ゆいとの出会い
ゆいちゃんと初めてお話ししたのは、学園祭の時だった。
校内の片隅のベンチで、ポツンと独りぼっちで、買った焼きそばを黙々と食べていた彼女を見かけて、その様子があんまりにも寂しそうに見えたから、放っておけなかった。
──その焼きそば、あんまり美味しくないのかな?
私がそう問うと、ハッとして顔を上げた彼女は、そんなことないよっ!って、びっくりするくらい大声で反論した。
──拓海とあまねちゃんが作ってくれたものが、美味しくないわけないよっ!
それから彼女はすぐに感情的になった自分に気がついて、私に向かって慌てて、ごめんなさいと頭を下げた。
これが私とゆいちゃんの出会いだった。
──二人とも屋台で忙しいそうで、だからかなぁ、なんだか味気ないんだ……
以前見かけた笑顔が嘘みたいに、ゆいちゃんがあんまりしょんぼりしていたから、
──じゃあ、会いに行こっか?
──え?
私はゆいちゃんの手を引いて、あまねさんと拓海くんが切盛りする屋台へと連れて行った。
大繁盛の焼きそば屋台の裏手に周り、あまねさんに手伝わせて下さいって頼み込んだ。
──ゆ、ゆい?、お前何やってんだ!?
拓海くんは驚いていたけれど、あまねさんは意外にもすぐに了承してくれた。
──品田、君はもう良い。ゆいと一緒に楽しんで来ると良い。……花寺先輩、よろしくお願いします。
渋る拓海くんをゆいちゃんとまとめて屋台から追い出す。
──果菜さん、押しかけてごめんなさい。でも手伝わせてくれてありがとう。
──礼を言うべきはこちらですよ、花寺生徒会長。品田の鈍感振りに世話を焼かせてしまった。申し訳ありません。
貴女は私の憧れですよ、と微笑むあまねさんに、拓海くんとの「戦友」という関係について訊いてみたかったけれど、そんな暇がないくらい屋台は大繁盛しちゃって、時間はあっという間に過ぎちゃった……