私の考えたまがごとのその後の話・後半その1

私の考えたまがごとのその後の話・後半その1

主題に入る前の助走が長い…

最初1、ルフィ視点←これ

二人の日々~解放される辺り2、ルフィ→ロー視点(予定)


ほぼ、ルフィさん視点のダイジェスト振り返り


ルフィさんはこう思ってたのかな?という勝手な解釈です。というか、原初の物語の焼き直し?ダイジェスト?みたいな感じ。

一部妄想による捏造が入ってます注意

齟齬が生じたら申し訳ない。

間違い見つけたらサイレント修正します


※記者とか祭司とかその一族とかの事忘れてない?

彼らについてはルフィさんというかニカが手を下したと思ってるので、遠隔でニカによる祟りパワーどーん!!的な。

ルフィさんの意識の外側で行われた祟りだと解釈?しました

あとメタ的な事いうと、そこまで書いてたらキリがないんじゃ許して


ローさんがルフィさんに対して甘い。

お兄ちゃんムーヴ的な

ルフィさんのメンタルが弱々しく見えるかも

ルフィさんエミュは探り探りやってます。似てなくても許して…メンタル弱ってる故と思って欲しい。



カリカリ

カリカリ


ペンを紙に走らせる。力加減が難しいな。油断するとすぐにボキッて折れちまうから。「加減しろ」なんてトラ男のお説教、聞き飽きたからな~。慎重にしんちょーに…。


おれは今、トラ男のクルー達に向けて手紙を書いている。

おれに出来る事をしようと思った時、真っ先に出てきたのが、トラ男の仲間の事だったから。



おれはモンキー・D・ルフィ。海賊王になる男だ!!


…いや違う。なる筈だった男っていうのが正しいんだろうな。

だっておれ今人間じゃねえし。トラ男の…ローの身体を借りて「ここにいる」っていうのが多分正しい。


どうしてこんな事になっちまったのか。難しい事はよくわかんねぇ。ただ、上陸した島…じぇんが?ではぐれてから、おれの仲間が皆おかしくなって。

肉も食わせてくれねえ。海桜石の足枷なんかを掛けてくる。眠らせてくれない。水をぶっかけてくる。海ん中に放り込まれたりもした。おまけに、おれを囲んで訳わかんねえ呪文唱えて踊り出したりもして…とてつもなくゾワゾワして不気味だった。

やめろって何度も言ったけど、本気で怒った事もあったけど。人形みたいに冷たくて。どっか別の世界に行っちまったみたいに訳わかんねえ事しか言わなくて。「おれ」の事を見てなかったんだ。


おれも段々、なにがなんだか分かんなくなって。ギザ男やトラ男に助けて欲しいって本気で思って。

フラフラぐらぐらと頭が揺れて気持ち悪いのがずっと続いてた。カラカラに干からびたミイラみたいになっちまってるってのに「ルフィは大丈夫だ」なんて言われて。

コイツらはニセモノなのかもしれないと次第に考える様になった。


しまいには逃げようとしてウソップに噛み付いた時、「ニカさまになる」なんて言ってからまたゾワゾワするあの呪文をおれにぶつけてきて。


やめろ。やめろ。やめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろ


理不尽な今の状態にイライラして。

黒いナニカが、おれの中にゴオッと燃え広がって。


「やめろっつってんだろうがァ!!」


その広がったナニカがおれの言葉と一緒に辺り一面に噴き出して。


気づいたら皆倒れてた。


そして、おれの耳の奥で、ずーっとゴウゴウ音がする様になったんだ。

ゴミの街…灰色の街(グレイターミナル)が全部燃えたあの日みたいな、そんな音が。


ニセモノは倒した。さあ仲間をさがしに行かねえと。


ドドッ、ドッ、ゴゥゴゥ

ドドッ、ドッ、ゴゥゴゥ


なんて心臓まで燃えてるみたいな音がしていた。

あれ?ギア5って…心臓、こんな音だったか?あれ?白いところ無くなってる?…真っ黒マンだ。


頭ん中もごちゃごちゃしてる。

ウワンウワンっていろんな音がして。うるさいなぁ。静かになんねえのかコレ。


……まあ、いっか!それよりも仲間を、ホンモノを早く見つけてやらねえと!


待ってろよ!ぜったいに助けてやるからな!



それからは色々な事をした。まずはトラ男に電伝虫で連絡。「なかまをさがしてるから協力してくれ」と伝えて。でもトラ男は「一味は死んだんだ」なんて言うから、何言ってんだ?って訳が分かんなかった。

さびしくってたまんねえのに。死んだなんてひどい事を言うなぁって。

そんな事言うヤツだったか?トラ男って。

それからは何回電話しても出てくんなかったんだよな~。

なんでだよって拗ねた。


さびしい。いいな。なんでお前には仲間がいておれには誰もいないんだ?ずるいぞって思ってた。


そんでそのままなあそうだろ?なんて真っ黒マンになってから、度々聞こえてきたどっかのだれか達に聞いたりもした。

時々、呼ばれてる様な気もして覗き込んだり耳を澄ませたりとかもしてたんだ。

なんかすっげービビられたけど。

今考えると「そりゃそっか」って思う。ごめんな、怖がらせて。


そんでもって、トラ男に電話しながら、その直後?くらいにサニーに来てくれたコビーの所にも行ってみた。

アイツも頭いいし、海軍だから、仲間の居場所を知ってるかもって思ったんだ。

「ルフィさんに何があったんだ…!?」なんてめちゃくちゃ心配してくれてたみたいだったしな。

でも駄目だった。段々コビーの様子が変になったんだ。おれがそばで見てる日が、長くなればなるほどに。

落ち着いた時に、声を掛けようって思ってたんだよ。でも、いつもブルブル震えててさ。

「一味は死にました」って繰り返し言ってくる。おれを見ないようにしようとしてくる。

何でだよコビー。お前、おれ達の事調べてたんじゃねえのかよ。

コビーん所にもアイツらの声…ていうか電伝虫?が時々きてるみたいだった。「忘れろ」なんて震えながら怒ってる所を見たりもした。壁をかきむしって、血だらけの手で縮こまって。

…おれが来たから、コビーはおかしくなったのかな。そっか。おれのせいか。……ごめんなコビー。


さびしい。さびしい。

仲間の手がかりは何一つ見付からない。トラ男は電伝虫に出てくれないし、コビーはおかしくなっておれを見てくれない。


もういっその事、呼び掛けてくるアイツらの声のする方へ飛び込んでしまおうか。もしかしたら仲間がいるのかもしれないし。


そう思って、かつては聞こえていた(何でか知らねーけど、気がついたら聞こえなくなってた)声のしてた方へ飛び込もうとしていたその時


(変われるもんなら、変わってやりたいよ)


トラ男の声がしたんだ。


さびしい心が、その言葉に引き寄せられて。気がつけば目の前にトラ男がいた。

こっちに背を向けて、いつも持ってる刀を握りしめてる。

ポツリポツリとこぼしている言葉は…ああ、アイツらと話してるのか。

するとトラ男が振り返った。

何かを決意した様な目をして。

どこか泣きそうな、でも見たことない位に優しい表情(かお)。


刀を壁に立て掛けて、手をこっちに差し伸べて。


(とらお?)


なにしてんだ?


思わず首を傾げた。


するとフッと不敵ないつもの顔をしたトラ男が言ったんだ。


「来な」って。


さびしい心に、トラ男の優しい気持ちが注がれて。


いいの?いいのか?

なかまがいなくて、さびしくて。しってるやつは皆おかしくなっていく。

でも、でも。

おれ、お前のそばにいて、いいんだな?


仲間はいない。けど、目の前には。

大切なおれの友達がいる。


ああ!ああ!トラ男!!


(ロー!!)


無我夢中で抱きついた。離れていかないように。おれの手からこぼれ落ちないように。


ひとつになってく感覚がある。

おれの中の真っ黒がトラ男の中にも注がれて。ゴポリゴポリ。


ドン、ドッ、ゴゥ…

ドン、ドッ、ゴゥ…


心臓の音が少しだけ、かつて聞いたことのある自分のソレに戻ってきていた。

ずーっとしてた耳の奥のゴウゴウする音も、小さく小さくなっている。


(なんか…楽になったな…)


すると、突然。

背中の方からドバッと何かが溢れた気配がした。


「ルフィ!!トラ男!!クソッ!!何つー事を!!」「嘘でしょねえ待ってよルフィ!!トラ男くん!!」「駄目だ!!戻れ!!戻ってくれ~!!」「ルフィ、トラ男!!やめろ!!離れるんだ!!」

「嫌だよ二人とも!!こんなの駄目だ!!」「ルフィ…!!トラ男くん…!!」「アウッ!?クソッ駄目だ踏み止まれねぇ!!」「身体が…私達の魂がッ…!?」


…………声が、聞こえた。仲間の声が。


おれの中から、あふれた黒に、仲間はいた。


途端、ブワリと溢れる記憶。

かつて過ごした冒険の日々。笑って泣いて、時々怒って、そんでまた笑って。


いたんだ。おれの中に。

みんな、いたんだ……。

あの頭ん中の音は、お前らだったんだな。


そっか…ずーっと…おれと………。

ごめんな。

気づけなくてごめん。

お前らとはぐれてごめん。

おれも一緒にくるってれば、こんなに苦しくなかったのかな。


ごめん。


お前らをころしちまった、駄目な船長で、ごめんな……。


ボロボロ。気づけば泣いていた。

真っ黒に飲まれて、涙は落ちなかったけど。止めどなく溢れて、止まらなかった。


ぎゅっと背中に手が回されるのを感じた。トラ男が、つよく抱き締めてくれている。

金色の目がスーッと黒く染まって、気配が段々薄くなる。おれ自身もどんどんトラ男の中に埋まっていって………あー…おれ、おまえの中に、はいるんだ。


ろー、と…ひとつに…なる…………


(るふぃ)


初めてローに名前を呼ばれた気がして。


トプン


真っ黒の中で、融け合った。




続く

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