青年に、ギリシャを悩ます炎を吐く大蛇と黒人の軍勢を討伐する事を頼み、彼等はこれを成し遂げる。
ファレードゥーン王はハムザと娘を結婚させようとするが、ハムザはミフル・ニガーへの想いを理由に拒絶。
しかし諦めない王は、大量の金貨と、結婚を承諾しないと自殺するという脅しでハムザを説得。
ハムザはナヒード・マリアム王女と結婚する。
7番目の王国、エジプトでは、ハムザ達は歓待の宴で薬を盛られ、囚われの身になる。
この報を知り、王都で留守番していたムクビルと、何故か突然現れたアマルはハムザを助ける為にエジプトに向かい、エジプトの王女ズーラの助力の下戦士達を解放、エジプトは征服され、王位に着いたズーラはムクビルと結婚する。
ハムザはヌーシラヴァーンからエジプト王に送られた「ハムザを殺せ」という手紙を読み、激怒。
王都クテシフォンに進軍し、ヌーシラヴァーンと戦争になる。
都は陥落し、ハムザ達は掠奪を行うが、閉じ込められていたミフル・ニガーを発見、彼女の取りなしによりハムザ達が奪った物は元の場所に返された。
ヌーシラヴァーンは屈辱を感じ、将軍ゾーピンを送り込む。
ゾーピンはハムザに敗れ降伏、イスラームに改宗するが、それは偽りのものに過ぎなかった。
ゾーピンは直ちにハムザを裏切り、夜襲を仕掛ける。この戦いでハムザは大怪我を負うことになる。
一方その頃、妖精郷カフでは反乱が起こり、妖精王シャーパールは王位を追われていた。
ペリ達が住む妖精郷にはかつて預言が与えられており、「反乱が起こり、シャーパールは王位を追われるが、外の世界からやってきたアダムの子孫ハムザが反乱者達を殺し、シャーパールは王国を取り戻す」とされていた。
王は宰相であり、ソロモン王の仲間であり弟子でもあったジン、アブドゥル・ラーマンにハムザを探させる。
占いの結果、ハムザが戦の最中に毒剣を頭に受け瀕死である事を知り、王はラーマンに万能薬「ソロモンの軟膏」を与えて預言された人間の救出に向かわせる。
ラーマンはハムザの命を救い、事情を話すと、ハムザは命の恩を返す為に、カフに向かうことになった。
アマルは猛反対したが、ハムザは彼に後を託し、(ラーマンの語るところでは)18日で帰って来れるという旅に向かう。
しかし、ハムザはその後長らく帰って来ず、アマルは悲嘆に暮れるミフル・ニガーを慰め、物資不足に苦しみながらも、時折現れるオレンジのヴェールを纏った謎の存在に助けられて、ヌーシラヴァーンとの戦争を続けることとなる。
カフにおいては、ハムザはソロモン王の剣である「ソロモンのサソリ」を手に入れると、簒奪者であるイフリートの下に向かうが、彼は自己のティリズム(魔法により形作られる異界、型月的には固有結界みたいなもの)に退避し、ハムザはそこに入る事が出来ない。
途方に暮れるハムザだったが、ラーマンから贈られたエメラルドタブレットの力で「黄金郷」への侵入に成功する。
タブレットの力を借りながら(偶に使い忘れながら)黄金郷を攻略していき、イフリートと対決。
切りつけても2人に増殖するイフリートに苦戦していると、聖者ヒドルが現れ、「タブレットを見ろ」と説教される。
ヒドルの助力でティリズムを破壊し、ハムザはシャーパール王の下に帰還する。
ハムザは早く帰してくれるように願うが、シャーパールは娘であるアースマーン・ペリとの結婚をハムザに望み、あと一年間残留する事を求める。
妖精の助力が無ければ帰ることのできないハムザはやむ無くこの申し出を受け入れ、アースマーン・ペリとの間にはクライシャという名の娘を設ける。
一年後、ハムザは約束の履行を求めるが、王はその前にカルカルとカルパルという2人のデヴの反乱の鎮圧を依頼する。
依頼達成後、王はハムザに約束する。
「6ヶ月後に貴方を元の世界に戻しましょう」
ハムザは王の言葉と自分の忍耐力を信じた。
ある日、ハムザは夢で衰弱したミフル・ニガーの姿を見て、錯乱状態に陥る。
ミフル・ニガーの話を聞いて嫉妬したアースマーン・ペリと口論になり、ハムザは王に嘆願し、帰還のために宮廷を飛び出した。
アースマーン・ペリはハムザを妖精郷から連れ出した者に厳罰を与える御触れを出した事で、ハムザは帰還出来ず、妖精郷の砂漠の中に放り出される事になり、半死半生の重体となる。
この事を知った王と王女は焦り、ハムザを救出。6ヶ月の休養を行わせる。
ハムザは回復後、以前と同じようなやり取りの末に、自分を帰してくれる者を求めて妖精郷をさすらい、冒険を繰り返すことになる。
妖精郷に来て17年程が経過した頃、ハムザは騙されて再びアースマーン・ペリと結婚することになる。
ハムザはアースマーンの宮殿のソロモンの地下牢で、過去に自らに助力した事で囚人となった人々と、その子供、空を飛ぶことの出来る若駒の姿をした妖精アシュカルと出会う。
アシュカルは彼を乗せてカフから脱出させ、ハムザは18年振りに元の世界に帰還。仲間と再会する。
ハムザとミフル・ニガーは結婚し、息子クバードを設ける。
同時期に、ギリシャ王女ナヒード・マリアムとの間に産まれていた息子アムル・ビン・ハムザにも子供が産まれ、ハムザは孫にサードと名付けた。
間も無く、窮地に陥ったヌーシラヴァーンがやむ無くイスラームに改宗すると、ハムザは義父の王位を回復し、彼らを手厚く扱った。
しかしヌーシラヴァーンは王国の統治に疲れ、孫のクバードに王位を継がせると自らは引退した。
しかし、幸福は長くは続かなかった。
アムル・ビン・ハムザは、義妹との痴情の絡れによって殺された。
クバードは、再び陰謀を起こしたヌーシラヴァーンが送り込んだアヤールの手によって殺された。
ミフル・ニガーは、ハムザ達がヌーシラヴァーンの同盟者シャッダードに息子の復讐を行なっている間に、忍び込んだゾーピンの手によって殺された。
悲嘆に暮れるハムザは隠居し、ただムクビルのみを供に亡き妻の墓を守って生きていくと決意する。
しかし、ハムザが隠居したという知らせが広まると、彼に対する復讐を行う為に、カルン・ビン・ファルハド・アッカとクバードを殺したアヤールの息子クリヤット・ビン・ギリムの2人はハムザとムクビルを捉え、拷問を行う。
この知らせを聞くと、アマルを始めとするハムザのかつての仲間達は立ち上がり、彼を救出する為に動き出す。
カルンの妹ファルザナ・バーノは夢の中で啓示を受け、ハムザ達を助け出し、逃亡する。
ファルザナは、ハムザを探すアマルに出会うと、彼らを再会させる。
ハムザは再び戦いを始めた。
カルンへの復讐を果たすと心が満たされ、再び陽気な気分になれた。
その後ハムザはファルザナと結婚。
その他にもハムザの不在時にアマル達を助けていた謎のオレンジのヴェールの正体である妖精ナーランジ・ペリや戦士王女ゲリー・サヴァールらと結婚し、人喰い人種達との戦いなどを行う。
ある日、ハムザ・イブン・アブドゥル・ムッタリブはメッカに向かい、ムハンマドの為に異教徒との戦いに従事する事になる。
戦いの中で多くの戦友が命を落としていくが、ハムザは戦いに勝利する。
しかし、メッカへの帰路、かつてハムザに息子を殺された女ヒンダの待ち伏せに会い、ハムザは殺され、遺体は70個に切り刻まれた上に肝臓を食べられた。
ヒンダはハムザを殺した事で、ペリの娘クライシャが妖魔の軍団を率いて復讐に来る事を恐れ、ムハンマドの下でイスラームに改宗する。
ムハンマドは刻まれたハムザの遺体の断片それぞれに祝福を与え、ハムザは殉教者として天国の高位の階級に就く事が出来た。
物語には自分が参照した物よりも長いバージョン(46巻版)や、ハムザの子や孫の活躍を描いた続編『ティリズム・イ・ホシュルバ』があり、双方とも英訳の存在を確認しているが、諸事情によって入手出来なかった。
物語のあらすじも、自分の拙い英語力では誤読・誤解があるかもしれないが、許してほしい。