もう子供じゃない!
スレ主ジャないよルフィの奥さんになれてあれから私達は世界中を回っている。私たちだけの二人旅は多くの出会いと別れを繰り返しながら日々充実した日々を過ごしていた。
朝起きるとルフィはまだ寝ていて、その寝顔を横で享受できることに幸せを覚える。私より8個も年上なルフィは夜遅くまで鍛錬や必要な勉学をしてる。だから朝の多少の寝坊くらいは許してあげよう。
「zzz…zzz…」
無防備な寝顔が可愛い。普段の大人っぽくて頼りなるルフィからは想像もできないほど気持ちよさそうに眠っている姿にドキドキしてしまうのは私がチョロいのか?彼が魅力的過ぎるのか…。
「ぅん…おはようウタ!今日もいい朝だな!」
などと思考を巡らせている間にルフィは起きた。
「おはようルフィ、大好きだよ。」
「朝から照れるな。」
「良いじゃん!シャンクスにも認めてもらったルフィのお嫁さんだもん!えへへ。」
「ったく、朝ごはん作るけど何が食べたい?」
「ふわふわのパンケーキかな!じゃあ私はコーヒー淹れるね。」
「おう任せた!」
今日も私たちの日々が動き出す。世界を回りながら大好きな人と過ごす日々。充実していて幸せな生活だけど、ひとつだけ私には不満な点があった。
夫婦となった今でもルフィから求められたことが無いのだ。
確かにルフィは普通の男性よりも色事に興味は薄いがないことは無い。してくれる頻度は少ないけどキスだってしてくれるし、それに自分で言うのもあれだけど私はスタイルは良い方だろう。街中を歩けばモデルになって欲しいと写真をせがまれることすらある。(勿論全て断るが)
それにルフィは私のことを愛してくれてることは日々の生活でよくわかる。
だからこそ『求められない』ことにほんのちょっぴり自信を失うのだ。
昔、ベックマンの持っていた本に男は大人の女性に魅力をされやすいらしい。
要するに私はまだルフィに子供扱いされてることになるのだ。ルフィはとってもかっこよくて頼りなる男だ。いつ他の女性に狙われてしまうかわかったものでない。万に一つもあり得ないけど、私のよりも妖艶で綺麗な人に言い寄られて奪われるなんてことがあったら…。
私はルフィが好きだ。もっとルフィからの愛が欲しい。もっとルフィに必要とされたい。愛されたい。そのためにはもっと大人っぽくなってルフィに求められる女性ならないと。
「明日でこの島をでて次の島に行こうと思ってるだけどそれでいいかな?」
「おれはそれで構わねェぞ。それじゃあまず必要なもの買い揃えるか!」
「そうだね。そうだルフィ。今日の夜私行きたいところあるから付き合ってくれない?この前のライブでちょっぴり贅沢できるくらいの収入入ったからさ!良いでしょ?」
「いいぞ。おれも賞金首捕まえて少し資金に余裕できたとこだし、息抜きも大事だからな!どこに行くんだ?」
「内緒!夜になってからのお楽しみね!」
必要なものを揃えるために島を散策し、それを終えて船に帰宅する頃には日が沈み始めていた。私はルフィの手を握り目的地へと向かう。
「じゃーん!レストランと宿がセットになってるだって!ここらへんのお店じゃ1番評判高いしルフィにも楽しんでもらえるかなって!たまにはフカフカのベッドで寝てみたいし!どうかな!」
「旨そうな料理がいっぱいだな!ありがとなウタ!」
そうして私たちはレストランへと入った。
一通りの食事を終えて私たちは今晩お世話になる部屋へと向かった。
「いやぁさっきのレストラン美味かったな!シャワーも心地良かったし、ウタが選んでくれたおかげだな!ありがと!」
「全然。ねぇルフィ、買い出しの時に見つけたんだけど見て。」
「おっ!懐かしいなぁ。昔マキノの店でよく出てた酒じゃねェか!よく見つけたな!」
「そうそう、あの頃はまだお酒飲めなかったからルフィと飲んでみたいなって。」
「結構度高いけど大丈夫か?」
「もうルフィったらまた子供扱いして!もう私だって21なんだよ!ルフィの奥さんにちゃんと出来るし。」
「そういうところが子供っぽいんだけどな笑。悪かった、じゃあ一緒に飲むか!」
「うん!飲もう!」
お酒を飲んでルフィに大人っぽいところをアピールする作戦の第一弾が成功した。あとは良い雰囲気を作って求められるように仕向ければ…。
「るふぃい〜…えへへだいしゅき♡」
どうやら私はお酒にとんでもなく弱かったみたいだ。
「ほら、やっぱり酔っただろ?強いって言ったのにジュースみたいに飲みやがって。」
そんなことはお構いなしにルフィの胸に身体を擦り付けしまう。ルフィの匂いが好きだ。あったかくて優しく包まれるだけ幸せになる。
「ウタ、体貸せ。ベットまで運んでやるから。」
「うーん。」
所謂、お姫様抱っこと呼ばれる抱き方でわたしはベッドまで運ばれる。幸せだ。
「ほら、今日はもう寝るか。」
このままだと今まで変わらない夜になってしまう。身体をバタつかせ訴える。
「やーだ、まだ寝たくない。」
「もうかなり酔ってるだろ?寝た方が良いって。」
違う。大好きなルフィに、私なんかよりもよっぽど大人なルフィに愛されたいんだ。昨日まで私からルフィに釣り合う大人の女性としてルフィの奥さんになりたい。
「⁉︎」
ベッドに腰掛けるルフィを力一杯ベッドに引き摺り込む。
彼の顔が近い。紅潮する顔を必死に抑える。
今から言うことはかなり恥ずかしいことだと自負している…が、今の私は強いお酒を飲んでる羞恥心なんか寝れば消し飛ぶ。私の出来る最大の言葉でルフィを誘う。
「ねぇルフィ、私はもう子供じゃないんだよ?れっきとした大人の女性なの。ルフィに釣り合うくらいの…。私、もっとルフィから愛されたいよ…。ダメ…かな…?」
沈黙が怖い。ルフィに拒絶されてしまうことが、お前みたいなって子供を相手なんかしないって。
私がまだ9歳の頃初めて見たルフィはかっこよくて…山賊に襲われた時に簡単に助けてくれてその時からずっとこの気持ちは変わらない。だけど子供じゃないと言い張っても結局のところルフィから見た私なんかわからない。
「どうしたんだいきなり。」
突然の行動に戸惑うルフィ。
だけど私はお酒によって崩れた情緒をうまく制御できない。まるで我儘を言う子供のように言いたいことをルフィにぶつけてしまう。
「ルフィが大好きなの!ずっとそばにいたいし、もっとキスだってしたい!深く繋がりたい!他の女性なんかに取られたくない!その為にルフィに釣り合うような女性になりたい!ルフィに愛されたいの!」
…最悪だ。これじゃあ大人の女性どころか泣き喚く幼児だ。ルフィに釣り合うとかどうとかそんな話じゃない、泣きたくなる気持ちを必死に堪える。それしかできなかった。
しばらくの無言の後、小さくだけどはっきりと呼ばれた。
「ウタ」
瞬間彼に唇を奪われる。今までの触れるだけの優しいキスなんかじゃなく、繋がりを求めるような深いキス。感じたことのない未知の感覚に私が誘っておきながら戸惑ってひまう。
「悪かったなウタ。お前の気持ちに気づかないふりをしてて。おれ力加減とかよくわかんないし、ウタのこと壊しちまいそうで怖かった。それなのにウタはこんなに勇気を出して言ってくれて悪かった。ありがとな。」
「ルフィ…。」
「だからもう泣くな。ウタは笑ってた方が可愛いんだから!それとウタ…優しくはするけど、今晩は寝かさないからな?」
「えっ…。」
そうして私の長い長い夜が始まるのだった。
結局のところ、私は子供のようにルフィにリードされて、愛されて、大人と子供くらい違うってことを思い知った。
「うーん…もう朝か…。」
隣見ると愛する嫁のウタはまだベッドの中で満足そうに眠っていた。あれだけ濃厚に繋がりあったのだ、身体だってかなり疲弊しているだろう。
唐突に昨日遅くまで身体を重ねていたことを、ウタの身体や反応を思い出してしまい赤面する。眠る彼女に彼は愚痴をこぼすように彼は言う。
「お前、おれが大人っぽいとか言ってたけどよ、おれはお前が初めて歌ったところを見た時からずっと夢一本に突き進むウタがかっこよかったんだぞ?」
かつて夢を追う中、、、いや進むべき夢すらわからなくなり故郷で漂うような腐る日々を過ごしてきたなかで偶然出会った少女。
そんなウタの真っ直ぐと夢だけに向かう姿にどれだけ救われてきたことか。
もう一度、しっかりと生きてみようと思った。ウタが作る新時代の果てを見てみたくなった。そんなウタを愛し合うことが出来てどれだけ幸せだったか。
そんなことは気づかないまま眠りこけるウタの唇にそっと触れた。