アオイとニドキングのおじさん
・年齢捏造があります
・サカキが出てきますが最早別人
・アオイちゃんはサカキと初対面です
てくてく。
うろうろ。
おろおろおろ。
「ここ、どこ……?」
パルデアチャンピオン・アオイ、12歳。
現在、ジョウト地方コガネシティにて大絶賛迷子中である。
(コガネシティなめてた……)
アオイはうぉろうぉろ(おろおろしながらうろうろ歩くことの意であり、何処ぞの頭アルセウスとは関係のない言葉である)しながら考える。はたと足を止めると、目の前にはまたもや違う景色が広がっていた。
(どうしよう、もっとわかんなくなっちゃった。お兄との待ち合わせの時間、もう過ぎちゃってるのに……)
アオイの目に不安の涙がじわりと浮かんだ時。
「どうした、お嬢ちゃん」
ニドキングがあしらわれ、お世辞にもお洒落とは言えないシャツを着た一人の男が声をかけてきた。
「えっと、待ち合わせ場所がどこかわかんなくて……」
何処からどう見ても堅気ではなさそうな風貌をしているのに、いつの間にかアオイはそう答えていた。
「そうか、付いてきなさい」
男はアオイに待ち合わせの場所を聞くとそれだけ言い、歩き出した。
*****
「……あ」
アオイはそう声を漏らして立ち止まる。視線の先には「いかりまんじゅう」と書かれたのぼり。実はこのアオイ、兄と同じく甘いものが大好きでありピクニックではいつもクリームやフルーツをふんだんに使ったサンドイッチを爆破している。
「どうした」
アオイが立ち止まったことに気付き、男は振り返るとアオイが見ているものと同じのぼりに目を止めた。
「ああ、あれが欲しいのか」
「いやいや、大丈夫ですよ!自分で買います!」
財布を取り出し店へ向かう男をアオイは必死に引き留める。
買う買わないの押し問答が続き、そして。
(結局買って貰っちゃった……)
アオイはちらりと彼女の荷物を持つ男を見る。
あの後、アオイはいかりまんじゅうだけでなくバトルグッズ等色々な物を買って貰っていた。アオイが少しでも気になったものを目にも止まらぬ早業でお買い上げするのだからタチが悪い。視線で買い物とかどんな大富豪だよ。
そんなことをつらつら考えていると、急に男が立ち止まりぶつかりそうになった。考え事につい夢中になってしまうのはバトルでは有用だが悪い癖である。
「着いたぞ」
「え、あ、ありがとうございます!」
ニドキングのおじさん!と笑顔で言うと彼は「ヴッ」と潰れたケロマツみたいな声を上げて蹲った。
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親バカしてるサカキが見たかっただけ。因みにサカキが着てるシャツは某でんTと同じ会社から発売されています。