やめなよAL-1S それぞれの戦い

やめなよAL-1S それぞれの戦い

鳥籠


爆発の音と慌ただしい足音が聞こえる。アズサが行動を開始したようだ。アリスとアツコが歩いていると2人の生徒を見つけた。

「ん?AL-1Sと…スクワッドの人か。先ほどの音は何だったんだ?」

「何者かが侵入して来たらしい。今からマダムの指示を仰ぎに行く。あなた達は爆発が起きた場所に向かって」

アツコの言葉に2人はコソコソ話した後

「いや、マダムには私達から話しておく」

「どうして?」

「マダムから言われてるんだ。何があっても誰も近づけないようにと」

「そう…ごめん」

アツコは謝罪と共にサブマシンガンを放つ。予想してなかった攻撃に1人が倒れる

「なっ?!貴様——がっ」

相方が倒れた事にもう1人がアツコに銃を向けるがアリスの放った弾丸によって意識を刈り取られた

「ミッションクリアー」

「急ごう。マダムも勘付いてるみたい」

2人が走る。ベアトリーチェが狙いに気づき姿を隠す前に辿り着かなければならない。しかし、しばらく進んだところで違和感を抱く

「おかしい。護衛の兵が少ない」

先ほど倒した2人以降、道を進んでも他の人に会わない。それが何を意味するか考えようとすると——

「アツコ!避けてください!」

「!?」

アリスの言葉に反応して横に転がると先ほどまで自分の胴があったところを紫色の光弾が通り過ぎる。その出所を見ると謎の4足歩行するロボットが複数いた

「あれは…何?」

アツコは見たことがない敵に驚くが、隣に来たアリスはその存在を知っていた

「Divi:Sion…」

再び光弾を放って来る敵にアリス達は応戦する。数はいるが、アリスとアツコは連携して次々に倒して行く

(残るは1体!)

最後の敵を急いで倒そうとアリスが前に駆け出した瞬間、隠れていた一体がアリスの体に巻き付く。そして、アリスの体に何かが流し込まれる。それに気付いたアツコが助けようと近づき

「アリスちゃ「アツコ!先に行ってください!」——っ!?」

アリスの言葉によって動きが制止する

「ベアトリーチェの所へ先に向かって下さい。…大丈夫です。アリスは勇者ですから。すぐに追いつきます」

アツコは一瞬躊躇った後、アリスに背を向けてベアトリーチェの下へと向かう。それを見送ったアリスは精神世界に潜り込み、自分の体に侵入した存在に対処する

Divi:Sion、それは無名の司祭達が残した遺産であるアトラ・ハシースの箱舟を動かすトリガーである『王女』を守るもの達。彼らは『王女』と『もう1人』の命令に従う。アリスがここにいるならばもう1人もいるのは当然だったのだ

精神世界で目を覚ましたアリスは目の前に1人の少女がいる。その人の事を知っている

「また、会えましたね。ケイ」

名を呼ばれた少女は眉を顰める

「『ケイ』、『Key』、そして、『アリス』、『AL-1S 』……そういう事ですか。不愉快ですね。私達の個体名に頭の悪そうな名前をつけるなんて」

「アリスはこの名前を気に入ってます」

Keyはアリスの言葉にそうですか、と呟く

「関係ありません。王女の体から消えてもらいます。偽物」

「アリス、全力で行きます!」



ベアトリーチェの部屋には誰もいなかった。アツコはそのまま進むとある聖堂に辿り着いた。そこでベアトリーチェは悠然と立っていた

「あら、騒ぎの原因は誰かと思えば貴女でしたか。残念ですね。貴女かあの人形じゃなければ遠慮なく処分できましたのに」

ベアトリーチェの言葉にアツコは銃を強く握る

「ベアトリーチェ…私達はあなたの道具じゃない。これ以上、好きにさせない」

「…フッ、フフフフフ。随分と勇ましい事を言うようになりましたね。一体誰の影響を受けたのか。…あまり貴女を傷つけたくないのですが、私に逆らうのでしたら仕方ありませんね。少し痛い目を見てもらいましょう」

ベアトリーチェの言葉と共に先ほどのロボットが数体現れた。いや、それだけではない。大きなサソリのようなロボットもいた。

「『アレ』から数体の命令権を譲り受けましたからね。さて、降伏するなら今のうち—」

ベアトリーチェの言葉が終わらぬうちに放たれた弾丸をロボットが守る。それはアツコの明確な答えだった

「…いいでしょう。では、行きなさい」

ベアトリーチェの合図と共に放たれた光弾がアツコの視界を覆い尽くす



胸騒ぎがした。だから、マダムから言いつけられた当番を無視してサボっていた。

爆発音が聞こえた。

胸騒ぎがした。だから、爆発のあった場所に向かわず自分の部屋に戻って来た。

部屋に戻るとロッカーが開いていた。

胸騒ぎがした。閉め忘れただけだと思いながらロッカーの中を確認する。

そこにはあるべき物が無かった。

だから私は走り出した。





Report Page