らあめん花月嵐と私

らあめん花月嵐と私

ささくれ


高校3年生のころ、中学時代に通っていた塾の先生に会いに行ったことがある。


「今の校舎の近くにうまいラーメン屋があるんだ。大学に合格したらおごってあげよう」


当時すでにラーメン好きの片鱗を見せていたささくれ。恩師の言葉に胸ときめかせ受験勉強にいそしんだ。

そして3月。無事第一志望に合格。発表から数日経ってはいたが、忘れずに恩師へ結果を報告。あの日の約束に熱い期待を寄せ、胸をときめかせながら…


だが、恩師が「ラ」の字を出すことはついぞ、なかった。



あの日、やり場のない怒りと悲しみを抱えて行ったのも、らあめん花月嵐だった。

満たされない穴を埋めたくて立ち寄ったフードコート。濃厚を謳っただけのよくわからないなにか。自棄になって酒を飲んで、誰でもいいやとゆきずりの男とホテルに入ったら土まみれのゴリラと抱き合ってた。哀しい。



花月には、いつもよく分からない期待をしてしまう。

実は、次に行ったらふつうにうまいんじゃないかという期待だ。

そして毎度、なんでこんなところ来たんだ、金をドブに捨てたと思いながら帰る。



あるときは看板メニューくさい嵐げんこつらあめん。

あるときはすた丼で食った方がマシな油そば。

あるときは…もう印象が薄すぎて思い出せない。ゴリラでたとえたのは間違いだった。そんな鮮烈なガッカリもない。



なぜだろう。

なぜ何度裏切られても、それでも花月に縋ってしまうのだろう。



らぁめん花月嵐はやたらメニューが多い。期間限定メニューも、そうでもなさそうだが前回来たときには見た覚えがないメニューも多数そろえている。


これだけ揃える気概があったら、ちょっとはなんかこうすごい当たりメニューもあるだろう、これだけあって全部がまずいわけないだろう、なんて甘い考えを抱いてしまう。ラーメン性善説を唱えてしまう。ところがどっこいどいつもこいつも、まんべんなくまずい。まずいのだ。

…とか言いつつ、もうこのメニューを見ながら「もんじゃそば…なんかうまそうだよな」と考えてしまう自分がいる。絶対ガッカリ麺なのに。どうせしなびた町中華の醤油ラーメン(430円)からスープを抜いて別皿に移した程度のものしか出てこないだろうに、「自分だけの味付け」に惹かれている私がいる。となりのニュー熱烈担々麺も気になる。同じニューなら元祖ニュータンタンメン本舗に行った方がはるかにましだろうに。


花月がいかにまずいか語りたかったけど、そこまで覚えていないのでさようなら。なんでこのテーマで書いたんですか?そういう日もある。


とにかくみんな、ラーメンを食べたい気分の時にらあめん花月嵐、空海、餃子の王将に行くのはやめようね。

わたしは次回の花月では豚そばつけ麺を頼みます。

おわり。


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