氷水と見出だす相
ベリーメロン氷水のアクティは岩に腰かけてシャボン玉をストローから飛ばしながら、目の前に修練に励むその男を眺めていた。
必死に剣を振るうその男の名は泰阿。アクティを始めとした乙女しかいない氷水の民とこの霊峰を守る相剣士の一員である。
とはいえ彼はまだまだ未熟な身らしく、自分の相を見出だせていない。
「…………」
それでもめげずに修業を続けて、それでもうだつが上がらない彼。
静かに眺めていたアクティは思い立ったように立ち上がる。
「少し前に、一つ良いことを聞いた」
突然口を開いたアクティに、泰阿は汗をぬぐいながら不思議そうに首をかしげる。
そんな彼をアクティは木陰についてこさせると、最近聞いた噂を口にした。
「女を抱けば男は一人前になれるらしい」
言いながらアクティは泰阿にしなだれかかっていく。ぎょっとして混乱する彼だがアクティの方がこういう時は手早い。
不意をついてしまえば男女の差はなくなってしまい、泰阿は情けなく木陰で押し倒された。
「貴方は試してみた方がいい」
氷水の民はほとんどは表情を変えるのが苦手だ。女帝のコスモクロアはよく笑うが、アクティも例に及ばず表情を全然変えない。
氷水特有の宝石のように透けた身体は正しく水のようで、その体温も泰阿のような竜人に比べるとあまりにも低い。
「熱い……ドキドキしてる?」
修練中だったから……と言い淀む泰阿だが、アクティは特に気にしない。
火照って汗にまみれた身体を冷やすように撫でていく。
「女がこうすれば……男は気持ちいいと聞いた」
氷水の乙女の身体は冷たい以外はしっかり柔らかい女性の身体だ。
そんな柔らかな身体を地肌に擦り付けられれば男はすぐに興奮する……とアクティは外から流れ着いた本に書いてあったのを実行していく。
「あの薄い書物には……こう書いてあった……んっ……」
氷水の体液により作られた衣服はアクティが望めば溶けてしまい、碧く透けた肌が泰阿の目に晒される。
人間のものとは違うが乳首までも美しい宝石のようで、泰阿は必死に目を逸らそうとしていたがアクティはそれを許さない。
「これで男のモノが……ん?」
書物にはこうして男のモノが固くなると書いてあった。
しかし泰阿の股間は一向に硬くはならず萎えたままである。
男のことを情報くらいでしか知らないアクティは、首をかしげてしまう。
泰阿はそういうのは良い仲になってからであって、いきなりするようなものでは……も口ごもる。
そんな彼の様子を最近流れ着いた書物の中からアクティは答えを導きだした。
「これが……ソウショクケイ?」
どこでそんな言葉を覚えてきたんだ?と思わず言ってくる泰阿だが、アクティはこの場合はどうするのかという思案に夢中だ。
外のことをあまり知らない氷水の民にとって、流れ着く書物などは貴重な知識になる。
その中で女が男にする「ご奉仕」というモノを思い出した。
「ハァ……なら、ご奉仕する」
え?と間抜けな声を出して固まる泰阿に対し、アクティは彼の股間に顔を埋めていく。
まだ柔らかい幼虫のような肉棒に優しく口付けた。
「んっ……ちゅぅ……」
ビクン!と泰阿の身体が跳ねるが、アクティはそのまま口を開けて舌で刺激を与え始める。
氷水特有の冷たい感触に泰阿は思わず声を漏らしていたが、これにもアクティは無視して肉棒を口に含んでしまう。
(変な、味……)
あまり食事を取る必要がない氷水だが、初めて口に含む男のモノは今までのどれにも属さない独特な味がした。
アクティはそれに唾液を塗り込むように舐め上げていく。
「んんっ……ちゅぷ……んくっ……」
口の中で泰阿のモノが硬くなってきたのを感じる。同時に膨張してきたそれはアクティの口内を埋めていくが、彼女は嫌がることもせずに丹念に咥えていく。
泰阿はされるがまま腰を抜かしていて、押し寄せる快楽に振り回されているようだ。
「ぷは……ちゃんと、硬くなった」
そこまでやってアクティは満足げに反り立つ肉棒を眺めた。
氷水の体液はヌラヌラと粘りと滑りのある液体なため、これからすることも問題ないだろう。
「じゃあ、入れる?」
泰阿の両足を跨いで膝立ちになり、アクティは見せつけるように秘部を割り開いた。
青っぽく水のように透けているがヒクヒクとひくつく様は氷水も他の種族も変わらない。
アクティは泰阿の目を見つめながら
「いれたい?いれてもらいたい?」
泰阿の判断をあおぐように、アクティは囁く。このまま騎乗位で繋がることも可能だが、それでは泰阿が抱いたということになるかアクティにはわからなかったのだ。
なので聞いてみる。
「私は、どちらでもいい」
泰阿がしたい方でいい、とアクティは言うが泰阿にそんな余裕はないだろう。
真面目な彼にとって付き合っていない乙女との行為には中々踏み込めないのだ。
しかしアクティはそんな気も知らずにさらに言葉を重ねていく。
「それに、泰阿なら問題ない」
そこまで言われてしまえば泰阿も堪えきれない。
身体を起こしてきた泰阿に、アクティは抱き止められながら肉棒を挿入された。
「ん、んんっ……あっ……♡あつ、い……♡」
ひんやりとした透き通った身体に熱い肉棒が侵入すれば、アクティの薄い反応も濃くなっていく。
氷水に処女の概念はないが熱いモノを受け入れる快感は人の女と変わらないらしい。
アクティの下腹部に収められた肉棒が透けて見え、それを見えない膣壁がきゅうきゅうと締め上げる。
「んっ……あっ……んんぅっ……これ、すご、い……♡」
ゾクゾクとしたナニカがアクティの身体を電撃のように駆け巡り、思わず甘い声が漏れていく。
背筋をピンと伸ばして悶える姿は乙女と変わらない。
「しら、ないっ……こんな、気持ちいい……なんて……ひうっ♡」
本来、氷水の民にとって男女による性行為は必要ない。氷水の民はその肉体が黒く染まれば氷水に還り、永い時をかけてまた氷水から産まれてくる。
だからこそアクティは初めての快感に戸惑い、そして酔いしれていく。
「ひうっ……んんぅっ……あっ……♡」
普段は感情が控えめなアクティが甘く喘いでいる。その事実に泰阿を興奮させたらしい。
華奢な彼女の身体を強く抱き締めて、何度も腰を突き上げていく。
「んんぅっ……あっ……はげし、いっ……♡」
激しく絡み合うアクティと泰阿。アクティも自身から誘ったことなど忘れているのか、彼に全て委ねているようだ。
氷水の特殊な体液はそんな激しい行為によって泡立ってはシャボン玉のように散っていった。
「んあっ……ぁんっ……んんぅぅぅっっっ♡」
ついさっきまで童貞であった泰阿が安定したペースを保てるわけもない。
アクティが初めての快感に絶頂し、肉棒を強く締め付けると同時に泰阿も果てていく。
アクティの下腹部に白濁した精液が広がり、彼女のナカへとゆっくり溶け込んでいった。
「これで、貴方も一人前……?」
余韻に浸る泰阿を見上げながらアクティはそう尋ねてきた。彼は自信は付いたと頷いてみせ、アクティに礼を言う。
そんな彼にアクティは安心したように身を預ける。
「……でも一回じゃ足りないかもしれない」
己れのナカに収められたままの泰阿の肉棒を締め上げれば、愚直にもまた硬さを取り戻していた。
その事にアクティは口角を少しだけ上げながら囁く。
「もっとシよ……」
その申し出を泰阿は断らなかった。
修業を中断してしまったことは叱責されるだろうが、据え膳食わぬは男の恥と相剣の大公である承影も自身も言っていたのだから。
泰阿は彼女の冷たくも柔らかい身体に酔いしれ、アクティもまた彼との熱い快感にはまりこんでいく。
その後ほどなくして泰阿は相を見出だすことに成功したと言うが、莫邪にコツを聞かれてはぐらかすのに苦労したという。