ぶらり途中メガネ紀行

ぶらり途中メガネ紀行


今日のわたしは上機嫌。ボーダー本部に来るまでの道中2回も猫ちゃんに出会えたし、その内前に何度か会っていた子には触らせてもらえた。ご機嫌だったからか背中も喉も頭もなでなでを存分に堪能することができたのもあり、天にも昇る心地だった。

おや、あそこにいるのは南雲隊の結城さんと水端隊の秋鹿くん。

「こんにちは。お二人さん。エンジニア繋がりでお話しですか?」

「あぁ、恵美ちゃん。なんだかご機嫌だね」

「よく分かったな。今散弾銃型の銃トリガーのもっとかっこいい使い方を2人で考えていたんだ」

「正確には散弾銃型トリガーのオプションだね。弾の拡散率を狭くするとか、広くするとかそういう話」

なるほどなるほど。トリガーの改造案ってことね。さすがエンジニアだなぁ。結城さんのメガネはスクエアのフルリムだし、そういう知的さが出るよね。秋鹿くんもスクエアだけどハーフリムだからシャープさが際立っていいね。

「…………」

「恵美ちゃん?」

「2人とも、ナイスメガネだね。それじゃ私はこれで」

「あ、ありがとう…行っちゃった」

「クールなやつだ…あれもかっこいいな」


猫ちゃんを堪能してさらにナイスメガネを2人も堪能できるなんて、とってもラッキー。鼻歌交じりで廊下を歩く。

おや、あそこにいるのは坂田隊の坂田景宗くんと岡崎隊の鷲尾くん。

「こんにちは。お二人さん。あまり見ない組み合わせだね?」

「お?野浦か。個人戦か?」

「あっ、えっ、の、野浦、さん…コ、コンチハ…」

「個人戦じゃなくて防衛任務だね。2人はどうして?」

「同じ万能手ってことでな。ちょいと話してたんだ。景宗の立ち回りはゲームメイカー的な側面で勉強になるからな。あんま細かいとこまで議論すると戦法にまで食い込んでくるから深くは話せやしねえが。なあ?」

「アッハイ、そうです…ガンバリマス…」

「どうしたお前」

景宗くんは結城さんと同じフルリムのスクエア…でも男性と女性、同じメガネの形状でもその印象は大きく変わってくる。少し童顔気味な顔にスクエアは背伸びしてる感じがあっていいね。対する鷲尾くんはカラーレンズの少し丸みを帯びたスクエア…カラーレンズとスクエアのいかつさを少し丸みを帯びたフレームにすることで柔らかい印象にしてる……いいね。

「…………」

「野浦?どうした…」

「2人とも、ナイスメガネだね。それじゃ私はこれで」

「あ?」

「はい?」

「……なんだったんだ、あいつ」

「メガネを褒められたのは初めてです」


今日はなんていい日だろう。猫ちゃんを堪能した上にナイスメガネの人に4人も出会えた。もしかしたら他にも出会えるかも。

おや、あそこにいるのは南雲隊の南雲さんと天道隊の長町くん。

「こんにちは。お二人さん。珍しい組み合わせだね」

「やあやあ恵美ちゃん。お散歩?」

「恵美さんどもっす〜」

「そんなところです。お二人は?」

「自分らはこれから食堂にね。さっき総参朗くんに打ったうどん食わないかって誘ってもらっちゃって」

「廊下で偶然出会っちゃって。ちょうど食堂に行くって言うもんだから、そんじゃいっちょこの長町うどんを振る舞いましょ〜ってことで」

「へえ、美味しそう」

「お、恵美ちゃんも来るかい?」

「わたしはもう食べてきちゃったので。また今度ですね」

南雲さんはスポーツサングラス。うんうん、サングラスもいいよね。ザ・スポーティって感じ。南雲さんは飄々としてるけどそれがピシッとキマるというか。長町くんはアンダーリムのスクエア。いいよねアンダーリム。かけてる人は少ないんだけどだからこそ個性が引き出されてる。そういえば最近入った三雲くんって子もアンダーリムだったかな。

「…………」

「あれ〜?そんなにショックでした?だいじょぶっすよ、またうどん打ってきますって〜」

「2人とも、ナイスメガネだね。それじゃ私はこれで」

「ありゃ、行っちゃった。あの子も中々掴みどころがないねぇ〜」

「ま、行っちゃったものはしょうがないんで食堂いきましょ〜」


見てはいないけど今日のテレビの運勢占いはきっと1位だろう。猫ちゃんを堪能した上にナイスメガネの人を6人も堪能するなんてそうそうない。もしかするともしかするかも。

おや、あそこにいるのは我らが煙崎隊の坂田くんと逆叉隊の叶内ちゃん。

「こんにちは。お二人さん。オペレーターのお話しかな?」

「おー野浦先輩どもどもー。そーなんですよー。ちょっとオペレーターで教えてほしいとこがあってー」

「あっ野浦さん…じゃ、じゃあ俺はこれで…」

「ちょー、待った待った。坂田くんもうちょい教えてよー」

「む、無理です…そもそも今俺は特殊工作兵だしオペレーター時代もおそらく叶内さんとはスタイルが違うし…」

「うーん、ちょっとお困りの様子かな?それじゃ叶内ちゃんこうしよう。わたしが坂田くんからオペレーターのこと聞いてメモしておくから、それを後で渡すよ。どう?」

「本当ですー!?いやめっちゃうれしー!」

叶内ちゃんもサングラス。サングラスってちょっと威圧感も与えちゃうんだけど…、でもこうやって飛び跳ねるみたいに喜んでる叶内ちゃんにそういう印象は全然ない。どっちかっていうとクラブとかパーティで盛り上がってるイケイケの子って感じ?いいね。坂田くんはお兄さんと同じスクエア…だけどアンダーリム。個性が『引き出される』、というよりかは個性を『出したい』って感じかな。反抗心、反骨心みたいなものがちょっと見えるね。うんうんそれもまたいいね。

「…………」

「あれー?野浦先輩?大丈夫ですー?」

「2人とも、ナイスメガネだね。それじゃ坂田くん、いこっか」

「あ、は、はい」

「野浦先輩メモよろしくおねがいしまーす」

叶内ちゃんには手を振って返事をしておく。廊下を歩いて煙崎隊の隊室へ。今のわたしはもう無敵。猫ちゃんを堪能した上にナイスメガネの人を8人も堪能した。いわばパーフェクトメガネキャッツ。

「こんにちは。それでは皆、メガネをかけましょう」

「えっ?」

「あ?」

「は?」

困惑の表情を浮かべる煙崎さん、双海くん、一ノ瀬ちゃん。実は皆それぞれに似合うメガネ、ずっと前から準備してたんです。さぁここからはメガネカーニバルのお時間。

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