アウスのSS
自分は子供だった。だからこそ、本当の恐怖も、力も、責任も知らなかったのだ。
精霊術。それを扱うのがどういうことか。
「ハッ……ハッ……」
深い、とても深い、暗闇に包まれた森の中を走る少女が居た。
腕の中に相棒の使い魔、デーモンリーパーを抱えて駆け抜ける彼女の名はアウス。
霊使いと呼ばれる精霊術を操る術師だ。見習いの。
そんな人物が息も絶え絶えに走るのには理由があった。
後ろからやって来る「死」から逃げる為である。
「死」は命に侵食し腐らせる。通った後に残るのは疫病に侵されたかのように、もがき苦しんだ動物や死化粧を施された木々が残る。
許せない。
故に自然や命を愛するアウスは愚者の得意技を披露したのだ。近くに来ているという「死」に挑むというピエロである。
結果はこの通りだ。
(絶対に、助けるから……私のわがままで死なせない)
彼女が腕に抱える相棒は「死」に侵されている。はやく! はやく! 治療をしなければまずいのだ!
だが、愚者に救いなどない。足を滑らせて転んでしまったのだ。
「リーパー君 平、うっ……」
彼女は足を挫いた。幸い放り投げてしまったデーモンリーパーはまだ生きている。
けれど、まずい。
「死」が
ゆっくりと
ゆっくりと
近づいて
来る
「ヒッ」
しぬしぬしぬしぬしぬしぬしぬしぬしぬしぬいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいや……
あっ
「死」が目の前に立つ。生気のない青白い女が自身を見下ろしていた。そして、握られた巨大な剣が振り下ろされ
ーー地霊術 憑依覚醒ーー
アウスは無意識であった。もしかしたら盾ぐらいにはなるかもしれない。そう考えて杖を盾のようにしたのだ。それが引き金だろう。
精霊術が発生し、ナニカを引っ張り出した。どこか深淵から稲妻を引っ張り出した感覚。足を通じて腕に伸びていき、アウスと「死」の間に飛び出したのは真紅の狼であった。
ウウウウウウラァァァァァァァ
叫びと共に真紅の狼が振るう斧が「死」を闇の中へ消し去ってしまった。
理解が追いつかない。自分は……何を召喚した?
「君……は?」
憑依覚醒ークシャトリラ・フェンリル
星7 サイキック族 地属性 攻守2400/2400
このカード名の(1)(2)(3)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):自分フィールドにモンスターが存在しない場合、このカードは手札から特殊召喚できる。また、自分フィールドの表側表示の、魔法使い族モンスター1体とレベル7以下の地属性モンスター1体を墓地へ送り、手札・デッキから特殊召喚できる
(2) 自分メインフェイズに発動できる。デッキから「クシャトリラ」モンスターまたは「アウス」モンスター1体を手札に加える。
(3) このカードの攻撃宣言時、または相手がモンスターの効果を発動した場合、相手フィールドの表側表示のカード1枚を対象として発動できる。そのカードを裏側表示で除外する。