まぁそうなるよね?
スレ主もそうだと言ってますどん、と胸にきた衝撃に驚いてキスを辞める。普段から鍛えているせいなのか、それともキスのせいで力が出なかったのか。あまり感じなかった痛みに少し疑問を持ちながら衝撃を与えた主を見つめる。口の端から飲み込めなかった涎を垂らし、ひゅー、ひゅー、と必死に呼吸をしながらも己の手に頬を預けたままぐったりとしているグエルに、むくむくとイけない感情が湧いてくる。もう1回、と顔を近づければ「やだぁ…」と小さな悲鳴が聞こえた。
「グエル?」
「きす…くるしい…らうだのした、でかすぎて、いき、くるしい…」
だから、やめて。そんなわがまま聞けるわけないだろう?と心の中の悪魔が言う。天使がいけー!とぽんぽんを振って応援している。そうだ、聞けるわけが無い。大体グエルが悪いんだ。急に手で遊んできたり、頭を乗っけてきたり、キスした…のは自分だが、舌を絡ませてきたり、全部全部全部グエルのせいだ。大体なんだ舌がデカいって、グエルの口が小さいのが悪いんだろ?というか舌は平均ぐらいだと思うし。いや舌にでかいとか平均とかあるのかは知らないけど。あーいらいらする。とてもイライラする。なんだよその可愛い言い訳は、なんだその可愛い顔は。ぱちりと瞬きする度にこぼれ落ちる涙の雫が、泣きぼくろを伝って落ちていくのさえイライラする。もう知らんともう一度顔を近づけた。
「だから…ふつうのきすが、したい…」
ぶつん。
頭の中の悪魔と天使が「ヤレ」とゴーサインを出した。
こちゅん、と突き上げられる度に走る衝撃に頭がついて行かない。悲鳴が嬌声にかわるというのはこういう事なのだろうか。ひぐひぐと泣けば泣くほど、ラウダの口が、酷く歪に歪んでいく。やだと言えば言うほど、大好きな声で「嘘つき」と責められる。うー、うー、と唸れば唸るほど、ラウダの責めは激しくなり、もう自分がどうなっているか分からない。
ごめんなさい、許してください、もう助けて。
そんなうわ言を繰り返す度に、言葉を訂正させられる。違うでしょ?こういう時はなんて言うの?子供をあやす様に頭を撫でながら、ラウダは問いかける。ずび、と詰まった鼻を自分で啜りながら口を開く
「きもち、いい」
「うん、それで?」
「だいすき」
「うんうん」
「らうだ」
「なぁに?」
甘ったるい声が鼓膜を揺さぶる。きゅう、と中が締まればラウダの顔が少し歪み、はぁ、とあつい吐息を吐き出した。
「もっと、して」
お腹が壊れると思った。
情けなく喘いで、情けなく泣いて、全身が大好きな貴方で変わっていく。それがより心地よくて、必死に腰を押し付ける。ばぢゅんばちゅんと響く音、ぱんぱんと肉がぶつかる音。ラウダの短くなっていく息。その息を奪うように唇を重ねれば、太くて長い舌にうねうねと口内を貪られて、びりびりとした快楽に体を跳ねさせた。もう、全部が全部心地よくて、きっと、妹のミオリネにも、親友のシャディクにも、友達のスレッタにも見せれない顔をラウダに晒してる。恥ずかしいのに、全部見られてるのに、やなのに、もっと見て、なんて気持ちが心を埋めつくし、深い深い快楽へと落ちていく。ぎゅぅ、と強く抱き締められながら、ラウダの熱を感じながら、ゆっくりと目を閉じる。うわ言のように、すき、すき、と繰り返しながら、あっさりと、まぁ情けなく俺は意識を手放すのだった。
パイロット科の男子の体力って凄いんだなぁ。と目覚めた後に言えば、ラウダは顔を真っ赤にしながらミネラルウォーターをがぶ飲みしていた。本人曰く、「いつもならそんな事ない」だそうだ。嘘つきめ。